ガイドコメント
アメリカを代表するロック・バンドが、14年ぶりとなる94年にリリースした復活アルバム。新曲4曲にMTVコンサートのライヴ録音11曲という変則的な構成で、往年の名曲も聴くことができる。
収録曲
01ゲット・オーヴァー・イット
14年ぶりの再結成で実現したヘンリー=フライの新曲。イーグルスらしい辛辣な歌詞を、ヘンリーが歌うアップ・テンポのロック・チューン。イーグルスにしてはストレート過ぎるのではないかという声もあったが、まったく老け込んでいないバンドの勢いには脱帽。
02ラヴ・ウィル・キープ・アス・アライヴ
ティモシー・シュミットが歌うバラード。牧歌的なアコースティック・サウンドをバックに、衰えを感じさせぬ美しい歌声を披露している。ポコ時代を思わせる作風だが、彼の自作曲ではなく、ピート・ヴェイル、ジム・キャパルディ、ポール・キャラックによる共作曲。
03ザ・ガール・フロム・イエスタデイ
旧友ジャック・テンプチンとの共作によるフライの曲。ペダル・スティール・ギターとストリングスが心地よく響くカントリー調のバラードは、まさにイーグルス・サウンドの逸品。ファンが聴きたいと思っているサウンドを提供してみせる鮮やかな手際はさすがフライ。
04ラーン・トゥ・ビー・スティル
スタン・リンチとの共作によるヘンリーの曲。70年代のイノセンスの代名詞だったイーグルスの青臭い看板を、ソロでも継承したヘンリーならではの思索的なバラード。抑制された重厚なサウンドをバックに、いかにも彼らしいシリアスな歌声を聴かせてくれる。
05テキーラ・サンライズ
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。アンプラグドな編曲による『ならず者』からのバラード。原曲もアコースティックなサウンドだから違和感はないが、マンドリンやパーカッションが効果的に使われている。
06ホテル・カリフォルニア
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。アンプラグドな編成で演奏された名曲中の名曲。ラテン調というよりもむしろスペイン調のアレンジが新鮮に響く。アコギによるソロ/デュエットも風情があって良い。
07時は流れて
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。オーケストラをバックに歌われるドラマティックなラブ・バラード。スタジオ録音版にもオーケストラは入っているので新味はないが、ナマで聴いたら感動しないわけがない。
08お前を夢みて
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。『ホテル・カリフォルニア』からのウォルシュの曲。本物のオーケストラの威力もあって、シンセサイザーで代用したスタジオ録音版よりも迫力のある劇的なサウンドが聴ける。
09言いだせなくて
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。年齢を感じさせないシュミットのハイノート・ヴォイスをフィーチャーした『ロング・ラン』からのラブ・バラード。ストリングスの調べも美しいオーケストラ・セットの1曲。
10ニューヨーク・ミニット
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。ヘンリーのソロ・アルバム『エンド・オブ・ジ・イノセンス』からの選曲。オーケストラをバックに歌うヘンリーのシリアスなヴォーカルが熱っぽい新生イーグルス・ヴァージョン。
11ラスト・リゾート
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。カリフォルニアの血塗られた来歴を告発する『ホテル・カリフォルニア』収録曲。オーケストラをバックにしたヘンリーがハスキー・ヴォイスでドラマティックに歌い上げる。
12テイク・イット・イージー
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。フライも言っているように「この曲からすべてが始まった」。「気楽に行こうぜ」というメッセージの有効性は、70年代でも、90年代でも、そして21世紀でも変わらない。
13イン・ザ・シティ
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。『ロング・ラン』からのウォルシュの曲。ギター・ソロは控えめだが、エレクトリック・セットにふさわしい演奏が聴ける。エンディングでのビートルズからの引用もウォルシュらしい。
14駆け足の人生
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。ファンク調のヘヴィなバンド・サウンドが楽しめる『ホテル・カリフォルニア』収録曲。トリプル・ギターを派手にフィーチャーした演奏の迫力は70年代以上にパワフル。
15ならず者
94年4月、バーバンクのワーナー・スタジオで行なわれた、MTVのギグを収録したライヴ音源。オーケストラをバックに演奏された名曲中の名曲。ヘンリーが歌うこのバラードの価値は、70年代の頃よりも大幅にアップしている。やや過剰気味の劇的な編曲も良い。