ガイドコメント
デビュー15周年を迎える2013年、5ヵ月連続リリース第4弾となる14thオリジナル・アルバム。98年のデビュー以降、J-POPシーンはもちろん、アジアでのトップランナーとしても活躍してきた歌姫が、大きな節目にリリースする渾身作だ。
収録曲
01Wake me up
エバーライフ「皇潤sports」CMソングに起用された、エレクトロとロックのテイストを絶妙にブレンドさせた“ayuらしい”アップ・チューン。“何でもあって何にもない砂のお城”という象徴的な言葉を中心に、力強いヴォーカルを響かせる。
02Song 4 u
ピアノによる流麗なイントロからストーリー性を内包したスケールの大きなサウンドを響かせる、PS3『テイルズ オブ エクシリア2』テーマ・ソング。曲の後半に向けて盛り上がりを見せる構成だが、ラストでさらに一段階ギアを上げるアレンジが秀逸。
03Missing
逢いたい時に逢いたいってあの頃は言えていたのに……変わっていく二人の関係を綴った率直な言葉が印象的。諦めにも似た穏やかさを感じさせる前半から、サビで一気にあふれ出す想いが胸に刺さる。同じ言葉を重ねてうまくリズムをつける技術も見事。
04SAKURA
“生きていく事”というシンプルにしてどこまでも深い問いを真正面から受け止めた正統派バラード。ハープを含んだストリングス、歪みを多めに効かせたギターやコーラス、スケールの大きなメロディなど、すべてが完璧に機能した逸品だ。
05Melody
アコースティック・ギターの音色が温かく響くミディアム・バラード。“君と僕の幸せのメロディー”を育てていこうと語りかける歌詞も優しさと愛に満ちている。シンプルな想いをしっかりと伝えることの大切さに気付かせてくれる。
06task'n'bass
オリジナル・アルバムではもはや恒例ともいえる、tasuku制作のインストゥルメンタル。2分ほどの小品だが、その時間を最大限に利用。バッキバキのエレクトロ・サウンドをはりめぐらせて、無条件に心と体を躍らせてくれる。
07Bye-bye darling
複雑なギター・リフを全編にわたって敷き詰めたアッパーなロック・チューン。“僕の永遠”だと思っていた君から手を離す苦悩を綴った歌詞が切なく痛い。うっすらと響く門脇大輔ストリングスによる弦アレンジも、曲が持つ芯の強さをうまくサポート。
08snowy kiss
小室哲哉が作曲を担当しており、tasukuの手による編曲もあいまってまさに“TK”な一曲。6分超という長尺のナンバーだが、曲の持つ緊張感がその長さをまったく感じさせない。愛する人との別れを綴った切ない歌詞の温度感が絶妙だ。
09Sweet scar
D・A・Iが作曲を手がけた静謐なバラード。囁くようなayuのヴォーカルと曲全体を支配するピアノに完璧に寄り添い、“柔らかく力強い”複雑な感情表現を可能にした徳澤青弦(チェロ)と最上峰行(オーボエ)の手腕が光る。
10petal
ゴシック風のアレンジと要所に配した異国情緒あふれるフレーズが、重厚にして独特な雰囲気を作り出す3拍子のミディアム・バラード。花占いに想いを託す健気な気持ちを綴っており、手紙のような、物語の語り部のような距離感が新鮮。
11glasses
14枚目のオリジナル・アルバム『LOVE again』の終盤に配された中野雄太作曲によるインストゥルメンタル。短く区切り、エフェクトを効かせたコーラスをうまく用いて、焦燥感にも似たつかみどころのない感情を刺激する。
12untitled for her...story 2
2008年のアルバム『GUILTY』に収録された「untitled〜for her〜」の“story 2”というタイトルを冠した感動的なバラード。もちろん曲の世界観は共通しており、大切な人との別れを乗り越えた前向きな姿が心を温めてくれる。
13Gloria
抑え目な前半からストリングスを配したロック・テイストのドラマティックなサビへと突入する、バラードのひとつのひな形といえるアレンジが楽しめるナンバー。過去をすぐに忘れてしまう自分たちへの戒めを込めつつ、明日へのエールを歌う。
14Ivy
フジテレビ系ドラマ『鬼女』主題歌となった小室哲哉提供曲。ゆったりとしたテンポの上で細かい動きを見せる難度の高いメロディの上で、声をひたすらに張るわけではなく、しっかりと内側に秘めた感情を響かせるayuのヴォーカルが見事だ。
15You&Me
「snowy kiss」と同じく作曲・小室哲哉、編曲・tasukuの組み合わせで制作されたnissen「2012秋冬」CMソング。突き抜けるように明るいサビのメロディが印象的なアップ・テンポのナンバーだけに、穏やかなラストの余韻は格別。