ガイドコメント
UKの6人組ロック・バンド、ロストプロフェッツの第3弾アルバム。スクリームやギターの過剰なヘヴィ・リフは影を潜め、その分、強烈にキャッチーな楽曲が目白押しの注目作だ。
収録曲
01EVERYDAY COMBAT
「毎日が闘いなんだ」と日常の厳しさを歌詞に刻み込んだ現代版ワーク・ソング。エレクトリック・ギターのウォール・オブ・サウンドを、元ヴァンダルズの名ドラマー、ジョシュ・フリースによる高速ドラミングが切り裂いていく!
02A TOWN CALLED HYPOCRISY
ザ・ジャムの「悪意という名の街」からの系譜を受け継ぐ英国青春ソング。ユニゾンによるサビの大合唱には否が応でもテンションが上がってしまうはず。複数のギター・リフを同時に奏でることによって楽曲のスピード感を際立たせている技巧にも注目。
03THE NEW TRANSMISSION
あんたの望むようにはならないぜ! と権威に対して唾を吐きかけるパンク・ロック・チューン。エレキ・ギターのパワー・コードでひたすら押し切る、力強さに満ちた楽曲構成だ。イアン・ワトキンスの熱いシャウトも堪能できる。
04ROOFTOPS (A LIBERATION BROADCAST)
生きた証を残すために、屋根の上に立って心の底から叫ぶんだ……。そんな切実な想いをキャッチーなメロディに乗せて歌い上げた、深みと包容力を感じさせるスケールの大きなアンセム・ソング。ライヴでは大合唱必至のナンバー。
05CAN'T STOP, GOTTA DATE WITH HATE
キーボード・サウンドをフィーチャーした王道スクリーモ・ナンバー。青臭いメロディ・ラインと疾走するビートとの絡みが、叶わぬ恋を綴った歌詞と見事にマッチしており、狂おしいほどの切なさを描き出している。
06CAN'T CATCH TOMORROW (GOOD SHOES WON'T SAVE YOU THIS TIME)
軽やかなシャッフル・ビートとエレクトリック・ギターの切れ味鋭いコード・カッティングが躍動感満点のポップ・チューン。プロデューサーであるボブ・ロックの個性が発揮された、80年代アメリカン・ロック風のきらびやかなサウンドだ。
07EVERYBODY'S SCREAMING!!!
ネガティヴな意味での“叫び”つまり悲鳴をテーマにした、「ルーフトップス」の叫びとは対をなすロック・チューン。底なしの闇から必死に逃れようとしているかのような、イアン・ワトキンスの切迫感に満ちたヴォーカル・パフォーマンスが聴きもの。
08BROKEN HEARTS, TORN UP LETTERS AND THE STORY OF A LONELY GIRL
悲しみを振り切ろうとするかのような疾走感とメランコリックなメロディをあわせ持つ失恋ソング。別れた恋人への強がりを綴った、英国バンドらしいひねくれた歌詞だが、逆にそれが失恋によって負った心の傷の大きさを浮き彫りにしている。
094:AM FOREVER
親友を失った深い悲しみと取り戻せない過去への悔恨の念を切々と吐露したバラード・ナンバー。歪みを抑えたエレクトリック・ギターの繊細なフレージングによって、止むことのない心の痛みを巧みに音像化している。
10FOR ALL THESE TIMES SON, FOR ALL THESE TIMES
未来への真っ直ぐな想いを伸びやかに歌い上げたヘヴィ・ロック・ナンバー。ド派手なコーラス・ワークは「今日から始まるんだ」という強い意志を体現しているかのよう。イアン・ワトキンスのヴォーカルにも力がこもっている。
11HEAVEN FOR THE WEATHER, HELL FOR THE COMPANY
80年代ニューウェイヴ風のダンス・ナンバー。リヴァーブが強めにかかったエレクトリック・ギターのクリアな音色も雰囲気満点。16ビートを淡々とそして的確に刻み続けるドラムは、まるでニュー・オーダーのようだ。
12ALWAYS ALL WAYS (APOLOGIES, GLANCES AND MESSED UP CHANCES)
互いに別の道を歩き始めたけれど、僕はまだここで君を待っているよ……。そんな未練混じりの一途な想いを歌に託したミディアム・チューン。激しくかき鳴らされるエレクトリック・ギターが、ズルいくらいに感情を揺さぶる。