ミニ・レビュー
1年ぶりのアルバム。声量の無さを武器にした甘い歌唱と打ち込み中心ながらギター多用で耳に優しい音作りでCD一枚を劇的に展開し、75分を一気に聴かせる。さすがだ。男女のファンが納得するデザインで落ち着いた紙質のブックレットも至れり尽くせり。
ガイドコメント
シーンのトップを走り続ける彼女の通算6枚目となるアルバム。ヒット・シングルの他、CFソングとしてオンエアされたものの未発表であった3曲を含む。トップ・アーティストとしての貫禄すら感じる傑作。
収録曲
01Catcher In The Light
ベースが奏でる不穏な空気から一転してロック・テイストへ。さらにハミング風のフェアリー・ヴォーカルへ展開するインストゥルメンタル度の高いナンバー。CMJKのアレンジが緩みをきっちり押さえている。
02About You
デジタル・ハード・ロック調のサウンドで強く攻め立ててくるナンバー。とはいえ、眼前に立ち尽くし鬼気迫るというよりも、苛立たつことのない絶妙の距離感を持って投げかけてくるヴォーカルは、やはりあゆならでは。
03GAME
追憶のようなノスタルジックなイントロから、ハード・ロックへとギア・チェンジするBOUNCEBACK作曲によるナンバー。もがき悩む心情をグイグイと吐露していく、新しい“あゆスタイル”を感じられる。
04my name's WOMEN
立て続けに展開するオーケストラ・ヒットが、タイトルのように女性の意志の強さを表わすようなロック・チューン。以前の“君”と共感していた詞を、自立した女性としての視点で描いたところに、彼女の成長がうかがえる。
05WONDERLAND
06Liar
苦悩や不安を拭い去ろうともがく姿を描いていた時期の詞とはまったく異なる世界観。そこには彼女の強い意志と確固たる自信が漲り、ヴォーカルにもそれは見てとれる。成長をみてあまりあるデジタル・ロック・チューン。
07HOPE or PAIN
アルバム『MY STORY』の特徴であるロック・サウンド。それはこの曲でもベースになっているが、求めても届きそうにない憂いがはびこるようなヴォーカルが、彼女らしさを醸し出しているミディアム・ナンバー。
08HAPPY ENDING
湯汲哲也作曲によるウェットさが垣間見られるミディアム・チューン。“HAPPY ENDING”とは純粋にはとれない思惑のある詞も、軽やかで爽やかなアコギとキュートなアレンジによって重くならずに聴ける。
09Moments
ロック・テイストが濃いアルバム『MY STORY』において、キュートさと女らしさが光るこれぞ浜崎な32thシングル。しっとりとした情感のあるメロディ展開に、“君”との共感を描いたヴォーカルが馴染むポップ・チューン。
10walking proud
桜舞う季節に募るようなセンチメンタルな感情を、上質感のあるヴォーカルで表現したミディアム・チューン。湯汲哲也による心情に訴えかけるメロディ・ラインが、彼女の温度感とピッタリハマる優しさに包まれる曲。
11CAROLS
34thシングルは、厳かで流麗なストリングスが潤いを持ったメロディ・ラインに溶け込むウィンター・バラード。會田茂一(ギター)、弦一徹ストリングスらを迎えて、温もりのある生音を意識した作りとなっている。
12Kaleidoscope
13INSPIRE
オーケストラ・ヒット風のリズム・アクセントとギターの絡み合いが昂揚感をもたらす33thシングル。達観してるかのような詞や意志を見せつけるようなヴォーカルも板についてきたポップ・ロック・チューン。
14HONEY
屈託のない笑顔が思い浮かぶキュートなダンス・ポップ・チューン。ポジティヴさが全身に伝わってくるようなブリリアントな曲調は、浜崎あゆみの真骨頂。爽快感とスピード感のある女性らしいサウンドを心置きなく堪能できる。
15Replace
菊池一仁作曲によるロック・ポップ・ナンバー。キャッチーなサビに開放的で健康的なサウンド・アレンジがちりばめられ、歌謡ポップス風な耳当たりのよさがある。力みのない自然体のヴォーカルもイイ。
16winding road
彼女自身がCREA名義で作曲したアルバム『MY STORY』に収録のミディアム・ナンバー。HIKARIの清爽として屈託のないギター・アレンジが映える。ヴォーカルも伸び伸びしていて安心して聴ける。
17Humming 7/4
CREA名義で自身が作曲を手掛けたロック・チューン。骨太に響かせるギターにドラムのうねりが絡み合うヴァースとスタンディング・ライヴ風にノリのいいジョイフルなコーラスが、ほどよい加減で化学反応している。