01BLITZKRIEG BOP
冒頭の「HEY! HO! LET'S GO!」という掛け声が有名な、デビュー・アルバム『ラモーンズの激情』のオープニング・ナンバー。サタデー・ナイトの陽気な喧噪を体現したかのような、無邪気で無骨なサウンドが、いかにもラモーンズらしい。
02BEAT ON THE BRAT
ブンブンと跳ねるベースが全体を牽引するタイトなパンク・ソング。クイーンズに住む悪ガキを歌ったという歌詞通り、ヤンチャなエネルギーに満ちた曲。バブルガム・ソングからインスパイアされたという冒頭のコード・チェンジにも注目。
03JUDY IS A PUNK
ディストーションの効いたギターが炸裂する1分半のパンク・ソング。短い時間に凝縮された3コードの熱量が限界まで膨張して爆発を繰り返している。誰にも真似できない、孤高のパンク・スピリットが体現された1曲。
04GIMME GIMME SHOCK TREATMENT
シンプルなコード進行をかき鳴らしながら、ギターが疾走していくパンク・ナンバー。凄まじいテンションで繰り広げられるセッションを真空パックしたようなみずみずしさは、決して色褪せない。青さをめいっぱい詰め込んだ1曲だ。
05COMMANDO
戦争や兵隊を極端にデフォルメした内容の歌詞で、徹底的に笑い飛ばした曲。明確な政治的な姿勢が提示されてはいないが、「どうでもいいよ」と軽くあしらうところが、いかにも彼ららしい。ハンド・クラップを取り入れ、煽動的で狂騒感も増している。
06GLAD TO SEE YOU GO
骨太なギター・サウンドが炸裂するパーティ・チューン。ダンサブルなビートにノリやすいキャッチーなサビなど、盛り上がる要素が満載。しかし詞に女優シャロン・テート殺害を指揮したチャールズ・マンソンの名を用いる視点が、なんともラモーンズらしい。
07PINHEAD
エッジの効いた鋭いギター・カッティングがなんともカッコイイ1曲。ペチャクチャとうるさい世間をあざ笑う詞と、それらを蹴飛ばすように奏でられる無骨なサウンドが、青さを伴ってみずみずしいエネルギーを放っている。
08ROCKAWAY BEACH
アンダーグラウンドなイメージの強いラモーンズが太陽の下に踊り出た感じの、陽気なサマー・パンク・チューン。彼らの得意とするバブルガム・ビートだけでなく、ディスコ的なアプローチを見せたヒット曲だ。
09WE'RE A HAPPY FAMILY
クイーンズ地域で貧しい暮らしをしている家族とその生活環境の劣悪さを、「俺たちは幸せな家族」と皮肉めいて歌った曲。こうした惨状を笑い飛ばすという度量の広さやユーモアのセンスも、ラモーンズならではの特色といえる。
10SHEENA IS A PUNK ROCKER
3コードの無骨なメロディが目立つ、ラモーンズの楽曲の中でも際立ってポップな1曲。突き抜けるように明るいサウンドとハンド・クラップやタンバリンの音が、どこまでも気持ちをたかぶらせる心地良いナンバーだ。
11TEENAGE LOBOTOMY
イントロからの「ロボトミー!」という掛け声から理性が吹っ飛ぶパンク・ナンバー。鋭いギター・リフの切れ味も素晴らしいが、それは力強いドラミングが支えるリズムの基盤があってこそのものだろう。
12I WANNA BE SEDATED
ツアー中に加湿器が突然爆発し、それによってジョーイが入院した時の経験が元になって生まれた曲。このバンドならではの逸話という気がしないでもないが、気だるそうな歌声とメロディがなんともいえない倦怠感を醸し出している。
13I'M AGAINST IT
これぞラモーンズ! と言いたくなるくらいにかっ飛んだギターの疾走感が体感できるナンバー。「何もかもが好きじゃない、俺は反逆者」と歴然と言い放つ、あまりにも孤高な態度に惚れ惚れとする。粗暴性と反骨精神を極めるパンクの真髄を具現化したような崇高なナンバーだ。
14I WANTED EVERYTHING
性急なギター・リフが全体を牽引する迫力のあるパンク・チューン。コードが3つしかないミクロな世界から、世界全体を震撼させるほどエネルギーみなぎるサウンドを打ち出す彼らの才能はやはり偉大だ。生き急ぐスピード感があまりにみずみずしい。
15I JUST WANT TO HAVE SOMETHING TO DO
やることのない虚しさと焦燥感の中で、恋人と気だるく夜を過ごすさまを描く、真夜中の放蕩ソング。通常のラモーンズの曲より若干ゆるめのBPMで展開される、深夜独特の静けさと妙なゆるさが同居するナンバーだ。
16ROCK 'N' ROLL HIGH SCHOOL
アラン・アーカッシュによる同名の反逆コメディ映画の主題歌として書かれた曲。跳ねるようなドラムから一気に雪崩れ込むサウンドは、十分に尖っていながらも、この時期のラモーンズとしては随分とメロディアスなものだ。
17DO YOU REMEMBER ROCK 'N' ROLL RADIO?
「ラモーンズの曲といえば」と聞かれ、まず思い浮かぶと思われる曲。フィル・スペクターによるサックスやオルガンを導入したウォール・オブ・サウンドは、陽気を通り越して狂気的ですらある。ラモーンズの新境地を拓いたポップ・チューンだ。
18THE KKK TOOK MY BABY AWAY
ポップ・バンドとしての地位を確立しつつあった当時のラモーンズの現状に対して不満を募らせていた、ジョーイの怒りが噴出した曲。メロディのポップさは残しつつも、タイトルからも想起できるような反骨的な姿勢が目立つ。
19PSYCHO THERAPY
それまでなりを潜めていたディストーションを効かせた攻撃的なサウンドが復活した1曲。荒々しさを全面に押し出し、パンク・スピリットの再建を打ち立てた強烈なサウンドは、以前からの青さを残しつつも、技術的な成熟を経てさらに磨きがかった印象だ。
20OUTSIDER
凶暴なギター・サウンドが牙を剥いているのは変わらないが、メロディにかなり重心が寄せられた1曲。流れるような歌のフレーズはキャッチーで、およそラモーンズらしくない感じもするが、骨太なスタイルは変わらず維持されている。
21HIGHEST TRAILS ABOVE
ゴリゴリしたギターがまわりを巻き込んでいくかのように転がっていくロックンロール・ナンバー。ドリーミーな情景描写が歌詞に登場するなど、サウンドの激しさとは裏腹のラモーンズ流のラブ・ソング。
22WART HOG
ラップのように繰り出される矢継ぎ早のヴォーカルと、サビでのシャウトの対比が印象的な1曲。ガンガン切り替わるギターのコードもパンキッシュでかっこいい。どちらかというと現代のメロコア的な要素を感じるナンバーだ。
23MAMA'S BOY
ヘヴィなギターを中心に大きなグルーヴを描く、ミドル・テンポのロックンロール・ナンバー。ストレートなパンクをかたくなに続けてきた彼らが時代の流れに迎合したともいえるが、新境地を拓いたという意味ではやはり興味深い曲だ。
24SOMEBODY PUT SOMETHING IN MY DRINK
キーボードが導入されるなど、いかにも80年代的なアレンジが目立つ曲。メロディも当時の流行のハード・ロックを意識した大仰なもので、ラモーンズらしさはほとんど残されていない。時代の波に飲まれていく後期ラモーンズの苦悩が垣間見られるようだ。
25I WANNA LIVE
ハードなギターは鳴りを潜め、キーボードのフレーズが強調されている1曲。全体的にスカスカな音である印象は否めないが、ポップネスを追求した結果と考えれば合点がいく。メロディに関しては折り紙付きの良さ。
26GARDEN OF SERENITY
きらめくようなギターのアルペジオから一気に畳み掛けるロックンロールを展開。スライド奏法を披露するなど、ハード・ロックへの傾倒が目立つナンバーだ。さすがに老いは感じさせるが、洗練されたメロディが胸を打つ。
27I BELIEVE IN MIRACLES
ファズを効かせたギターにどこかしらグランジの匂いを感じる作品。若き日の栄光を思い描き「奇跡を信じよう」と歌うさまを前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるかで解釈はまったく違ってくるだろうが、走り続けることを諦めない姿勢は評価に値するといえる。
28MAIN MAN
鬱憤をぶちまけるように炸裂するヘヴィなギター・サウンドが爽快な1曲。衰えは感じさせつつも、当時流行したハード・ロック・サウンドをどんどんと取り込んでいく柔軟なスタイルは健在。時代を生き残ろうとする貪欲な精神はロックンロールの魂そのものだ。
29STRENGTH TO ENDURE
流れるようなディストーション・ギターのリフと、グッド・メロディなサビの盛り上がりに心打たれるロック・チューン。追求し続けたポップネスとバンドの持ち味であるハードさが見事に結実した1曲だ。
30THE CRUSHER
3コードのエッジの効いたギターによる破壊的なサウンドで、全盛期のラモーンズ・パンクを思い出すハードな1曲。若いものにはまだまだ負けんとばかりに打ち出された音に、永遠のパンク・スピリットを感じずにはいられない。