ミニ・レビュー
2001年以来のソロ・ワークスから選りすぐった初のベスト・アルバム。NANA starring MIKA NAKASHIMAに提供した「GLAMOROUS SKY」はイングリッシュ・ヴァージョンでセルフ・カヴァー、パンクというよりもNWOBHMを思い起こさせるような硬派で勢いたっぷりのナンバーに仕上がっている。
ガイドコメント
ソロ活動以降のアルバム4作品、シングル7作品の中から選りすぐった初のベスト・アルバム。チャート1位を獲得した「HELLO」をはじめとする、唯一無二の存在感と独自の世界観を余すところなく堪能できる楽曲が揃った一枚だ。
収録曲
[Disc 1]
01MADE IN HEAVEN
ギターが不穏な空気を漂わせるヘヴィ・ロック・ナンバー。本能のままに堕落しようと誘いかける危険に満ちた内容で、HYDEが不適な笑みを浮かべているかのような挑発的なヴォーカルを披露している。
02IT'S SAD
歪んだギターを前面にフィーチャーした攻撃的なナンバー。“歴史上最悪の生物”“我々が居なくなれば世界は平和である”と人間の罪・愚かさを訴えた一曲。退廃的なサウンドや叫ぶようなヴォーカルに怒りや嘆きが感じ取れる。
03EVERGREEN (DIST.)
HYDEのソロ・デビュー曲「evergreen」のバンド・サウンド版。死をテーマに、あとに遺す愛しい人との想い出を“この風景は永遠に残る”と歌うノスタルジックなバラード。ときおり慟哭にも聴こえるHYDEのヴォーカルが胸を揺さぶる一曲だ。
04JESUS CHRIST
ピアノに三柴理を迎えて制作したダークでクラシカルな一曲。イエス・キリストへの盲目的な崇拝をテーマにしたもので、命を投げ打ってでも我が子を助けたいと願う悲痛の叫びが胸に刺さる。緊張感のある重厚な世界観が魅力だ。
05COUNTDOWN
ボトムの効いたヘヴィなメロから疾走感のある突き抜けたサビへと展開する6thシングル。人類破滅のカウントダウンの先にある誇れる世界を目指したいと平和を願う内容で、ダイナミックなサウンドが清々しい。映画『ステルス』日本語版エンディング曲。
06THE OTHER SIDE
うねるようにかき鳴らされるディストーション・ギターが印象的な一曲。退廃的でダークなサウンドとかすれたヴォーカルが見事にマッチした仕上がりで、どことなく無常観のある歌詞には皮肉さも感じとれる。4thシングル「HELLO」収録曲。
07SHINING OVER YOU
幻想的でダークな世界観の壮大なロック・バラード。静かな激しさを秘めたドラマティックなサウンドのラヴ・ソングで、ラストの“さよなら”のリフレインが印象的。ゲームキューブ用ソフト『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』CMソング。
08HORIZON
映画『スカイハイ 劇場版』エンディング・テーマの5thシングル。ノスタルジックな印象をもつ清涼感のあるギター・サウンドが特徴的で、夜明けの空を思い起こさせるミッド・ナンバー。未来を見据えた強い意志が、芯のあるヴォーカルにも感じられる。
09SEASON'S CALL
愛する人へのまっすぐな想いを綴った7thシングル。サポート・ギターのK.A.Z作曲による透き通るようなさわやかさが広がるサウンドに、凛とした力強さをたたえたヴォーカルが伸びやかに響き渡る。TBS系アニメ『BLOOD+』エンディング曲。
10SWEET VANILLA
危険な香り漂うワイルドなミッド・ロック。HYDEの耽美的なヴォーカルが映える仕上がりで、“星空を君に見せたい”と愛する人へ尽くす想いが綴られたラヴ・ソングとなっている。うねるリズムが心地よい一曲だ。
11HELLO
HYDEのソロ第2期の幕開けを飾る4thシングル。ストレートなロック・サウンドが清々しいパワフルなナンバーで、突き抜ける疾走感が爽快だ。“加速するこの想い”といったフレーズが象徴するように、抑えきれない衝動を爆発させた躍動感のある一曲。
12HIDEAWAY
キャッチーなメロディ・ラインと疾走感のあふれるさわやかなサウンドが耳なじみのよいロック・チューン。光沢のあるシンセ音でポップな味付けをしたサウンド・メイクは、HYDEの曲の中でも異質な類だ。日常の支配から意志を取り戻せと背中を押してくれる。
13PRAYER
歪んだギターが重々しく響くヘヴィ・ロック。HYDEの真骨頂ともいえるような、ダークで重厚な世界観に憂いを帯びたかすんだヴォーカルがマッチした一曲。守るために銃口を向ける人間の行動に疑問を投げかけた内容に考えさせられる。
14MIDNIGHT CELEBRATION
緊迫した雰囲気が全体を包む攻撃的なアッパー・ロック。楽器・ヴォーカルともに焦燥感を煽るアグレッシヴな仕上がりで、“未来なんて無くてかまわない”といった刺激的なフレーズまで飛び出してくる。サイケなシンセが世界観を引き立てるのに一役買っている。
15UNEXPECTED (DIST.)
1stアルバム『ROENTGEN』収録曲のアレンジ・ヴァージョン。哀愁の漂う幻想的なサウンドのロック・バラードで、アウトロでは生命力に満ちたアッパー・ロックへと展開。ふたりの出会いの奇跡を噛み締めるように歌う、ドラマティックで温かい一曲だ。
16THE CAPE OF STORMS
自身も出演した映画『下弦の月〜ラスト・クォーター』主題歌。ストリングスを軸に、シンセ、アコーディオン、アコギなどが効果的に配された、完成度の高い幻想的で壮大なバラード・ナンバー。運命を自問自答し憂う主人公の想いを、感情込めて歌い上げている。
17GLAMOROUS SKY (ENGLISH VER.)
NANA starring MIKA NAKASHIMAへの提供曲の英詞カヴァー。原曲に忠実な清々しいロック・サウンドにのせて、艶やかながらもホットなヴォーカルを披露している。聴いてるだけで元気になれそうなパワフルな一曲。
[Disc 2]〈DVD〉〈ミュージック・ビデオ〉
01EVERGREEN
02ANGEL'S TALE
03SHALLOW SLEEP
04THE CAPE OF STORMS
05HELLO
06HORIZON
07COUNTDOWN
08SEASON'S CALL