ミニ・レビュー
約2年ぶりとなるアルバム。一聴、剛の声質に変化を感じる。ソロを経て、アーティスト魂に磨きがかかったということか。ともあれドリカム、達郎、拓郎、松本隆、秋元康と、豪華作詞・作曲陣を迎え、どこまでも豪華に。危なっかしさが薄れたところが物足りないなどと言っては、贅沢すぎる?
ガイドコメント
約2年ぶりとなるアルバム。絆・軌跡・感謝・感動……と“K”が頭文字となる言葉をテーマに、山下達郎、吉田拓郎、Dreams Come True、筒美京平、松本隆、秋元康ほか豪華作家陣と再びタッグを組んだメモリアルな作品だ。
収録曲
01願う以上のこと 祈る以上のこと
作詞に吉田美和、作曲は中村正人とDREAMS COME TRUEの二人による提供曲。シンセサイザーとブラスを用いたハデめのイントロが印象的なポップ・ナンバーだ。きみを不安にさせたことを後悔し、もう一度信じてくれと強く訴えかける。
02同窓会
小気味良いギターのカッティングが楽しいアップ・ナンバー。松本隆が詞を手がけ、同窓会を舞台にした、かつて想いを伝えられなかった君との甘酸っぱいやりとりを描く。カラフルで軽やかな編曲はCHOKKAKUによるもの。
03危険な関係
KinKi Kidsの二人と関わりの深い吉田拓郎が詞曲を手がけたナンバー。シリアスなイントロから、届きそうで届かない危険な二人のストーリーを描く。メロディに散りばめられた“拓郎節”ともいえる旋律が胸を打つ。
04ラジコン
松本隆×筒美京平のゴールデンコンビによる提供曲だが、意外にもこのコンビでの提供は初めて。きみの手のひらで踊らされる自分をラジコンにたとえながら、“でもそれでいいじゃない”と歌うハートウォームなナンバーだ。
05さよならのエトランゼ
過不足のない絶妙なアンサンブルで、大人びたラテンのフレイヴァーを感じさせるミディアム・ナンバー。もう一度会いたいと願っていたきみに街で偶然出会ったものの、楽しげなきみはぼくには気付かない……切ない男心が描かれる。
06Family〜ひとつになること
作詞を堂本剛、作曲を堂本光一が手がけた30thシングル。ピアノやストリングスを中心に展開する壮大かつあたたかなミディアム・バラードだ。家族をテーマにさまざまな情景を巧みに取り入れながら、ラストの“ありがとう”のひと言に集約させる手腕は見事。
07いのちの最後のひとしずく
山下達郎が2011年に発表したアルバム『Ray Of Hope』収録曲のカヴァー。洗練されたシティ・ポップ風のアレンジが出色の楽曲で、“いのちの最後のひとしずく”まであなたを愛してるとまっすぐに歌い上げる。
08ヒマラヤ・ブルー
11thシングル「ぼくの背中には羽根がある」と同様、作詞・松本隆、作曲・織田哲郎のコンビで手がけたミディアム・アップ。今はもういない君を想いながらヒマラヤを旅をする物語で、一気に視界が開けるように広がるサビのアレンジが秀逸。
09もっと もっと
リズミカルなビートの上で遊ぶハーモニカがユニークなナンバー。キャッチーな“もっと もっと”のフレーズを前面に押し出した、思わず笑みがこぼれだすような楽しげな歌唱が印象的。作詞曲はYO-KING、編曲は堂島孝平。
10破滅的 Passion
情熱的なフラメンコ・ギターやハンド・クラップが随所に登場するラテン風味全開のナンバー。かつては手に負えなかった“破滅的な恋”を思い返し、今ならばためらわず君を連れ去るのに……と秋元康ならではの言語感覚で綴る。
112nd Movement
ハードなテイストで進むエレクトロなサウンドが新鮮なアップ・チューン。誰もが孤独な時代だけど、大切なあなたへ何度でもこの想いを届けたいと歌う。胸に秘めた熱い想いを表現したかのようにギター・ソロがうなる間奏も見事。
12Time
PS3用ゲーム・ソフト『真・三國無双6』イメージ・ソングの31stシングル。U-Key zoneが詞曲、編曲を手がけたダークでシリアスなサウンドが魅力的。音数は少ないながら、巧みなコーラスワークで世界観を構築している。
13きみとぼくのなかで
ギターのカッティングとリフを中心に展開する堂島孝平提供のナンバー。“言いたいことを言う”ことの難しさや切なさを描きつつ、何かをふっきるかのようにサビではポップな広がりを見せるアレンジが楽しい。転がるようなピアノのソロもクール。
14僕が生まれた日
「青の時代」「もう君以外愛せない」を彷彿とさせるような、ピアノを中心としたドラマティックなバラード。地球で生きるすべてのものは繋がっているという壮大な詞世界とともに、二人の美しいハーモニーが心をじんわりとあたためてくれる。
15Family〜ひとつになること (Unplugged)
詞を堂本剛、曲を堂本光一が手がけた30thシングルのアンプラグド・ヴァージョン。ピアノとコーラスのみで描かれるあたたかなサウンドに合わせ、二人のヴォーカルもよりやわらかく歌われている。家族をテーマにした感動的な詞が沁みる。