ミニ・レビュー
グラミーを受賞したファーストから3年ぶりとなる待望の2作目。ブレンダン・オブライエンが制作を担当し、前作を大きく上回るアグレッシヴでエモーショナル、そしてワイルドなサウンド&ヴォーカルで極上のヘヴィ・ロックンロールを聴かせる秀作。
ガイドコメント
グラミー賞も受賞したロック界のドリーム・バンド、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーの2ndアルバム。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやパール・ジャムを手がけたことでも知られる名手、ブレンダン・オブライエンのプロデュースという注目作だ。
収録曲
01LET IT ROLL
ファム・ファタール(運命の女)とでもいえる魅惑的な女性に出会い、彼女を求める想いと忘れようとする気持ちの間で葛藤する男の姿が、パワフルかつスピーディなサウンドに乗って歌われる。スラッシュの伸びやかなギターが心地よい。
02SHE MINE
スコット・ウェイランドの存在感あるヴォーカルとスラッシュのギター・ワークが絶妙に絡み、妖艶な雰囲気を醸し出すナンバー。ロックの古典的命題=女、車、ドラッグに精神疾患をプラスした歌詞には、現代アメリカの病巣の深さが。
03GET OUT THE DOOR
肉体的な弾力性とメタリックな感触が有機的に結びついた、タフなロックンロール・ナンバー。聴き手のイマジネーションを喚起する意味深な歌詞も面白く、スコット・ウェイランドのヴォーカルも絶好調といった感じだ。
04SHE BUILDS QUICK MACHINES
ダフ・マッケイガンのベースとマット・ソーラムのドラムスが強靭なリズムを叩き出し、スラッシュのギターが奔放に飛翔する、ガンズ以来のファンにはたまらない曲。エロティックな詞も含め、典型的なバッドボーイズ・ロックンロールだ。
05THE LAST FIGHT
ハードにドライヴするトラックが続くアルバム『リベルタド』で、程良いアクセントとなっているミディアム。人生の酸いも甘いも噛み分けたヴェテラン・ロッカーならではの余裕とホロ苦さをともなった男の哀愁が、演奏や詞に宿った味わい深い一曲。
06PILLS, DEMONS & ETC...
ファンキーにうねるリズムを前面に打ち出した、グルーヴ感あふれるヘヴィ・チューン。ジャンキーをテーマにした詞にも、このメンバーならではの説得力がある。スラッシュのシャープなギター・ワークが実にカッコイイ。
07AMERICAN MAN
“9.11”のショックと泥沼状態に陥っているイラク戦争により、喪失感に打ちのめされているアメリカ人の揺れる心情を赤裸々に、激しく描いたハードなナンバー。スコットのエモーショナルなヴォーカルが素晴らしい。
08MARY MARY
エッジを効かせた鋭いビートとヘヴィなドライヴ感が融合した、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーならではのロックンロール・チューン。魅力的な女性に対するホットな愛情を吐露する、スコットのリラックスしたヴォーカルは文句なしだ。
09JUST SIXTEEN
スラッシュのスピード感に満ちたワイルドなギター・プレイが全編にわたって躍動し、スコットのエモーショナルな歌声が炸裂するハード・ロック・チューン。十代の危うい情事・秘め事を悔恨交じりに描いた現代風な歌詞も秀逸。
10CAN'T GET IT OUT OF MY HEAD
感傷とロマンティシズムをたたえた詞や美しく柔らかなメロディを持つELOの曲を、ヴェルヴェット・リヴォルヴァー流にカヴァー。スコットのマイルドなヴォーカルとスラッシュの激情を振り絞るようなギターのコントラストも鮮やか。
11FOR A BROTHER
ガンズ・アンド・ローゼズの流儀を今風に受け継ぎ、咀嚼したグルーヴィなファンキー・ロックンロール。心身ともに傷つきながらも精神の解放を勝ち取った男を描いた詞には、抽象的だが心に訴えかけてくるものがある。
12SPAY
ヘヴィ・アンド・ラウドにドライヴする躁状態のサウンドをバックに、怒りや苛立ちをストレートに描写。スコット・ウェイランドがパワフルなヴォーカルでブチまける、エネルギッシュかつカオティックなナンバー。
13GRAVEDANCER
ゆったりとした穏やかなメロディに乗って歌われる、スコットのジェントルなヴォーカルが心地よく響くミディアム・バラード。どこか70年代のウエストコースト・サウンドを想起させるところがあり、彼らのルーツが感じ取れる。
14GAS & A DOLLAR LAUGH
アルバム『リベルタド』のボーナス・トラック。ワイルド&アグレッシヴな中にもポップな意匠を取り込んだ表題曲と、スラッシュが奏でる生ギターに合わせてほのぼのとしたセッションを繰り広げる2部構成で、緊張と弛緩のメリハリが小気味いい。
仕様
エンハンストCD内容:リ・エヴォリューション:メイキング・オブ・リベルタド