ミニ・レビュー
ケヴィンが6年ぶりに復帰、結成20周年を機にオリジナル・メンバー5人で制作された8枚目のアルバム。EDMのテイストを取り入れた「パーマネント・ステイン」、アコースティックな手触りの「マデリン」、極上のバラード・ナンバー「ワン・フォン・コール」などカラフルな楽曲が並ぶ。
ガイドコメント
前作『ディス・イズ・アス』以来約4年ぶり、2013年7月24日リリースの通算8枚目のアルバム。脱退していたケヴィンが復帰し、結成20周年を迎えたBSBがオリジナル・メンバー5人で本格的活動を再開。5人としては約8年ぶりとなる注目作だ。
収録曲
01IN A WORLD LIKE THIS
ケヴィンが復帰し、20周年記念作となる8枚目のアルバムのセルフ・タイトル曲。こんな世界・時代でも僕は君がいるから大丈夫……愛する家族、仲間、そしてファンへ語るメッセージ・ソングだ。爽やかに高みへ上昇していく展開は、これぞBSBなサウンド。
02PERMANENT STAIN
決して消えることのない永遠の傷を君は僕の心に残したんだと吐露するラヴ・ソング。ノスタルジックな心情を、ダンサブルでキャッチーなアップで描く。伸びやかな歌声とグイグイ進むビートで、爽快感を作り上げている。
03BREATHE
タイトルの“ブリーズ”には“もう窒息しそう”の思いが込められている。色褪せたバラ、髪の残り香……時間を経て、君がいないことの虚無感に打ちひしがれる男を描く。まだ終わりじゃない……ほろ苦さを漂わせるノスタルジックな失恋ソングだ。
04MADELEINE
ツイッターをやっていたファンが自殺したという事件を受けて、メンバーがいじめをテーマに作りあげたナンバー。悲しみに包まれるような曲調ではなく、もう一度立ち上がれるさと優しく励ますハートウォームな作風のミディアムだ。
05SHOW 'EM (WHAT YOU'RE MADE OF)
モーガン・テイラー・リード制作によるミディアム・チューン。父親になったメンバーたちの想いを込めた曲で、子供たちへ向けて“君がどんな人間か実力を見せてやれ”と語る。芯の強い歌唱が胸を打つメッセージ・ソングだ。
06MAKE BELIEVE
広々とした空を舞うような奔放さと胸をすく晴れ晴れとした曲風が魅力のミディアム・チューン。周りなんて気にせずに互いの心をぶつけ合えば、二人は別世界で“王と女王”になれるんだと、思いの丈をぶつける。遙か遠くまで届きそうなヴォーカルが白眉。
07TRY
ジェイムス・モリソンがライティングと演奏に参加したアコースティック風ミディアム・バラード。苦しんでいる君に、二人なら乗り越えられるから、もう一度トライしてみようと語りかける。安らぎを与える温かいギターと歌唱が、何ともいえず美味。
08TRUST ME
ジャスティン・ノヅカがライティングに名を連ねたミディアム・チューン。心地よいリズムで展開する気取らないサウンドで、一目惚れした男が“どうか僕を信じてよ”と彼女に問いかける。明るいジャズ風の色合いも楽しい。
09LOVE SOMEBODY
パーカッションが跳ねるパートから広がりあるシンセ・トラックへと展開するエレクトロ風味なダンス・チューン。誰かに恋してること、いわなくてもわかるでしょ? とトキメキを告げるラヴ・ソングで、ファルセットが気持ちの高ぶりを表わしているよう。
10ONE PHONE CALL
主人公は、君が去ってからは毎晩が終身刑、有罪を償う日々のようだと自責の念にかられる男。君を傷つけた僕だけど、どうか戻ってきてほしいと一本の電話を待つ姿を描く。広々と澄み渡っていくヴォーカルに、必死な想いと切なさが漂う。
11FEELS LIKE HOME
世界的名声を獲得してきたBSBならではの思いを叫んだ、ファンへの感謝ソング。リオ、モナコ、LA、東京……世界中の都市を挙げながら、どの地も我が家みたいに居心地がいいんだと歌うポップ・ロック風ナンバーだ。
12SOLDIER
モーガン・テイラー・リードによるエレクトロ風味のダンス・チューン。とはいえ、歌唱を前面に押し出した彩色で、デジタル感は少なめ。いつだって君の戦士となって戦うよという、勇ましく頼もしい男を描く。“オーオ、オーオ”のコーラスが勇気をくれる。
13LIGHT ON
トランシーなシンセが穏やかに広がるエレクトロ・ハウス調のミッド。灯りを一つ残しておくよ……は、いつでも戻ってきていいよという、出ていった君へのメッセージ。情感込めた“リーヴ・ライト・オン”のリフレインが胸に響く。