ガイドコメント
レニーの5作目『5』までの代表曲を網羅したベスト盤。「自由への疾走」をはじめ数々のヒット曲を網羅し、さらに当時の新曲1曲も追加された充実盤。レニーを知るなら、まずこのアルバムから始めてみては?
収録曲
01ARE YOU GONNA GO MY WAY
ギンギンにうなりを上げる、時代を逆行したファズ・サウンドで、世界の注目を一気に集めることとなった大ヒット曲。いかがわしさ満点に吠える、ワイルドな魅力がたまらない。ロック・スター誕生の瞬間を体感しましょう。
02FLY AWAY
第41回グラミー賞“ベスト・メイル・ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞”を獲得した、ゆるやかなファンク・ロック・ナンバー。没個性と紙一重のリフも、レニーの再生術にかかれば強力なフックに。その一例となる曲だ。
03ROCK AND ROLL IS DEAD
「ロックンロール・イズ・デッド」なる衝撃的なタイトルが大いに波紋を呼んだことはさておき、初期衝動の赴くままに熱く上昇していくテンション、神がかり的な凄まじさ。世界がシビれた爆発力を、そのまま真空パック。
04AGAIN
フワフワと柔らかなようでいて、実はしっかりと芯の通ったメロディ。派手ではないものの、何度となく噛み締めたくなる滋味深さはこの曲が一番。奇をてらうことなく、腰の据わった演奏が渋い。
05IT AIN'T OVER 'TIL IT'S OVER
どれだけ激しいロックンロールを演奏しようと、隠し切れずにいたメロウな側面を、あえて前面に押し出した一曲。ストリングスが奏でる印象的なフレーズと、黒いメロディ・ラインに聴き惚れる。
06CAN'T GET YOU OFF MY MIND
歌詞がレニーの口説き文句集に思えてくるバラードで、彼が夢の中で聴いた曲が元になっている。ローリング・ストーンズとロッド・スチュワートのコクを混ぜたような楽曲は劇的で、彼のこってりとした歌唱はアクが濃厚だ。
07MR.CAB DRIVER
タクシーに乗車拒否される体験を描いたポップンロール・ナンバー。ドライヴするベース・ラインを筆頭に、各パートにはビートルズの面影が。彼の楽しげな“ひとりビートルズ”ぶりと、ファットなリズムが魅力的な作品。
08AMERICAN WOMAN
カナダのグループとして初の全米1位を記録した“ゲス・フー”の反米的歌詞のハード・ロック・ナンバー。原曲の粗野な魅力は残しつつ、ハンド・クラップを加えるなどして、いくぶんスタイリッシュにまとめ上げている。
09STAND BY MY WOMAN
サザンオールスターズ「いとしのエリー」を連想させる歌詞のラブ・バラード。ピアノを使った曲にはジョン・レノン、慈愛あふれる歌唱にはプリンスが降臨したかのよう。どこもかしこもまっすぐで、レニーらしい一曲。
10ALWAYS ON THE RUN
高校時代から面識のあるスラッシュ(当時はガンズ・アンド・ローゼズ)がギターで参加。ホーンを加えたファンクなハード・ロック・ナンバーは、“ベック、ボガート&アピス”版「迷信」をより乱暴にしたような曲調だ。
11HEAVEN HELP
従兄弟ジェリー・デヴォーとの共作による敬虔なラブ・ソング。キャッチーなギター・リフは舞台袖に隠し、ピアノの調べを中央に据えたスタイリッシュな曲調。従兄弟の洒脱なセンスが、ひと味違うレニーの芸風を引き出している。
12IS THERE ANY LOVE IN YOUR HEART
レニー作品ではおなじみのギタリスト、クレイグ・ロスとの共作によるアナクロ趣味全開のファンク・ロック・ナンバー。“目をつぶればレッド・ツェッペリン”としか形容しようのない展開を、最後まで貫き通している。
13I BELONG TO YOU
得意のリフ攻撃で緩急をつけ、メロディの魅力を前面に押し出したレゲエ・リズム調のラブ・バラード。イントロから鳴り続ける高音はトイピアノ、背後でシャリシャリと鳴っている音はサンドペーパーを擦って出している。
14BELIEVE
「俺はお前、お前は俺」と、冒頭から映画『転校生』(大林宣彦監督作)みたいなことを歌い出すレニー。サイケ期のビートルズ作品に、スピリチュアルな要素をたっぷりをまぶした敬虔かつ劇的な曲調。ギター・ソロが泣きに泣いての終幕となる。
15LET LOVE RULE
彼の温新知故な音楽性を象徴する作品で、歌詞は全編ラヴ&ピース。ビートルズに代表される60〜70年代ロックの伝統を再構築したこの曲では、たっぷりの思い入れが模倣の域から脱する力技として作用する。
16BLACK VELVETEEN
クローン技術の発展に触発された曲で、エレクトロな要素などが近未来的な雰囲気を演出。4つ打ちキックを使った80年代ダンス・ポップ風アレンジの中で、レニーお得意のリフ・ロックが踊っている。奇妙に新鮮な展開。