ミニ・レビュー
ソロ・デビュー10周年。カジくんの7枚目のアルバムは、北欧クラブ・シーンの注目株、クリストファー・ベルグ=HIRDを迎えてスウェーデンで制作されたエレクトロ・ポップ作。一人で挑み続けるハッピー・キューティ・ポップ道。10年目にして、この瑞々しいメロディ。
ガイドコメント
オリジナル7thアルバム。ロンドン在住の人脈を活かし、HIRD、Jens Lekmanとのコラボレーションを実現。ダンス・ミュージックやUKロック・シーンをナチュラルに吸収した、彼独特のメロディが堪能できるアルバムとなっている。
収録曲
01WELCOME BACK THE HAPPY NIGHT (おかえりなさい、ハッピー・ナイト!)
ガールズ・ヴォーカルの掛け声が、カジヒデキの甘いヴォーカルとピッタリとマッチする、寂しい夜を盛り上げるポップ・チューン。メロウな音色のシンセサイザーやノスタルジックなサビのコーラス・アレンジなど、彼の高いセンスがちりばめられている。
02LOVESICK (ミッド・サマーまでのラブシック)
チープなプログラミングがポップでキャッチーな雰囲気を醸し出すなか、対照的にフェンダー・ローズとフルートが上質感を漂わせる。そのバランスが効果的なアップ・テンポなナンバー。リズムにノッたヴォーカルは、恋をした時のドキドキ感を表現しているかのようだ。
03CATERPILLAR GIRL (泣かないでキャタピラー・ガール)
盛り上がり必至のドラミングとキャッチーなシンセに、エコーの効いた感情を込めたヴォーカルが加わり、ライヴのような興奮を覚えるロックンロール・ナンバー。シンプルなロックこそ熱い思いが伝わるのだといわんばかりの演奏に、胸が激しく鼓動する。
04TYPICAL ME、TYPICAL YOU (ティピカル・ミー・ティピカル・ユー)
超絶ギター・カッティングでスタートしたノリの良い楽曲は、いかにもライヴで盛り上がりそうな挑発的なヴォーカルとパワーあふれる掛け声を従えた爽快ロック・ナンバー。活発的なドラムがさらにテンションを上げ、体の温度を一気に上昇させる。
05LOOKING GOOD! (ルッキン・グッド)
ゲスト参加のかせきさいだぁ≡のラップとカジヒデキの甘いヴォーカルの掛け合いが、ほのぼのとした雰囲気を生むポップ・ナンバー。涼しげなプログラミングも曲にマッチしていて、リラックス効果が得られるナンバーだ。
06FORTHCOMING LOVE (フォースカミング・ラブ)
軽快に響くアコースティック・ギターと躍動感のあるアダム・フィシェックによるドラムが、カジヒデキの爽やかなヴォーカルにキレイに乗ったアップ・テンポ・ナンバー。伸びのあるスウィートなコーラスとともに、時間がスーッと流れていく。
07TWO ISLANDS (二つのアイランド)
優しく語りかけるような、胸へ温かく染み込むスウィートなヴォーカルと、夢の中へ入り込む時のような心地良さを持ったメロウなサウンドが魅力。ささやかに響くアコースティック・ギターの調べもノスタルジックで美しい。
08SUGAR SHACK (噂好きのシュガー・シャック)
リズミカルなクリストファー・ベルグによるプログラミング・マジックが、スウィートなヴォーカルに鮮やかにフィットする爽快感あふれるポップ・ナンバー。至るところで耳に残るシンセサイザーにも、センスの良さを感じる。
09POSTCARD PINUP GIRL (ポストカード・ピンナップ・ガール)
隙のない巧みなプログラミングと要となるシンセサイザーのサウンドの上を、妖しいムード満点のヴォーカル&コーラスがすべるロック・ナンバー。全篇英詞で、北欧の空気をふんだんに採り入れたノスタルジックな1曲だ。
10SIOUXIE AND THE CHERRY COKES (スージーとチェリー・コーク)
1124 FACTORIES (24ファクトリーズ)
エレクトリックなプログラミングに脱力感の効いたメロウなシンセサイザーが心地良く響くポップ・ナンバー。妖しい雰囲気を携えた奥行き感のあるヴォーカルは、ナイト・クラブのステージで光と音を浴びる感覚を体験させてくれるようだ。
12JOY OF FRESHNESS (もぎたてのジョイ)
キラキラ輝くプログラミングとリズムにノッたギターが重なるサウンドに、愛くるしいヴォーカルが映えるエレポップ・ナンバー。ジャスティン・アンダーソンのスウィートなコーラスも魅力的。
13NEW MONDAYS (ニュー・マンデーズ)
ジワジワと攻め込んでくる緊張感のあるシンセサイザーに、ノスタルジックでメロウなギターが重なるスウィート・ダンス・ミュージック。胸をキュンとさせる優しいヴォーカルは、さまよう僕らの心をしっかりと捕まえてくれる。
14SEE YOU LATER、FAIRY ROSY (シー・ユー・レイター、薔薇色のフェアリー)
メロディカやさまざまなパーカッションをプログラミングしたサウンドが心地良く響く、アイランド・ミュージック。愛に満ちたカジヒデキのヴォーカルは、乾いた心に潤いを与えてくれるようだ。イェンス・レクマンによるウクレレもまたgood!