ミニ・レビュー
「粉雪」以外に控えめに言っても5曲はハイライトがある、つまりは名曲揃いのサード・アルバムだ。3ピースにこだわらない、ストリングスや鍵盤、打ち込みの導入によるカラフルな音作り。前作『エーテル』(名盤!)からさらに洗練されたポップ・サウンドが眩しい。★
ガイドコメント
「蒼の世界」「粉雪」「太陽の下」のヒット・シングル3枚を含むレミオロメンのアルバム。リード曲である、疾走感が心地良い「スタンドバイミー」をはじめ、さらにスケール・アップした彼らに注目。
収録曲
01スタンドバイミー
3rdアルバム『HORIZON』のオープニング・トラック。地平線や水平線から昇るエネルギッシュな太陽をイメージさせる冒頭部が印象的。自らの限界を超えるという強い意志が込められた、アルバムの1曲目にふさわしい力強さを感じるナンバーだ。
021-2 Love Forever
曲の随所にちりばめられた軽やかな鉄琴の音色とキャッチーなメロディ・ラインが印象的なポップ・チューン。「愛と音楽に国境はなく世界は一つ」という前向きなメッセージを、思わず踊りだしてしまうようなアップ・テンポで歌うナンバー。
03プログラム
いのちの息吹きを感じる神秘的で独特な言い回しに心を奪われるミディアム・バラード。プロデュース、編曲には小林武史が参加し、歌詞のイメージとサウンドが見事にマッチ。ふわふわと不確かな中にも一本筋の通った力強さを感じる一曲だ。
04蒼の世界
7thシングルは柔らかく弾むギターの音色と淡々と言葉を紡ぐヴォーカルが絶妙に絡み合うポップ・チューン。雨が上がった秋空は空気も澄みわたり清々しい世界が広がる、まさしく「蒼の世界」だろう。優しいメロディに心癒される一曲だ。
05シフト
エレキをかき鳴らすオープニングのベース・ソロとドラムが重なり迫力を増す、ノリノリのロック・チューン。前へ前へと挑戦的に進んでいくような歌詞に感化される。随所で聴こえる半音ずつ上がっていく4ビートのベース音が曲に深みを出している。
06傘クラゲ
梅雨の季節に2つの傘が並んで歩く様子は、海にゆらゆらと漂うクラゲのよう。傘の下で好きな人と手が触れた瞬間、世界が淡く、より輝きを増していくイメージが広がるような、心温まるナンバー。作曲はベースの前田啓介が担当し、しっとりとしたバラードに仕上げている。
07太陽の下
9thシングルは映画『子ぎつねヘレン』の主題歌。オープニングの重厚で流麗なピアノの音色が印象的な、ミディアム・バラード。柔らかいストリングスが絡み合い「太陽の下で素直に生きられるさ」と、歌う詞が心にしみわたるラブ・ソング。
08MONSTER
自分の内にひそむ影はどんなモンスターとなって現れるのか? 人々に訴えかける歌詞とゆっくりとこちらに迫ってくるような低いベース・リフが印象的なミディアム・バラード。アルバム『HORIZON』の中でも異彩を放つナンバーだ。
09明日に架かる橋
「アクエリアス フリースタイル」CMソング。アップ・テンポで前向きな歌詞に思わずノリノリで踊りだしてしまう元気ソング! 随所にストリングスやデジタル・サウンドを使い、楽曲構成の幅広さを感じる内容の濃いナンバーだ。
10紙ふぶき
オープニングのゆったりと流れるようなピアノとストリングスの音色が心地よいバラード・ナンバー。「不器用に生きる意味を探して……」と、ポジティヴな歌詞に勇気を与えられる。ゆったりとしながらも8ビートで刻むスネアが曲全体にメリハリを出している。
11粉雪
CX系ドラマ『1リットルの涙』挿入歌となった8thシングル。はかなく消える心を粉雪に例え、切なく歌い上げるサビは心の琴線に触れ、1度聴くだけで忘れられなくなる。季節描写が魅力のレミオロメンらしいバラード。
12流星
8ビートで一音一音ハッキリと弾くギター・リフとささやくようにしっとりとしたヴォーカルが、心にしみわたるミディアム・バラード。青春時代は流星のようにサーッと過ぎて、いつの間にか大人になる様子を描いた歌詞が印象的なナンバー。