ガイドコメント
『SEA CHANGE』から約2年ぶりのアルバム。アコースティック路線だった前作とうって変わって、本作はBECK流ファンク・アルバムとなった。よりポップでリズミカルな楽曲が詰まった王道サウンドを堪能できる。
収録曲
01E - PRO
冒頭から重厚なギター・リフとローファイなドラムが響きわたる、ヒップホップの要素を採り入れたファンキーなロック・チューン。感情を抑えたベックの低い歌声と「ナナナ」と歌うコーラスが効果的に反復する。
02キュー・オンダ・グエロ
「グエロ」とはスペイン語のスラングで「白人の男の子」という意味で、ベックが幼少期に住んでいたスパニッシュ街の風景を描いたヒップホップ・チューンだ。スペイン語の叫び声のサンプリングなど、奇抜なアレンジが光る。
03ガール
ゲーム・サウンド的なサンプリングが個性を放つイントロ、明朗で軽快なアコースティック・ギターの旋律が印象的。歪んだ恋愛観を茶目っ気たっぷりに歌う、ベックの陽気なヴォーカルが駆け抜けるポップ・チューン。
04ミッシング
ボサ・ノヴァ・タッチの流麗なギター・カッティングが柔らかい打ち込みビートに重なり、荘厳なストリングスが効果的に施されたベック流ボサ・ノヴァ・ナンバー。ベックの艶やかな歌声が強い存在感を放っている。
05ブラック・タンバリン
疾走する野太いベース・ラインをサウンドの軸にした、アーシーなテイストが漂うナンバー。タンバリンのジングルが刻む軽快なビートに、抑揚の少ないベックのクールなヴォーカルと女性コーラスがシンクロしていく。
06アースクウェイク・ウェザー
冒頭ではハンド・クラップをアクセントにしたゆるいビートに、不穏なムードが漂うギターの旋律と妖しいヴォーカルが絡む。しかしサビで一転、80's調のキャッチーで美麗なメロディが広がる壮大な展開を持つナンバーだ。
07ヘル・イエス
アグレッシヴなドラム・ブレイク、グルーヴィなベース・ライン、扇情的なシンセ音やスクラッチが入り乱れる変化に富んだトラック、軽快なラップ、女性のヴォイス・サンプル……。多彩な要素が見事に絡み合ったダンス・チューンだ。
08ブロークン・ドラム
ダウン・テンポなビートに豪快なチェレスタ音、甘美なピアノとギターのバッキングが重なり、メロウなベックの歌声と美麗な女声コーラスが溶け合っていくバラード。効果的なリヴァーブ処理による残響感が実に美しい。
09スケアクロウ
R&Bの要素を採り入れたベックのソウルフルなヴォーカルとしなやかなギター・カッティングで紡ぎだす、荒涼とした心象風景を描いたナンバー。鳥の鳴き声のようなサンプリングなど、フックが効いたアレンジも光る。
10ゴー・イット・アローン
ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが弾くリズミカルなベース・ラインを軸にした、ルーツ色の濃いブルージィな楽曲。クールで淡々としたベックの歌声と、ソウルフルな女性コーラスとのハーモニーが見事だ。
11フェアウェル・ライド
ハンド・クラップがゆるくビートを打ち、重苦しいムードのスライド・ギターの旋律と大胆なブルース・ハープ音が響きわたるトラック。そこに祈りを捧げるようなベックの荘厳な歌声が重ねられた、スピリチュアルなナンバーだ。
12レンタル・カー
軽快なハンド・クラップに、唸るディストーション・ギターとカラフルなオルガンの旋律が入り乱れる、遊び心にあふれた躍動的なロック・チューン。元ザット・ドッグ、ペトラ・ヘイデンのキュートなヴォーカルが魅力的だ。
13エマージェンシー・エグジット
柔らかなタッチのスライド・ギター、ゆるくビートを刻むハンド・クラップと鈴の音色、涼しげなベックの歌声と女声コーラスで紡ぎだす、アメリカン・ルーツ・ロックの要素を盛り込んだ、カントリー風味のロック・チューン。
14センド・ア・メッセージ・トゥ・ハー
15チェイン・リアクション
16クラップ・ハンズ