ガイドコメント
実兄が結成したフェイスレスに参加していた女性シンガー・ソングライターのデビュー・アルバム。エミネムの「STAN」のバック・トラックで彼女の曲が使用されているため、話題性十分だ。
収録曲
01HERE WITH ME
米TVドラマ『ロズウェル 星の恋人たち』主題歌。透明感のある美しい歌声が映えるメランコリックなバラード。ゆっくりと流れるストリングスと、震えるようなダイドの歌声が心をゆったり和ませてくれる。
02HUNTER
“女性の自立”をテーマに据えたシリアスなバラード・ナンバー。アイリッシュ色濃厚なだけにシンニード・オコナーと比較されがちなダイドだが、決定的な違いは柔らかい中にも確固たる芯がある強い美声である。
03DONT'T THINK OF ME
大人の恋に裏切りは付き物。複雑に絡むその愛憎劇を、ある女の一人称で綴ったミドル・バラード。ファルセットを効果的に使った美しいアイリッシュ・テイストの歌い回しからは、女の静かなる嫉妬心がリアルに浮かび上がってくる。
04MY LOVER'S GONE
アイリッシュ・トラッドを思わせる哀愁の旋律とウェットに響くドラムが“取り残された孤独な女”をもの悲しくも幽玄な美しさで演出する。父方から受け継いだアイリッシュのDNAが息づく、憂いを帯びた美声が最大限に活きた裏名曲。
05ALL YOU WANT
浮気の末に出て行った不実な男を、とがめるでもなく想い続ける主人公。そんな健気な女性像にダイドの懐の深い歌声がこの上なくフィットした珠玉のバラード。“与える女”のもの悲しさと包容力を、優しいメロディに乗せて紡ぎ上げている。
06THANKYOU
エミネムとのコラボレーションが話題となり、全世界で大ヒットを記録した英国の歌姫ダイドのデビュー曲。重々しい雰囲気のヴォーカルで始まり、癒されるほどに美しいサビへと変調するところが面白い。
07HONESTLY OK
自分自身の内面に正面から向き合った、シリアスなバラード・ナンバー。ダイドのオーガニックな歌声とデジタル技術を駆使した複雑かつ無機質なサウンドが絡み合い、自己の奥深くに渦巻くカオスを絶妙に描き出している。
08SLIDE
「間違ったっていいじゃない、人間だもの」。生き急ぐ私たちが最も必要とするメッセージを、圧倒的な音響スケールに乗せて放つ気迫のバラード。2001年のヒット・アルバム『ノー・エンジェル』における、感動のハイライトといえよう。
09ISOBEL
妊娠中絶を控えた女友達への想いを綴った、実話とも言われるシリアスなスロー・ナンバー。兄・ロロのプログラミングによる重低音の効いた仄暗いトラックが、もの悲しいダイドのクリスタル・ヴォイスをいっそう際立たせる。
10I'M NO ANGEL
孤独感にどっぷり浸りつつも、安らぎの心持ちで聴き入ってしまう、そんな不思議なクリスタル・ヴォイスを堪能するならこのメランコリックなアコースティック・バラードを。世界が彼女の虜になったことも頷ける、地味ながらも質の高い秀作。
11MY LIFE
「自立」をテーマに据えた、女性の共感を呼ぶダイドらしいシリアスなバラード。透き通るファルセットを絶妙に配した独特の歌い回しと、美しい哀愁のメロディ……。アイリッシュ・ミーツ・ブルースの奇跡が生んだ名曲だ。
12TAKE MY HAND
泣けちゃうくらいピュアな女心を、四つ打ちビートに乗せてドラマティックに歌い上げるこれぞ癒しのクラブ系トラック。アコースティックとデジタルが絶妙に融和した、実兄・ロロによる入魂のサウンドが、天性の歌声をいっそう際立たせる。
13WORTHLESS
恋の終わりに訪れる、果てしない虚無感にどっぷりと浸った暗鬱なスロー・ナンバー。もの悲しいアイリッシュ・テイストの歌唱もさることながら、ここでは実兄・ロロによる世界中のDJを魅了した圧巻のプログラミングが光る。
14ME
軽快なメロディ・ラインに乗せ、自身についてリズミカルに語る、ダイドとしては異色のユーモラスなポップ・チューン。どうしてもクラブのほの暗いフロアが似合ってしまう、実兄・ロロによるクラブ・ユースなアレンジとのミスマッチが斬新。