ミニ・レビュー
2006年に発売されてファンを喜ばせたベスト第2弾。1枚目に入りきらなかったシングルを前半11曲とアルバムからの名曲9曲の構成。シングル曲はタイトルだけだと忘れていても、聴くと思い出す曲ばかり。ファンには32Pもある写真集仕様の歌詞カードはたまらないはず。
ガイドコメント
デビュー25周年を記念したベスト盤『マッチ★ベスト』の続編。前作では未収録だった往年のヒット曲を中心に、今回も近藤本人がセレクトしたナンバーを収録。さらに初CD化音源も楽しめる。
収録曲
01ヨコハマ・チーク
やんちゃに繰り返される“Dance”というコーラスから、はち切れそうな若さが伝わってくる。恋人に機嫌を直してと歌う中で、“俺達時間が 少ししかないさ”という詞が印象的。若さゆえの焦燥感や二度とない青春に賭ける意気込みを感じるナンバー。
02ふられてBANZAI
野太いベース・ラインに、歌謡曲風のアレンジが重なるファンキーなナンバー。ふられた男の気持ちを、強がりを含めて素直に歌い上げる。“BANZAI”と歌うコーラスが哀しく響きわたり、なす術をなくした男の立ち尽くす姿が浮かんでくるようだ。
03ホレたぜ!乾杯
“ホ・レ・た・ぜ!!”という叫びからはじまる、友達の恋人を好きになったことを歌った曲。男には愛より重い絆があると歌い、惹かれ合いながらも踏み込めない二人の関係を、ソウルフルな女性コーラスがドラマティックに盛り上げている。
04ためいきロ・カ・ビ・リー
物悲しげな“Lonely Girl”に歌いかける、哀愁漂うロック・ナンバー。武骨な演奏にワビサビを感じさせるアレンジが重なり、男の“ためいき”が伝わってくる。余計な装飾を感じさせないサウンドが、ワイルドに響きわたる。
05一番野郎
生き方も愛し方も“白か黒”の男、“一番野郎”の歌。ハードボイルドなロック・ナンバーで、強引で向こう見ずな男の美学をストレートに歌い上げている。“胸の嵐が火を吹くよ”と、多くは語らない男の内に秘めた熱い情熱を感じさせる。
06ヨイショッ!
失恋した人を叱咤激励し、酔って騒いですべてを忘れようぜとばかりに“やい! やい! やい!”とコーラスする。ダンサブルなノリを“ヨイショッ!”という小気味良いコーラスがコミカルに盛り上げ、やけっぱちのようなヴォーカルが威勢良く慰めてくれる。
07大将
男の中に眠る“野獣の血”に想いを馳せ、パワフルなコーラスとともにそれを奮い立たせる熱いロック・ナンバー。ゆったりしたメロディで、雄大なアメリカン・ハードロックを思わせる土臭いサウンドから男のロマンがあふれ出てくるようだ。
08Baby Rose
織田哲郎のカヴァー。恋人から突然のさよならを切り出された男が「もう一度やり直そう」と願う歌だが、湿っぽさはなく、むしろドライな感触。英詞によるコーラスからは清々しささえ漂い、再び愛を取り戻せるような気がしてくる。
09あぁ、グッと
康珍化作詞、吉田拓郎作曲による、“あぁ グッとグッと”というフレーズが特徴的な曲。淡々としていながらも温かみのあるメロディが、力強いヴォーカルによって繰り返され、心にグッと染み入ってくる。歌われているとおり、友と酒を飲み交わしたくなる曲だ。
10北街角
ラーメンのCMにも起用されて話題を呼んだ、耳馴染みの良い演歌風ポップス。大人の色香をふんだんに振り撒き、渋さを窺わせた点で新境地ともいえる。冬の雪景色にしっとりとハマり、哀愁がしみじみと漂う。
11愛はひとつ
ストリングスのイントロからはじまるハード・エッジなロック・サウンドが、本当の愛を求めてさまよう心の揺れをドラマティックに演出する。華麗な響きを持ったアレンジに導かれ、“愛は ひとつだけさ”という言葉へと繋がっていくのが美しい。
12グロリア
自身が手掛けた、恋人をドライヴへ誘い出す詞が初々しい、シンプルなロックンロール。単純明快かつ楽観的な言葉で愛を投げかけ、間奏では台詞も飛び出す。爽やかな開放感とともにまっすぐでピュアな想いを届けてくれる一曲。
13ジャスト ア ダンス
“パッシュワ”というコーラスと指のスナップでのリズムが印象的な小曲。古き良きR&Bを感じさせる曲調に、ウキウキソワソワした心持ちで“Just a dance 踊ろう”と誘う軽やかなステップが優しく溶け込む。作詞は本人によるもの。
14ひとりぼっちのバースデー
一緒に来ると約束していた海にひとり訪れ、16才で命を失くした君へ“何故ひとり君は風になったの”と歌うミディアム・スロー・ナンバー。合間に聴こえてくる波の音が情景をリアルに思い起こさせ、ハーモニカの音色がノスタルジーを誘う。
15あの手この手はイマノウチ
あの娘が欲しければ“あの手この手”で本気でやらなければダメ、がむしゃらに“Go! Go!”と歌う。だが、サウンドはなめらかな中華風で、優雅な舞を披露していくかのようにムーディに響いてくる。空手と舞が合わさったような印象だ。
16ティーンエイジャー・ウエディング
哀愁あるメロディ・ラインとそれを追いかけるように重なるストリングスの旋律が、“天国のおまえ”に向かって話し続ける主人公の孤独や悲しみを物語る。それとは対照的に、湿っぽくならずにひたむきに相手を思い続ける歌声が切ない。
17爆走レイル・ロード
エッジの効いたギターのイントロから、ワイルドな雰囲気を醸し出しながら疾走するロック・ナンバー。“こわれるほど お前に走る”という言葉どおり、なりふり構わず突っ走っていく想いを男らしく歌い上げている。作曲は佐久間正英。
18TOKYO-L.A.-N.Y.
晴れやかなピアノやファルセットによるコーラスに包まれながら、夢を抱いて新たな旅に出る心情を朗らかに歌い上げる一曲。ファンキーな曲調が足取りを軽やかに、明るい未来を期待させ、捨てたはずの恋も「いつか連れに帰るよ」と誓ってみせている。
19Z
一語一語力を込めた歌い方で“これが俺の 最後の恋”と歌うラブ・バラード。ピアノのピュアな響きとやわらかなコーラスが、すがるようなヴォーカルを優しく包み込む。ストリングスの音色とともに、一途な想いが空に舞い上がっていくかのようだ。
20風のドライブイン
“お前と出逢った海”をひとり訪れ、失った恋に想いを馳せるスロー・ナンバー。アダルト・コンテンポラリーなサウンドが心地良い潮風を運んでくるようで、ほろ苦い気持ちをそっと撫でていく。しっとりと切ない余韻を残していく曲だ。