ガイドコメント
1973年発表のグラミー最優秀アルバム賞受賞作。70年代を飾る不滅の3部作の2作目で、7分半の大作「汚れた街」やレッチリもカヴァーした「ハイアー・グラウンド」などを収録。ラストは泣きのバラードできっちりと締める。
収録曲
01トゥ・ハイ
ハイになり過ぎて死んでしまう「夢の恋人」について歌ったアンチ・ドラッグ・ソング。シンセサイザーを駆使したリズム・セクションやスリリングなスキャットのユニゾンがドラッグによる酩酊状態を表現し、スティーヴィーのファンキーな歌声をサポートしている。
02愛の国
理想の世界について歌ったバラード。愛と平和の世界について歌いながら現実の厳しさや複雑さも充分に理解しているスティーヴィーのヒューマン・タッチの歌声が素晴らしい。デヴィッド・T・ウォーカー、ディーン・パークス、マルコム・セシルらの演奏も秀逸。
03汚れた街
04ゴールデン・レディ
甘美な歌声とキャッチーなメロディが聴き手を酔わせる熱烈なラブ・バラード。シンプルな曲だが、だからこそダイレクトに伝わる想いがある。エレクトリック・ピアノ、オルガン、パーカッションなどによる絶妙のアンサンブルが心地良く響く。
05ハイアー・グラウンド
06神の子供たち
宗教に対するスティーヴィーの考え方を表明した曲。コーラス陣との掛け合いを含むファンキーなR&Bソング。ここでの彼はキリストの苦難と母マリアの悲しみを歌い、現代のインチキ宗教家たちを皮肉り、子供たちの純真な心の中に未来への希望を見出している。
07恋
恋の素晴らしさと失恋の辛さを歌った美しいバラード。ピアノの弾き語りを基調にしたメロウなサウンドとスティーヴィーの悲しげな歌声が心に染みる。妻シリータとの破局について歌ったものでもあるが、より普遍的な視点によるラブ・ソングに仕上げられている。
08くよくよするなよ
当時、流行する前のサルサを採り入れた斬新なポップ・ソング。イントロにプエルトリカンのラップを導入し、スペイン語の詞を効果的に使った発想や仕掛けはさすがスティーヴィー。10年後には早くもスタンダード化していたポピュラリティも含めて、まさに天才の仕事だ。
09いつわり