ミニ・レビュー
U2門下生的な音作りは、3年ぶりとなるこの5作目でも変わらず。変拍子的なアクセントも交え、UKロックの一角を担う人気グループらしい、きまじめかつ、ちょっと大味な歌と演奏を聴かせる。「プリンセス・オブ・チャイナ」にはリアーナが客演。ブライアン・イーノが作曲協力で、今回も参加。
ガイドコメント
ロック・バンド、コールドプレイの大ヒット作『美しき生命』に続く、5枚目のオリジナル・アルバム。「ウォーター・フォール〜一粒の涙は滝のごとく」や「Paradise」といったシングル曲などを収録。前作に引き続き、ブライアン・イーノが参加。
収録曲
01MYLO XYLOTO
前作『美しき生命』のプロデューサー、ブライアン・イーノが“アディショナル・コンポーザー”として参加した5thアルバム冒頭曲。愛、依存、OCD(強迫神経症)などをテーマにしたアルバム『マイロ・ザイロト』のオープニングにふさわしい、美しい旋律のインスト。
02HURTS LIKE HEAVEN
“きみは自分の心を武器にする そしてそれは天国のように痛いんだ”と繰り返す、幻想的なコーラス・ワークがクセになる美しいロック・ナンバー。ファンタジックでありながら疾走感あふれるサウンドが、緊張感のある歌詞と絶妙にマッチしている。
03PARADISE
パイプオルガンとストリングスの荘厳かつ美しいイントロで幕を開ける、憂いを帯びたロック・チューン。幼い頃に描いた夢と現実との違い、それでもなお夢を求める心情を綴っている。バンドの体力が飛躍的にあがったことを告げる一曲。
04CHARLIE BROWN
漫画『ピーナッツ』の登場人物かつ主人公、スヌーピーの飼い主の名を冠したナンバー。これまで培ってきたコールドプレイの音楽性を一曲に集約したような、美しくスケールの大きいロック・チューンに仕上がっている。
05US AGAINST THE WORLD
憂いを帯びたメロディと低音のヴォーカルが柔らかく響くスロー・ナンバー。“ぼくら以外はみんな敵なんだ”の一言で終わる絶望に近い感情を綴った歌詞ではあるが、優しいサウンドと相まって、希望を見出すような仕上がりとなっている。
06M.M.I.X.
マーカス・ドラヴス、ダニエル・グリーン、リック・シンプソンがプロデュースした5thアルバム『マイロ・ザイロト』収録の1分弱のインスト。アシュラ『ニューエイジ・オブ・アース』を思い起こさせる、夜明けの太陽のような高揚感をあおるサイケデリックな楽曲だ。
07EVERY TEADROP IS A WATERFALL
小栗旬、岡田将生らが出演する映画『宇宙兄弟』の主題歌に起用された。アルバム『マイロ・ザイロト』での前曲「M.M.I.X.」から地続きの、暗闇に日が差し込む夜明けのような希望に満ちていく静かな幕開けが美しい。メロディアスなロック・チューンだ。
08MAJOR MINUS
“やつらは片方の眼できみを監視し もう片方の眼できみのおこないを見ている”という歌詞のリフレインが印象的な、緊張感あふれるナンバー。哀愁漂うギター・フレーズをちりばめた、切ないロック・サウンドが広がっている。
09U.F.O.
アコースティック・ギターとヴォーカルをメインに、ストリングスを加えたシンプルなスロー・チューン。“主よ 自分がどっちに向かっているのかわかりません”と問いかける、悩みを抱えながら生きるすべての人へ向けたメッセージ・ソングに仕上がっている。
10PRINCESS OF CHINA
ノイジーかつエレクトロなイントロが一味違う雰囲気を醸し出す、リアーナをフィーチャリング・ゲストとして迎えたナンバー。“本気でわたしを傷つける”と歌う、愛し合った時期もあったのに別れてしまった男女の悲哀を綴ったデュエット曲だ。
11UP IN FLAMES
「プリンセス・オブ・チャイナ」と同様に、この曲のテーマとなるのは“別れ”について。優しいピアノの音色をメインにしたシンプルなサウンドに流麗なメロディを紡ぐ伸びやかな歌声を乗せた、スロー・テンポの美しいナンバーだ。
12A HOPEFUL TRANSMISSION
前作『美しき生命』をプロデュースを手掛けたブライアン・イーノが参加した、5thアルバム『マイロ・ザイロト』収録のインスト。同アルバム収録のインスト「M.M.I.X.」に続く、エレクトロでサイケデリックなシンセの音色が幻想的なナンバーに仕上がっている。
13DON'T LET IT BREAK YOUR HEART
バンド史上、最大の疾走感を記録する爽快なロック・チューン。競争に疲れてまだゴールにたどりつかなくても私たちは一緒と語りかけてくれる、心底信頼しているパートナーについて綴った力強く希望に満ちたナンバーだ。
14UP WITH THE BIRDS
気だるさをたたえた低音のヴォーカルが印象的なスロー・バラード。切ないながらも明るいメロディからは、迷いや不安を感じる日々を過ごしながらも、それでもなお希望を捨てないという気持ちが伝わってくる。繰り返し聴きたくなる一曲だ。
15CHARLIE BROWN
アルバム『マイロ・ザイロト(MX)』日本盤ボーナス・トラックに収録の、2011年に行なわれた“グラストンベリー・フェスティバル”のライヴ音源。コーラスが肝となる楽曲だが、観客も一緒になってコーラスに参加したその一体感に鳥肌が立つ。
16LIFE IS FOR LIVING
アルバム『マイロ・ザイロト(MX)』日本盤ボーナス・トラック収録の、2011年に行なわれた“グラストンベリー・フェスティバル”のライヴ音源。2000年発表の『Parachutes』に収録のバラードを、躍動感に満ちたアレンジで表現した感動作だ。
17EVERY TEADROP IS A WATERFALL
アルバム『マイロ・ザイロト(MX)』日本盤ボーナス・トラック収録の、2011年“グラストンベリー・フェスティバル”のライヴ音源。メロディアスな旋律を紡ぐヴォーカルに合わせて観客もシンガロング。ライヴならではの躍動感と幸福感を存分に味わえる。