ミニ・レビュー
神田朋樹、森俊之、佐橋佳幸、デューク・エイセス(!)といった個性的なミュージシャンが参加したフル・アルバム。沖縄音階とエレクトロニカが融合した「オキナワソバヤのネエサンへ」など、意外性に富んだアイディアが詰め込まれた楽曲は、シックにしてポップ。
ガイドコメント
前作より実に約6年半ぶりとなる2ndアルバム。リマールのカヴァー「THE NEVER ENDING STORY」やドミニク・ミラー作曲の「one more second」などを収録。洋楽と邦楽の両方のエッセンスが詰まった1枚。
収録曲
01Memento Harmonious
俳句のような余計なものを削ぎ落としたシンプルな歌詞と優雅で上品なメロディが特徴の、アルバム『Harmonious』のオープニング・ナンバー。アレンジは渋谷系の重鎮、元フェイヴァリット・マリンの神田朋樹だが、従来の彼とは質を異にした編曲がかえって新鮮。
02THE NEVER ENDING STORY
ミヒャエル・エンデの作品を映画化した『ネバーエンディング・ストーリー』の主題歌で、オリジナル版はリマールが、日本語版は羽賀研二が歌っていたナンバーのカヴァー。ストリングスを配したアレンジで、クラシカル風の上品なサウンドに仕上げている。
03オキナワソバヤのネエサンへ
実力派シンガー・ソングライターとして業界では高い評価を得ている柴草玲のナンバー。物語が浮かんでくるようなほのぼのとした歌詞と、ゆったりとしたヒーリング感覚たっぷりのメロディが印象的。
04彼と彼女のソネット
86年の映画『悲しみのヴァイオリン』の主題歌で、エルザの「悲しみのアダージョ」のカヴァーとして原田知世が歌い、後に作詞を手がけた大貫妙子もカヴァーしたナンバー。ピアノをベースにしたアコースティックなサウンドで、坂本の哀愁漂うヴォーカルが活かされたアレンジになっている。
05flowers of time、flowers of sand
ハナレグミ、中納良恵(EGO-WRAPPIN')らとのコラボレートで最近話題の半野喜弘が作曲したエレクトロニカなナンバー。 プログラミングによる無機質なサウンドだが、坂本美雨は感情たっぷりに歌い上げていて、サウンドにぬくもりを与えている。
06風花 (remix ver.)
高低差が大きいながら妙に印象的な美しいメロディと、「愛」の大切さを描いた歌詞が印象的なミディアム・スロー・ナンバー。透明感あふれる坂本美雨のヴォーカルがおおらかで、天に昇るほど心地よい。
07Paths of Desire
優雅で壮大なメロディとシンプルなアレンジが見事に融合したクラシカル・ナンバー。ポピュラー・ミュージックではあまり使用されないチェロを全体にフィーチャー、クラシカルな雰囲気を一段と大きくしている。
08one more second
STINGの「Shape of My Heart」のコンポーザーのドミニク・ミラーが作曲したアコースティック・ナンバー。佐橋佳幸のプレイするアコースティック・ギターが全体のサウンドを支配して、温かみあるナンバーに仕上げている。
09midsummer night's dream
アルバム『Harmonious』のオープニング曲「Memento Harmonious」のサウンド・トリートメントを行なった神田朋樹がプロデュースしたアコースティック・ナンバー。生ピアノをバックに切実さを携えて歌う様子が美しい。
10遠くへ行きたい
作曲・中村八大、作詞・永六輔の名曲を、日本を代表するコーラス・グループ、デュークエイセスをゲストに迎えて披露。あえて作りこんでいないシンプルなアレンジにより、楽曲の良さを存分に実感できる仕上がり。