ガイドコメント
グリーン・デイの初のベスト・アルバム。これまでの大ヒット曲が収められた本作、その親しみやすいメロディを聴けば、世界中で支持されている理由が改めて納得できるはず。新曲も2曲収録!
収録曲
01MARIA
はじまった途端にフル・スロットル、あとは速度を増していくだけの急降下型ナンバー。スコーン!と突き抜けて明るいこのムード、愉快痛快なパンクの醍醐味を熟知した作りにたまらずニンマリ。
02POPROCKS & COKE
アゲアゲのノリノリ、楽しさ満面のファン・パンク。拳振り上げ、腰をシェイクするキッズの姿も目に浮かぶ、タイトな感度良好ソング。フロアへ飛び出したくなる勢い満点のパンク・ロック。
03LONGVIEW
テレビと自慰と薬物の日々に埋没する無職の若者の鬱屈とした気分を歌った曲。部族風ビートをフィーチャーしながらどうにも乗り切れないでいるこの曲は、ビート/歌詞ともにアニマルズ「朝日のない街」に通じる空気を持っている。
04WELCOM TO PARADISE
ラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」をよりハードにした感じのイントロで始まるパンク・ナンバー。家出少年から母親への手紙を模した歌詞には、家出3週間後と家出半年後の心情が対照的に描写されていて面白い。
05BASKET CASE
メロディック・パンク最盛期に先陣切って発表されたグリーン・デイの大ヒット曲。引き込まれるイントロ、味わい深いメロディ、サビの爆発力などローカル・シーンで磨いたセンスが光る彼らの代表曲。
06WHEN I COME AROUND
ミディアム・テンポのポップ・ナンバー。甘すぎず軽すぎず、さりとて重すぎもしないハード・ポップ・サウンドが、妻とのいざこざを描いた歌詞を胸迫るものにしている。“シンプル・イズ・ベスト”の作風ながら不思議な独創性がある。
07SHE
自分の存在意義を探究する女の子を描いたイノセントなナンバー。エモでポップなサウンドに、明快かつキャッチーなメロディ。実は「バスケット・ケース」よりも……って人も少なくない傑作シンガロング・ナンバー。
08J.A.R.
青春映画『どんな時も』(95年)に提供したエモ・ポップ・ナンバー。19歳の若さで事故死した親友ジェイソンを歌った曲で、タイトルも彼のイニシャル。コンパクトにまとまった楽曲は、曲調を二転させるなど構成が巧みだ。
09GEEK STINK BREATH
ラモーンズ「シーナはパンク・ロッカー」をもじった邦題だが、曲調はラモーンズ×セックス・ピストルズ。ドラッグの暗黒面を歌い上げた詞からは、薬物を否定するでも肯定するでもない独自のスタンスが感じ取れる。
10BRAIN STEW
どれだけ羊を数えても眠れない夜のストレスが活写されたナンバー。冴えた眼がさらに冴えしまいそうなイントロのギター・リフが、シカゴの「長い夜」に聴こえて眠れなくなってしまったオールド・ロック・ファンもいそうだ。
11JADED
どうせオレたちは死ぬんだ、とばかりの自暴自棄な歌詞と演奏で疾走するメロディック・パンク・ナンバー。小気味よいドラミングにも、妙に耳に残るギター・リフにも、どこか大味なところがあるが、逆にそこが味となっている。
12WALKING CONTRADICTION
矛盾の前で、にっちもさっちもいかない状態を歌った曲。まるで、ある筋からはパンク、またある筋からはロックンロールだと定義される自らの境遇を歌っているようで、ロックンロールとパンクを巧妙に折衷した風の曲調もシニカルだ。
13STUCK WITH ME
格差社会、権威への反発・反抗を歌ったパンク・ナンバー。格付けされる側から、する側へとノーを突きつける疾走感あふれるアンセムは、絶妙な場所で出番となるコーラスなど、シンガロングをうながす要素もたっぷりだ。
14HITCHIN' A RIDE
ヴァイオリンでペトラ・ヘイデン、アレンジでベックの父デヴィッド・キャンベルが参加。静寂と喧騒を一緒くたにしたロカビリー・パンク風の曲調が秀逸で、ストレイ・キャッツを思わせるシャッフル・ビートが野太く心地良い。
15TIME OF YOUR LIFE
君は君の人生を楽しめた? と問いかける弾き語り曲で、イントロの微笑ましい演奏ミスもそのまま収録。アコースティック・ギターにストリングスが被さるメロウなこの曲は、数ある曲の中でもファンの人気が常に上位だ。
16REDUNDANT
ビリーが妻との関係を歌った曲。軽快な演奏が個性のひとつである彼らが、あえて速く演奏しないでいるミディアム・テンポが心地良い。ビートを速めないことで、逆に彼らのビート感覚の魅力が強調されたポップな秀作。
17NICE GUYS FINISH LAST
“イイ奴ほど最後に登場する”と歌われる王道グリーン・デイ節。「バスケット・ケース」の高揚が継承されたアップ・テンポな楽曲は、ギターレスで歌う序盤などの工夫で、“二匹目のどじょう”と化すことを巧みに回避している。
18MINORITY
キッズのモッシュを呼び起こす、いつもの勢いは少し控えめ。その分、皆の心を一つにシンガロング、至るところで大合唱を巻き起こすパンク・アンセム。歌詞にちりばめられたポリティカルなスタンスも彼らならでは。
19WARNING
ガキンチョ・パンクスから進化を遂げようとも、まったく失われない“歌心”の素晴らしさ。アコースティック・ギターで刻まれていくフレーズの牧歌的な響きも、実にしっくりと絡んでいる。大人の余裕とはこういうもの?
20WAITING
ギターのキレっぷりはパンクそのもの、ひっこみがちな陰のあるメロディはパワー・ポップか? カラッと勢い重視に走るだけでなく、ズッシリとした後味も残すグリーン・デイ節はここに完成。
21MACY'S DAY PARADE
ジョン・レノン版「スタンド・バイ・ミー」やエクストリーム「モア・ザン・ワーズ」の要素で構成したような美麗なバラード。自分の生き方は自分自身で探し出せと、アコースティック・ギターの弾き語りで諭す歌声に深みが感じられる。