ガイドコメント
ヒット・シングル「イッサイガッサイ」「スタート」「国民的行事」を含む全12曲入りの2ndアルバム。それらシングル曲以外も名曲揃いの傑作に仕上がっている。
収録曲
01H.A.P.P.Y
2ndソロ・アルバム『愛・自分博』のオープニング・トラック。女性コーラスとシンセのループによる優しげなトラックをバックに、前向きなライミングを聴かせる一曲で、タイトルどおりにハッピーにしてくれる。とても和めるリラクゼーションを感じさせ、のんびりとした気分で楽しめる仕上がりとなっている。
02国民的行事
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に歌詞を乗せてしまったという、遊び心あふれるトラック。麗しい弦楽の調べに、リズムとスクラッチを乗せ、“やるぞ、やるぞ、やるぞ、俺はやるぞ”とやる気満々を高らかにアピール。かのモーツァルトも、まさかこんな歌詞が付くなんて夢にも思わなかったろう。
03It's for you
耳に残るメロディを奏でるストリングス系のシンセをループさせたトラックが印象的な、ミッド・テンポの叙情的な一曲。淡々としたラップを聴かせるが、ブレイクやコーラスの入れ方でアクセントを付けている。終始低目の声で、語りかけるような優しさを感じさせる。表現力の豊かさとトラック作りの上手さが光る。
04いいと思う
どこかのどかなトラックと女性コーラスが耳につく。そのトラックをバックにしたラップは、全体的にゆったりとした雰囲気。“笑っていいとも”と聴こえるコーラスが、妙にテンションが低くて少しばかりファニーな雰囲気も醸し出している。なんだかホッと一息つけるような優しい一曲で、心地良さが抜群だ。
05island life
KREVAがプロデュースした女性シンガー、SONOMIをフィーチャリングしたナンバー。沖縄の三線が心地良く響き、タイトルどおり、“島”を想わせる。青森出身のSONOMIに、南国の雰囲気あふれる曲を歌わせるというミスマッチも非常に興味深く、また、見事にハマっている。音楽的センスにあふれる仕上がりだ。
06イッサイガッサイ
まったりするでもなく、バカ騒ぎするでもなく……なんともいい塩梅のリゾート系サマー・チューン。ゆったりしたリズム・トラックに乗せた木管とアコギの調べが、なんとも心地よい清涼感を生み出している。そよ風に吹かれていたら、いつの間にか猛暑が終わっちゃいました、という感じの爽やかな3分のヒップホップ。
07涙止まれよ
KREVAのレーベル“くLABEL”の第1弾アーティスト、SONOMIをフィーチャリングしたナンバー。シングルになった「イッサイガッサイ」と同系統の、キャッチーで優しげなトラック作りになっている。SONOMIの歌うコーラスのメロディが非常に印象的で、誰かを励ます前向きなラップと相まって良い効果を生んでいる。
08江戸川ロックオン
CUEZEROとWADAをフィーチャリングし、出身地である江戸川区に対する郷愁を謳った一曲。ゆったりとした雰囲気で、同じ団地に住んでいたというCUEZEROとの相性バッチリのラップを聴かせる。“ガキの頃の話”というコーラスも耳に残る。エンディングは、友人と思われるさまざまな名前を連呼してフェイド・アウトする。
09暗闇のナビゲイラ
重厚なストリングスをサンプリングしたトラックを聴かせる一曲。どこか叙情的なナンバーで、少しばかり寂しげなラップを聴かせるが、優しい雰囲気も感じさせる仕上がりだ。エコーがかかったようなオープニングはタイトルどおり“暗闇”を思わせるなど、視覚的なイメージがどこからともなく沸いてくるような印象。
10トリートメント
DABOとCUEZEROをフィーチャリングした一曲。明るく突き抜けるようなトラックをバックに三者三様のラップを聴かせ、クールに決めてはいるが、楽しさが表に出てしまうような、そんなイメージを思わせる。キャッチーで、思わず体が揺れ動く仕上がりになっており、コミカルなライミングも効果を出している。
11スタート
別れは次へのスタート・ライン。人生のワン・シーンを綴ったリリックに、自身のソロ第二章の始まり宣言を織り交ぜたポジティヴィティあふれる5th。ブラスをフィーチャーしたムーディーなトラックの上を、KREVAならではのメロディアスなフロウが自在に泳ぐ。その豊かな表現力は、まさに叙情派ヒップホップ(?)。
12My Life
タイトルどおり、自分の人生観とでも言うべきライミングを聴かせるナンバー。“タイムマシンなんかいらない”、“今を一番楽しんでいこう”という歌詞に、現在の自分自身に対する自信と信念が感じられる。トラックは実にシンプルで最低限の音数しかないが、それが歌詞とラップをよりいっそう引き立て、強い印象を残す。