ミニ・レビュー
親しみやすいメロディとフレッシュさを失わない3人の空気感。今や国民的ポップ・ユニットといってもいい彼らの5枚目のアルバム。タイトルは“NEUTRAL”のスペルを替えた造語で、軽快にスウィングする「恋詩」などでは新たな表情を見せながらも、聴き手を置いてきぼりにしない優しさもさらに増したハートフルな充実作。
ガイドコメント
前作『ハジマリノウタ』以来、約2年2ヵ月ぶりとなる5thアルバム。日産「セレナ」CMソング「笑ってたいんだ」や「2012 ユーキャン」CMソング「いつだって僕らは」など話題のシングル曲を含む、彼らの勢いやあり方がそのまま投影された一枚だ。
収録曲
01歩いていこう
TBS系ドラマ『ランナウェイ〜愛する君のために』主題歌の21stシングル。ストリングスをスパイスに、しっかりと地に足の着いた大きなリズムで聴かせるミッド。もう会うことのできない君へ向けて、今を生きるために歩いていくよと力強く歌い上げる。
02笑ってたいんだ
「新・日産セレナ」CMソングに起用された20thシングル。亀田誠治を編曲に迎えた、小気味いいギターのカッティングで走る夏を感じさせる爽快なロック・ナンバー。“きみとずっと笑っていたいんだ”というシンプルで真っ直ぐな想いが胸に響く。
03いつだって僕らは
いきものがかりの3人も出演したユーキャン2012年度キャンペーンCMソングの22ndシングル。ハンドクラップやブラス、ストリングスなどさまざまなサウンドが登場し、色鮮やかなサウンドを構成。信じる道を行く強さを与えてくれる。
04KISS KISS BANG BANG
新垣結衣が子供たちとダンスするアサヒ飲料「十六茶」CMソング起用のナンバー。イントロのビッグバンド・ジャズ風のホーン・アレンジからの落差が楽しい。思わずステップを踏みたくなるようなリズムに乗る吉岡の歌声が魅力的。
05会いにいくよ
“大切な君のところへ会いにいくよ”と歌う感動的なミディアム・バラード。サウンドやアレンジ、歌詞などすべてにおいて奇をてらうことのないシンプルな仕上がり。それだけに、吉岡の声の力を純粋に感じることができる。
06地球
インディ時代のアルバム『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました…』収録曲をリアレンジ。原曲はブルースハープを中心とした素朴なサウンドだったが、本作ではピアノやストリングスを効果的に配して色彩豊かな仕上がりとなっている。
07センチメンタル・ボーイフレンド
カントリーのテイストをどことなく感じ取ることのできるキュートでポップなラヴ・ソング。“抱きしめてなんて言えない”“心から好きになれたよ”など、くすぐったくなるようなフレーズ満載でピュアな恋模様を描きだしている。
08白いダイアリー
吉岡聖恵が詞曲を手がけた切ないラヴ・ソング。別れを迎えてしまったあなたとの悲しくも温かい思い出が綴られた“白いダイアリー”の表紙を閉じ、前向きに歩き出す心情をリアルに描いた歌詞を吉岡が抜群の歌唱力で体現している。
09恋詩
蔦谷好位置が編曲を手がけたラテン・ジャズ調のナンバー。いきものがかりのポップでピュアなイメージとは正反対とも感じるが、オトナでクールな女性を違和感なく演じる吉岡の表現力が見事。ヒラマミキオの妖艶なギターがいいアクセント。
10NEW WORLD MUSIC
フジテレビ系『めざましテレビ』2011年度テーマ・ソング。「恋詩」と同じく蔦谷好位置が編曲を手がけ、ラテン風のアプローチを見せつつ4つ打ちでズンズンと進むダンス・ナンバー。“アイジャナイト ユウジャナイト”というサビの語感が楽しい。
11愛言葉
いきものがかりの真骨頂ともいえる感動的なミディアム・バラードで、6分半にもわたる力作。ストリングスなどを用いたドラマティックなサウンドながら、音数が飽和することはなくスッキリとヴォーカルの魅力とメロディを聴かせている。
12おやすみ
アルバム『NEWTRAL』のラストを飾るゆったりとしたドリーミーなナンバー。ほとんどヴォーカルにエフェクトがかかっておらず若干の荒さが残るが、まるでそこにいるかのような距離を感じさせる声が曲の魅力にピッタリとハマっている。