ガイドコメント
彼らのライヴ・アルバムの中でも、もっとも興奮させられる“これぞライヴ!!”な1枚。カナダのエル・モガンボ・クラブで録音されたテイク(ディスク2の(1)〜(4))も圧倒的だが、ディスク1でのアドリブで叩きまくるビリー・プレストンの鍵盤も聴きモノだ。
収録曲
[Disc 1]
01INTRO.EXCERPT FROM"FANFARE FOR THE COMMON MAN"
アーロン・コープランド作曲による高らかなファンファーレ。1975〜76年のツアーで使用され、パーカッション類の音のあとに鳴り響く。世界最強のロック・バンドが登場するテーマにふさわしい。観客の盛り上がりもファンファーレとともに盛り上がり、MCによるバンド名の紹介とともに、声援も最高潮に達する。
02HONKY TONK WOMEN
1969年にシングル・ヒットを記録した名曲。『ラヴ・ユー・ライヴ』では、「庶民のファンファーレ」に続いて、キースが手をギターに振り下ろし、ざっくりとしてシンプルなギターのリフを奏でる。オープニング・ナンバーにふさわしい、フットワークの軽い仕上がりで、ライヴ・バンド・キングの風格が感じられる雰囲気。
03IF YOU CAN'T ROCK ME
アルバム『イッツ・オンリー・ロックンロール』の冒頭を飾ったダンサブルなナンバーから、似たサビの雰囲気をもつ1965年の大ヒット曲「ひとりぼっちの世界」をメドレーでつなげて演奏。ミック・ジャガーのしゃべりに近いラフなヴォーカルと、パーカッシヴでいなたいストーンズ流ライヴ・サウンドに料理。
04HAPPY
ギタリスト、キース・リチャーズがヴォーカルでリードをとる名曲。こちらのライヴ・ヴァージョンではスタジオ・ヴァージョンに比べ、いくぶんテンポ・アップが図られ、軽快なロックンロールとなっている。そんな速いテンポにあわせ、スライド・ギターのフレーズもヴォーカルに絡むように、アグレッシヴに聴かせてくれる。
05HOT STUFF
アルバム『ブラック・アンド・ブルー』の冒頭を飾るナンバーのライヴ・ヴァージョン。タイトでシンプルながらも粘っこくファンキーなストーンズ流ファンク。スタジオ盤に近いアレンジだが、シンプルなビートを刻むドラムを軸にピアノ、パーカッション、ギター、ベースそれぞれに間を生かしたラフで開放的な雰囲気の演奏に。
06STAR STAR
『山羊の頭のスープ』ではラスト・ナンバーだったチャック・ベリー風のシンプルなロックンロール。キース・リチャードのチャック風フレーズも軽快に決まっている。ライヴらしくテンポ・アップし、コーラスではメンバーで仲良く「Star Fucker」を連発。フェイド・アウトしていた部分はしっかりとキメのフレーズで繰り返し。
07TUMBLING DICE
『メイン・ストリートのならず者』に収録されていた名曲。オリジナルに収録されていたゴスペル・クワイアこそいないが、コッテリとコクのあるブルージィな曲の雰囲気はそのままに、ゴスペル風のオルガンを加え、曲を効果的に盛り立てる。曲が進むにつれ、自然とテンポ・アップしてしまうのもライヴならでは。
08FINGERPRINT FILE
フランジングをかけたギター・サウンドでリフを構成し、ムードを作り出していくストーンズ流ファンク・ロック・ナンバーで、オリジナルは『イッツ・オンリー・ロックンロール』のラストに収録。エロティックでファンキーなベースのフレーズが印象的な曲で、ここではギタリストのロン・ウッドが担当しているようだ。
09YOU GOT MOVE
アルバム『スティッキー・フィンガーズ』に収録されたブルース・ナンバー。スタジオ・ヴァージョンよりも、メンバーで声を合わせて歌うことを中心にしたライヴ・ヴァージョン。ロン・ウッドのスライド・ギターも冴えている。一度ブレイクした後、またもやブルージィなピアノ・ソロで続くエンドレスな雰囲気がたまらない。
10YOU CAN'T ALWAYS GET WHAT YOU WANT
シングルのB面、1970年のアルバム『レット・イット・ブリード』のラストに収録されたナンバーで、こちらのライヴ・ヴァージョンはゆったりめのテンポで演奏されている。長いギター・ソロでの、ロン・ウッドの饒舌な演奏に続き、ミックからフランス語も飛び出し、観客とコール・アンド・レスポンスを楽しんでいる。
[Disc 2]
01MANNISH BOY
ブルース界の巨星マディ・ウォーターズの録音でも知られるブルース・ナンバー。ミック・ジャガーがたたみかけるようなアグレッシヴなヴォーカルで、マディおなじみの重厚なギター・リフに切り込んでいく。ピアノ、ブルース・ハープ、スライド・ギターの絡みも絶妙なストーンズ流のブルースに仕上がった。
02CRACKIN' UP
ジャングル・ビートの王者で、ストーンズも「モナ」という曲をカヴァーしているボ・ディドリーのナンバー。カリブ風のリズムを巧みに消化し、切れ味鋭いギター・カッティング、陽気なピアノ、ハイハットのオープンとクローズで刻むドラムなど、堂々たるストーンズならではの開放的なノリを作り出し、ミックもゴキゲンだ。
03LITTLE RED ROOSTER
1964年にイギリスでシングルとしても発売し、ストーンズがデビュー時から得意としていたブルース・ナンバー。ライヴにふさわしく、いくぶんルーズなリズムからゆったりと繰り出されるキースとロンによる2本のスライド・ギターの絡み、その間を縫うように流れるオルガンなどが心地よさを演出。風格漂う余裕の演奏。
04AROUND AND AROUND
ストーンズが得意とするチャック・ベリーのカヴァーで、1964年に初録音したもののライヴ・ヴァージョン。アップテンポのロックンロールだが、1964年当初の録音に比べ、スピード感、ドライヴ感が増した演奏は、チャック・ベリーを飛び越え、ストーンズ独自のラフなロックンロールになっている。
05IT'S ONLY ROCK'N ROLL (BUT I LIKE IT)
「たかがロックンロール、でも好きさ」というフレーズで知られる名曲のライヴ・ヴァージョン。重厚だったスタジオ・ヴァージョンに比べ、キーを高く設定し、全体的にスピードを上げた軽めの演奏で、ミックのヴォーカルもラフで語るような歌い口。この後間髪入れず「ブラウン・シュガー」へとつながっていく。
06BROWN SUGAR
『スティッキー・フィンガーズ』に収録、シングルとしても大ヒットを記録したストーンズ一世一代の名曲。こちらのライヴ・ヴァージョンはテンポ・アップが図られ、おなじみのキースのギター・カッティングに、ロン・ウッドの饒舌なソロ・ギターが絡んだ軽めの仕上がり。ライヴ後半部の盛り上がりを感じさせる。
07JUMPIN' JACK FLASH
1968年のシングル曲で、大ヒットを記録した屈指のストーンズ代表曲。こちらのライヴ・ヴァージョンは、テンポ・アップしつつギター・リフはそのままに、もとのヴォーカルのメロディをすっかり解体し、ミックのシンプルな雄たけびにシフト。ライヴならではのラフでルーズな感触がかえってカッコよく聴こえる。
08SYMPATHY FOR THE DEVIL
『ベガーズ・バンケット』に収録されたパーカッシヴで呪術的なローリング・ストーンズの名曲。こちらのライヴ・ヴァージョンはおなじみのキースのギター・カッティングはもちろん、激しいギター・ソロやミックやメンバーの雄たけびが交差し、8分に迫るほどの長尺なものに。ライヴ盤のラストを飾るにふさわしい出来。
録音
[1] (2)(4)〜(7)(9)(10) [2] (5)〜(7)76.6 [1] (3)76.5 [1] (