ミニ・レビュー
聴けば聴くほど不思議なバンドだ。もう5枚目になるが、未だに彼らの“形”がつかめない。本作でもほんわりしたメロディと原田郁子のうたを全面に出してみたりしているが、デビュー当時に回帰しようというのではなく、その後ろのサウンドはしっかり複雑なのである。
ガイドコメント
移籍第1弾で、彼らとしては5枚目のオリジナル・アルバム。ジャズ、ソウル、バブルガム・ポップ、ネオアコ、AORなど、さまざまな音楽要素を掌中に収めた曲が並び、完成度の高い1枚に仕上がった。
ガイドコメント
移籍第1弾で、彼らとしては5枚目のオリジナル・アルバム。ジャズ、ソウル、バブルガム・ポップ、ネオアコ、AORなど、さまざまな音楽要素を掌中に収めた楽曲が並び、完成度の高い1枚に仕上がった。
収録曲
01いってらっしゃい (Inst.)
5thアルバム『imagination』のオープニング・ナンバー。音響系へシフトした前作『id』の延長線上に位置するアンビエントな雰囲気のインスト曲。サウンド・プロダクションのレベルは極めて高い。
02imagination
5thアルバムのタイトル・ナンバー。聴き手の意識を集中させる長めのイントロや不意を打つエンディングなど、ミトのセンスあふれるサウンド・プロダクションが光る。伊藤大助のパーカッシヴなドラムも聴きどころ。
03tourist on the 未来'n
ハーモニックなベースで始まる8ビート・ポップス。2分音符でコードを奏でるピアノとタイトなドラムが絶妙に絡んで醸し出す軽快なグルーヴや、間を大切にしたヴォーカル・ラインなどが特徴的。特に人気の高い1曲。
04メロウトロン
全編にわたって繰り広げられる空間的なシンセ・サウンドが印象的なエレクトロニカ・テイストのポップ・ナンバー。幾何学的な印象の強い前半から次第に生サウンドの比重が大きくなる展開の、スムースかつ緻密なアレンジが見事。
05Y・S・G・R
朝帰りの女が疲れすさんだ心境をブツブツと垂らすユニークな歌。アコースティック・ベースのゴツゴツとしたサウンドやゲスト参加している曽我大穂(CINEMA dub MONKS)のブルース・ハープが特徴的。
06意味はない
ミトが作詞作曲を手掛けたスリリングなデジタル・ポップ・ナンバー。全編に繰り広げられるスクエアなシンセ・サウンドや目まぐるしいリズム・チェンジ、さまざまな声色を使う原田郁子のヴォーカルなど、聴きどころ満載。
07タイムロス
ミトがポエトリー・リーディング風の語りを披露するアップ・テンポのエレクトロニカ・ナンバー。“君”に会うために濃い霧の中を車でさまよい続ける“僕”の姿を通して、2人の関係性を浮き彫りにするユニークな歌。
08こだま
アコギ1本の伴奏によるシンプルなナンバー。コード・チェンジの際のノイズが目立つなど、ギターの演奏がややぎこちない印象もあるので、鍵盤演奏がメインの原田郁子が弾き語りをしているのでは? デモ・テープのような質素な雰囲気が魅力的。
095716
原田郁子が作詞と作曲を手掛けたアンビエントな雰囲気のエレクトロニカ・ナンバー。緻密に練り上げられたバック・トラックと彼女の個性的なヴォーカルの相性が良く、気怠さにも似た独特の雰囲気を醸し出している。
10Folklore
淡々と刻まれる8ビートが特徴的なミディアム・ナンバー。フワフワと浮遊する儚くも美しいメロディ・ラインや終盤の欧米民謡風コーラスなど、オリジナリティあふれるサウンドが魅力。ミトのセンスの良さが際立つ1曲。
11Don't you know
全編英語詞のオーガニックなポップ・ソング。カントリー・ミュージック的な節まわしものぞかせる原田郁子のヴォーカルやユニゾンを歌うミトのバック・コーラス、間奏のやや不安定な口笛など、のどかな雰囲気に満ちた1曲。
12おかえり (Inst.)
5thアルバム『imagination』を締めくくるインスト・ナンバー。冒頭の「いってらっしゃい」と対をなすアンビエント・トラックで、ここでもミトの高いサウンド・プロダクション能力が発揮されている。