ミニ・レビュー
実に意欲的で自由な空気のあふれる演奏だ。伝統的なバッハなどまったく眼中にないようで、思いの丈を描き切っている。けれども決して自分勝手でもなく、受けを狙ったものではない。グールドが健康だったら、こんなふうに弾いたかもしれない演奏とも言える。
ガイドコメント
グリモー初のバッハ。彼女らしく、曲の配列はかなりの凝りようで、「平均律」を軸に、オリジナルからピアノによる編曲へと展開してゆく。全編がピアノでの演奏で、そこに二重のトランスクリプトがされている。
収録曲
J.S.バッハ:
01平均律クラヴィーア曲集第1巻〜前奏曲とフーガ第2番ハ短調BWV847
02平均律クラヴィーア曲集第1巻〜前奏曲とフーガ第4番嬰ハ短調BWV849
03ピアノ協奏曲第1番ニ短調BWV1052
04平均律クラヴィーア曲集第2巻〜前奏曲とフーガ第6番ニ短調BWV875
05シャコンヌ ニ短調 (ブゾーニ編) (無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004からの編曲)
06平均律クラヴィーア曲集第2巻〜前奏曲とフーガ第20番イ短調BWV889
07前奏曲とフーガ イ短調 (リスト編) (オルガンのための前奏曲とフーガBWV543からの編曲)
08平均律クラヴィーア曲集第2巻〜前奏曲とフーガ第9番ホ長調BWV878
09前奏曲ホ長調 (ラフマニノフ編) (無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番BWV1006からの編曲)
演奏
エレーヌ・グリモー(P) (3)ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
録音
(1)(2)(4)〜(9)2008.8 (3)2008.5