ミニ・レビュー
「アジアの純真」を確信犯的に自己模倣したような「オリエンタル・ダイヤモンド」に始まり、吉井和哉、チバユウスケ、真島昌利らが作品提供と、年齢不詳、問答無用のガール・デュオとして至れり尽くせり。クドカン作詞の「妖怪PUFFY」には、グループ魂も登場。韓流ギャグで笑わせてくれます。★
ガイドコメント
アジア各国やアメリカでも人気のPUFFYによる通算10枚目のオリジナル・フル・アルバム。奥田民生、井上陽水、山中さわお、宮藤官九郎らを作家陣に迎えた一枚で、ポップなロック・サウンドに飾り気のないヴォーカルが心地良く響いている。
収録曲
01オリエンタル・ダイヤモンド
作詞・井上陽水、作曲・奥田民生のゴールデン・コンビによる、アルバム『honeycreeper』のオープニング・ナンバー。イントロからご機嫌なギターに乗って快走爆走。オリエンタルなメロディにドラの音、歌詞にソーラン節まで飛び出すにぎやかさは、これぞPUFFYだ。
02Ain't Gonna Cut It
“もし僕が医者だったら”という歌い出しで始まる、ユーモラスでハッピーな英詞のポップ・ロック・チューン。元マーヴェラス3のブッチ・ウォーカーが、作詞、作曲、プロデュース、エンジニアまで一手に担当している。
03君とオートバイ
オートバイに乗って旅に出よう。2人で釣りをしたり、星空を眺めたり。ロード・ムービー風味の爽快でピュアなラヴ・ソング。ロック感あふれるツイン・ギターが肝のアレンジは、上田ケンジによる。作詞・作曲はチバユウスケ。
04くちびるモーション
PUFFYの2人がイメージ・キャラクターを務めるカネボウ化粧品「Lavshuca」CMソング。キャッチーなメロディと韻をちりばめた歌詞をクールに歌い流せてしまうのも、PUFFYの魅力。吉井和哉の初プロデュース作としても話題に。
05はやいクルマ
ブリブリのベースとジャキジャキのギターでシンプルに聴かせるミッド・ロック・チューン。PUFFYのユニゾン・ヴォーカルとホットロッド調のサウンド・アプローチが、ベスト・マッチ。作詞・作曲は真島昌利。
06サヨナラサマー
“誰よりも何よりも/そう、たぶん自分より好きだった”。まぶしい夏の恋を綴った詞とサビのコーラスでハモる2人の歌声が切ないミッド・ロック・チューン。the pillowsの山中さわおが作詞・作曲・プロデュースを手がけている。
07boom boom beat
スタイリッシュなロック・ビートと絶妙に脱力したユニゾンがいかにも彼女たちらしい、ごきげんなポップス。カジュアルに鳴らすギターが効いていて、手堅いガーリー・ロックに仕上がっている。「モード学園」CMソング。
08妖怪PUFFY
作詞・宮藤官九郎、作曲・富澤タクのグループ魂コンビが放つ、抱腹絶倒のコミック・ロック・チューン。3分超えの寸劇で始まり、PUFFYの2人を妖怪になぞらえて“ヘンな動きとヘンな歌”と本人たちに歌わせてしまう、前代未聞の無礼さに大笑い。
09Closet Full Of Love
“クローゼットいっぱいの愛”というイカしたタイトルのアッパーなギター・ロック・チューン。元マーヴェラス3のブッチ・ウォーカーがPUFFYのために書き下ろし、プロデュースも手がけている。SONY「Walkman」CMソング。
10はさんじゃうぜ
本気風を吹かせて“はさんじゃうぜ”の決め台詞を吐く歌の主人公は、なんとクワガタ。真島昌利の作詞・作曲によるキュートなロック・チューンを、PUFFYが朗らかに歌い飛ばす。サーフィン・ギターとロールするオルガンを引き連れて、行くぜ! クワガタ。
11complaint
“鏡にうつる ケチくさい面の自分がダセー”。タイトルどおり“グチ”をテーマにした、ナンセンスなギター・ロック・チューン。PUFFY自身による皮肉交じりの脱力した歌詞が面白い。作曲・プロデュースはthe pillowsの山中さわお。
12お江戸流れ星4
ミディアム・テンポの軽快なメロディと電気グルーヴのピエール瀧が手がけた歌詞が、なんともとぼけた味を醸し出すポップ・ナンバー。思わずリズムをとる元気の良いビートはもちろん、斬新でひょうきんなフレーズが面白い。
13アイランド
アルバム『honeycreeper』のラスト・ナンバーは、小さい童話のような切ないワルツ。フィドルやアイリッシュ・ブズーキを交えたケルティック・サウンドが、エンディングを盛り立てる。作詞・作曲を手がけたチバユウスケが、バック・コーラスで参加。