ミニ・レビュー
活動再開から約1年半、10年ぶりとなる待望のアルバム。前半には黒っぽいナンバーが並んでおりファンク指数高し。ところが後半には、北欧エレキ・サウンド、三線スカ、カントリーと一味も二味も変わったナンバーが並んでいて、彼らの本領発揮!
ガイドコメント
2006年4月から活動を再開した米米CLUBの、実に10年ぶりとなるオリジナル・アルバム。解散期間にそれぞれのメンバーが培った経験を詰め込んだ充実作で、彼らならではのエンタテインメント性にあふれている。
収録曲
01浪漫飛行'07
元来は87年リリースのアルバム『KOMEGUNY』に収録され、3年後の90年にJALのCMソングとしてシングル・カットされたナンバーのリメイク。オリジナルより黒っぽさを増して、ファンク・テイスト満載にリアレンジしている。
02WE ARE MUSIC! (Album Version)
30枚目のシングルを、アルバム・ヴァージョンとしてリアレンジ。ファンキーな16ビートのミディアム・スロー・ナンバーで、何度も連呼される“Everybody Needs Some Music”というメッセージが耳に残る。
03恋し魔法・愛し魔法
ボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」や吉田拓郎「春だったね」を彷彿とさせるようなオルガンのラッキー・フレーズ。そのクールなオルガンとクリーンなギターをバックに、素直なヴォーカルがここちよく乗るミディアム・エイト・ナンバー。
04E-ヨ
活動再開記念シングル3部作の第2弾。テクノチックなタイトルとは裏腹な、バウンス16ビートのパーティ・チューン。ファンキーなホーン・セクション、R&Bスタイルのギター・カッティング、休符を極力活かしたベース・ラインなど、ブラック色が強く出たエンタテインメントな1曲だ。
05くされ縁
「出逢い」と「別れ」をテーマに、コミカルな視点から描いたポップ・チューン。モータウンをリスペクトしたかのようなイントロ、ゴージャスなストリングス、さりげない変拍子の導入など、お遊びに終わらない完成度の高いサウンドだ。
06しょうがねえな
バウンス16ビートのミディアム・ファンク・ナンバー。グルーヴするドラムス、休符を最大限に活かしたベース、アル・マッケイを彷彿とさせるギターと、ファンク度はマックス。カタカナを主体とした言葉遊びのような歌詞もユニーク。
07忘れないよ
ワウワウ・ギターが全編にフィーチャーされた、ミディアム16ビートのソウル・ナンバー。フィリー・ソウルのような印象的なストリングスと壮大で美しいハーモニー、メロウこの上ないトラックをバックに、石井が感情的に歌い上げている。
08WELL COME 2 (Album Mix)
アグレッシヴな勢い満点のアッパー・ソウル・ナンバー。ライヴのオープニングにぴったりの雰囲気は、まさに米米版「キャント・ターン・ユー・ルーズ」。コール&レスポンスと豪華なブラス・セクションによって、華やかさは最高潮に。
09この宇宙で
ギターのカッティングから始まってオルガン、ホーン・セクションと、徐々に盛り上がってくるイントロが高揚感をもたらすファンキー・チューン。サビ前のブレイクや、得能のアグレッシヴなギター・ソロ、倍速になるリズムなど、作りこまれたアレンジで聴き応え満点!
10君を離さない
メロディアスで叙情性にあふれたサウンドやエレクトリック・シタールの音色など、エキゾティックな雰囲気が漂う、トリップ感満点のジェントリーなバラード。彼らの92年のヒット曲「君がいるだけで」の歌い出しを引用し、当時を想起させる演出も○。日テレ系『DRAMA COMPLEX』主題歌。
11ロシアン・ルームメイト
歌詞にチャイコフスキーがたびたび登場するが、彼の影響はまったくなく、“GS”かエレキ・サウンドかといった60年代の雰囲気がたっぷりのガレージ・チューン。日本人がイメージするロシアをそのままに描いた詞を、大仰なヴォーカルでコミカルに歌う。
12アイコトバはア・ブラ・カダ・ブラ Remix (米米CLUB vs HOME MADE 家族)
94年リリースのシングル「ア・ブラ・カダ・ブラ」とHOME MADE 家族の「アイコトバ」をマッシュ・アップしたナンバーのリミックス。「アイコトバ」のBPMを若干落としたことにより、違和感なく見事に溶け合った仕上がりとなっている。
13MATAcTANA
米米CLUBの手にかかれば、単なる悪ふざけだってパンチの効いたエンタテインメントに仕立て上げちゃう。和なテイストが満載の、痛快なハチャメチャ・トラック。カールスモーキー石井のべらんめえ口調も聴きどころだ。
14スゴクおいしい
リズムはスカなのになぜかフィーチャーされているのは金子の三線。どことなく演歌調のヴォーカルのわりには“エブリバデセイ!”“シンガソングプリーズ!”とおいしいところに英語詞。彼らしかできないような和洋折中ナンバーだ。
15運気
オルタナティヴ・カントリー風のポップ・ナンバー。バックではメンバー(?)の歓声が入っていて、パーティやスタジオ・ライヴのような雰囲気。得能はペダル・スティールを使用せずにボトル・ネックで代用、意外にもそれっぽくなっている。
16ひとりじゃないだろう
アルバム『komedia.jp』のエンディングを飾る、人と人との結びつきを題材にしたポジティヴなバラード。シンプルなアレンジながら、ホーン・セクションを随所に配したドラマティックなトラックをバックに、石井が切々と歌い上げている。