ミニ・レビュー
ピチカート・ファイヴを脱退後、オリジナル・ラヴに専念することになった田島貴男率いる6人組のCD2枚組のデビュー作。流行のブラック・ミュージックの要素からひねったポップ感覚まで才気は十二分。きまじめさが少し作品を重くしているところも。
収録曲
[Disc 1]
01BODY FRESHER
記念すべき1stメジャー・アルバム『LOVE!LOVE!&LOVE!』のオープニングを飾るスムージーなジャズ曲。初期のエロティックなナンバーのひとつだが、ユーモラスなSE的イントロやストレートな4ビートを取り入れることで、シャレた雰囲気に仕上げている。いい意味でクセの抜けた田島貴男のヴォーカルも魅力的。
02BLUE TALK
メジャー・デビュー・シングル「Deep French Kiss」のカップリングとなったラテン・ジャズ・ナンバー。アフロ・キューバン・リズムによる王道的なラテン・フレーズのイントロから怪しげな4ビート・ジャズへ展開し、ライヴ映えする派手やかなエンディングを迎える。田島貴男の控えめなヴォーカルも実に魅力的。
03DEEP FRENCH KISS
91年6月14日リリースの記念すべきメジャー・デビュー・シングル曲。アシッド・ジャズとも“渋谷系”ともいわれるグルーヴィでシャレたサウンドが特徴。爽やかにエロティックな歌詞は、当時ドラマーとして在籍していた宮田繁男が手掛けている。まだ主流ではなかった12センチ・シングル盤でのリリースも話題になった。
04GIANT LOVE
05SWEET AND SUGAR NIGHT
06FAT LOVE STORY
07TIME
08夜をぶっとばせ
“渋谷系”の王道を行く軽快なポップ・チューン。小西康陽が手掛けるエロティックな歌詞と田島貴男のシャウト気味のパワフルなヴォーカルが魅力。ピチカート・ファイヴのアルバムにも収録されている人気曲で、若干バック・ビートが強調されたグルーヴにピチカートの名残がある。ライヴでは弾き語りで披露されることも多い。
[Disc 2]
01LOVE VISTA
02WITHOUT YOU
03I WANT YOU
04DARLIN'
05JUMPIN' JACK JIVE
06LOVE SONG
07ORANGE MECHANIC SUICIDE
田島貴男が17歳の頃に書いたという最初期のナンバー。意味深な歌詞と気だるい歌いまわしが醸し出す独特の世界観が魅力で、インディ時代のアルバム『ORIGINAL LOVE』収録のポップなアレンジとは大きく異なる。さらにライヴではギターの弾き語りも披露するなど、彼の振り幅の広い音楽性を感じさせる一曲だ。