ミニ・レビュー
出すアイテムすべてがNo.1という、まさにロック・モンスター・デュオ、B'zの15枚目のアルバム。シングルとしてリリースされた(2)(3)(6)(14)が収録されており、うち(6)と(14)はニュー・ヴァージョン。上木彩矢のデビュー曲となった(11)のセルフ・カヴァーも収録。
ガイドコメント
15枚目となるオリジナル・フル・アルバム。大ヒット・シングル「OCEAN」「衝動」「ゆるぎないものひとつ」「ピエロ」の4曲を中心に収録された本作は、ワールドワイドなスタッフが参加し、まさにタイトルどおりモンスター・クラスの作品となった。
収録曲
01ALL-OUT ATTACK
ゆったりとした打ち込みのイントロで始まる、異なる3つの曲を1つにまとめたB'z流プログレッシヴ・ロック。静と動の対比によってもたらされる高揚感は圧倒的。丁寧かつ躍動的なコーラス・ワークが素晴らしい。
02SPLASH!
ねっとりとしたファンク調のヴァースから、B'zの王道ともいえるフレーズが光るサビへの流れがドラマティックな、16ビートのダンサブル・チューン。性的な隠喩がたっぷりと盛り込まれた歌詞はエロティックかつユーモラス。
03ゆるぎないものひとつ
映画『名探偵コナン〜探偵たちの鎮魂歌』の主題歌。ザックリとしたギターのストロークを活かしたミディアム・テンポのビートをバックに、せつなく力強く起伏に富んだヴォーカルが魂を激しく揺さぶってくれる。
04恋のサマーセッション
ゴージャスなホーン・セクションをフィーチャーしたレゲエ・チューン。稲葉浩志が「恋の夏期講習」というユニークな表現を織り交ぜながら、情熱的な愛を歌い上げる。松本孝弘によるギター・カッティングはテクニカルかつファンキーだ。
05ケムリの世界
社会問題を揶揄したかのような意味深な歌詞が印象的なロックンロール。テンポ・アップしてからの後半の盛り上がりと、コーダ部分での稲葉浩志の熱いシャウトが、現代社会に巣食う病魔に対するやり場のない気持ちを表わしているかのようだ。
06衝動 (MONSTER MiX)
「愛のバクダン」の発展形ともいえる、アニメ『名探偵コナン』主題歌をリミックスした、キャッチーなポップ・ナンバー。手数の多いパワフルなドラミングと早弾きのギター・ソロが楽曲の疾走感をさらに強調し、抑えきれないほどの“衝動”を巧みに音像化している。
07無言のPromise
哀愁を漂わせるピアノの音色とアコースティック・ギターをフィーチャーしたバラード・ナンバー。タガログ語によるナレーションが挿入されるミステリアスな雰囲気のなかで、稲葉浩志が切々と美しいメロディを紡いでいく。
08MONSTER
重厚なストリングスをバックにエレクトリック・ギターが爆音で唸りまくるハード・ロック・チューン。ブレイク部分ではサイケデリックなメロディも展開される密度の高い演奏で、稲葉浩志の壮絶なシャウトが楽曲の緊張感をさらに高めている。アルバム・タイトル曲。
09ネテモサメテモ
イントロのブールス・ハープの音色も印象的なハード・ブルース・チューン。アコースティック・ギターがせめぎあう男臭いサウンドだ。息継ぎを効果的に使用した稲葉浩志のヴォーカル・テクニックの妙も楽しめる。
10Happy Birthday
ライヴで披露されながらも、松本の「音源化すると旬じゃなくなるから」との発言から、音源化が危ぶまれていたB'z初の誕生日ソング。可愛らしい音色のキーボード・サウンドを中心に構成された、シンプルかつキャッチーなメロディ・ラインが光るポップ・ナンバー。
11ピエロ
タイトでハードなビートが弾け、中盤からギターがスリリングに跳ね回るロックンロール・ナンバー。こっけい者のピエロの影にある悲しさを吹き払い、希望に満ちた世界へ歩みだそうと緊張感あふれる歌声が胸に響く。
12雨だれぶるーず
マイナー調のブルース・ロックという、B'zにしては新鮮なタイプの楽曲。ハモンド・オルガンが豪快に鳴り響くヘヴィなサウンドに合わせたかのように、歌詞の方も現代社会の混乱を憂慮する重い内容となっている。
13明日また陽が昇るなら
またいつの日か、君とは会えるはず……。そんな切ない想いを美しいコーラス・ワークに乗せて送る、ポジティヴな別れの歌。空の彼方を目指すかのように、どこまでも伸びやかに響きわたるエレクトリック・ギターの音色が感動的。
14OCEAN (2006 MiX)
フジテレビ系ドラマ『海猿』の主題歌となった壮大なラブ・バラードの、アルバム『MONSTER』に収録されたリミックス・ヴァージョン。オリジナルよりもエレクトリック・ギターを強調し、ハード・ロッカーとしてのB'zを再認識させるかのような仕上がりとなっている。