ミニ・レビュー
本作で4枚目となるアルバムは、これまで以上に男臭さと人間味あふれる作品に仕上がっている。押し込んでくるような力強さと優しさが表裏一体となった風情は彼らの持ち味だが、そこにシックな楽曲の切れ、シリアスなサウンドが重なり聴き入ってしまう。
ガイドコメント
ソカを採用した夏の定番曲「睡蓮花」をはじめ、「黄金魂」「恋時雨」「親友よ」などシングル曲を豊富に収録した、湘南乃風の4thアルバム。彼らの大きなメッセージが力強い言葉に乗せられ響いてくる、渾身のエンターテインメント作品だ。
収録曲
01Joker
4thアルバム『湘南乃風〜JOKER〜』の冒頭を飾るタイトル曲。風雲急を告げるようなティンパニ風の音で始まるアップで、“バッダ、ダン、ダッド”と威勢よく声を上げ、Aよりも輝けるジョーカーとして乱世の覇者になると意気込む決意表明ソング。
02NO WAY〜悪漢無頼〜
ヘリコプターの飛来音風のSEから幕を開ける、ガツガツと迫る男意気賛歌。揺るがない信念で結束する4人が、幕末を生き抜く勇士のごとく、情熱でこの乱世を勝ち抜くとぶちあげる。武骨だが芯のあるフロウに酔いしれろ!
03黄金魂
テレビ朝日系ドラマ『交渉人 THE NEGOTIATOR』主題歌に起用された7thシングル。恐れずに立ち上がれと励まし、自分らしい心=黄金魂で生き抜けと奮い立たせる。不器用だが熱くかますメッセージに、弱気な自分を捨てられるはず。
04睡蓮花
MINMI制作の6thシングル。“濡れたまんまでイッちゃって!!!”のフレーズが印象的なダンサブルなソカで、ワクワクを予感させるヴァースから一気にフックで爆発する展開は、湘南乃風の熱でさらに温度が上昇。タオルをガンガン回さずにはいられない。
05Mr.Ragga!!
HAN-KUNがメイン・ヴォーカルを務めるハイテンションなラガ・チューン。照りのあるハイトーン・ヴォイスを駆使して、“ワン・ラヴ”精神で“ディージェイ”として死ぬまでレゲエを愛し叫び続けていくというメッセージを詰め込んでいる。
06ダイヤモンド
若旦那がリードを執るハイスピード・ナンバー。MINMIとの共同制作でカリプソの要素も盛り込んでいる。ダミ声で“誰でもダイヤモンドを持ってんだから決してあきらめんな!”と叫ぶメッセージは迫力十分。10-FEETのTAKUMAがギターで参加。
07約束
RED RICEがメイン・ソロのミッド。“勝手わがままな俺だけど、世界中が敵になってもずっと味方でいるよ”と不器用に愛を伝えるメッセージ・ソング。しゃがれ声の歌唱が強烈だが、有坂美香のコーラスと林部直樹のアコギが一時の清涼を運んでいる。
08親愛なる...
SHOCK EYEがヴォーカル・ソロを務めるミディアム・バラード。苦労や心配を掛けた自身の両親と愛する人の“パパとママ”に対し、感謝と永遠の愛を誓うウエディング・ソングだ。照れくさくて言えなかった想いを心の底から歌う姿が微笑ましい。
09曖歌
SHOCK EYE制作による“愛に愛されて、愛に泣く”のフレーズがグッとくるミッド。ワイハでアロハというベタなものから夢はデカいが貯金はゼロというものまで、メンバー4人がそれぞれの愛する人との夢や現状を描く温もりあるナンバーだ。
10湾岸 highway
SHOCK EYEが結成したトラック・チーム、Amin03が制作に参加したナイト・クルージン・チューン。夏の夜のドライヴ・デートに臨む男の気持ちを綴っているが、キザに決めようとしても下心が見えてしまうところがいとおしい。
11SHOW TIME
レゲエ・シーンの最前線でガチンコ勝負を挑み続けると雄々しく狼煙を上げるアッパー・ラガ・チューン。“S・H・O・N・A・N 湘南”のコールから“打て! 打て!”のフックまでを一気に駆け抜ける展開は、まるで真夏の熱風のように熱く速い。
12Left&Right〜名も無き足跡〜
軽快なアコギを配した涼しげなアレンジだが、熱い4人のフロウは構わずに前へズンズンと迫ってくる。その一本気さが胸を打つ。未来をつかむため諦めずに立ち上がれと自らに言い聞かせながら訴える、強烈で愛の深いメッセージ・ソング。
13恋時雨
「純恋歌」系ラヴ・ソングといえる8thシングル。夏の開放感ときらめきが伝わるHAN-KUNの高らかなフックと、愛しき人へ別れを告げた不器用な男を地でいくRED RICEらのがむしゃらな歌唱が、甘く切ない晩夏の季節感を絶妙に醸し出す。
14親友よ
映画『ドロップ』主題歌として書き下ろした9thシングル。土の匂いのする乾いたギターを配した、荒野を進んでいくようなサウンドの上で、友人へエールを送る。“負けるな Tomorrow”と“負けるな 親友(とも)よ”の押韻が耳に残る青春賛歌だ。
15rainy
艶あるテナー・サックスをアクセントにしたミッド・スロー・ラガ・チューン。スウィートなムードのトラックをバックに、一夜のダンスホールの悲喜こもごもをとおして“音楽があればなんだって上手くいくのさ”と愛する音楽へのリスペクトを綴っている。