ミニ・レビュー
ウワサのガールズ・ロック・バンドのファーストは、ハード・ロックをベースにカラフルなリズム、ノイズなど多彩なアイディアを込め、パワーとエンタテインメントの両立を示す見事な仕上がり。ヴォーカル&ギターAYAKOの変幻自在なプレイにも感動。
ガイドコメント
2006年1月リリースの1stアルバム。注目度の高い彼女たちの高いポテンシャルを感じさせる快作で、ヒット曲(4)や王道的ガールズ・ロック調の「Whatever」などを収録。バラエティに富んだ構成で、今後の飛躍を感じさせる。
収録曲
01smile&wild
中ノ森BANDの音楽が生み出すもの、それをダイレクトに表現したかようなタイトル。キュートに、ワイルドに突っ走るバンド・サウンドは爽快だ。笑顔を振りまきながら演奏する彼女たちの姿が思い浮かぶ。
02ピンクモンスター
笑い声の入ったSEやクラップで始まる、パンキッシュでノリのいいロック・チューン。リラックスした雰囲気の中、おなじみのジミー・ハリーらの手による洋楽テイストのメロディを、甘く激しく歌いこなす中ノ森文子のヴォーカルが痛快。
03Whatever
ブリトニー・スピアーズらへの楽曲提供で知られるジミー・ハリーと中ノ森文子の共作による2ndシングル。この曲のテーマ“カッコカワイイ”を体感できるホットなサウンドとメッセージ性を含んだリリックが融け合ったロック・チューン。
04Oh My Darlin'
ドラマ『鬼嫁日記』の主題歌にもなった3rdシングル。彼女たちにはめずらしいキャッチーなミディアム・ポップなのに、芯の強さを感じさせるところがいい。メジャーとマイナーを行き来するメロディ展開で、恋する想いに揺れる心をリアルに描く。
05恋愛Express
アグレッシヴにリズムを刻むアコギやタブラ(北インドの太鼓)を使ったサウンド・デザインが、勢いだけのガールズ・バンドでないことを示すファンク・チューン。クールに加速し、あふれ出すエモーション、とにかくカッコイイ!
06TOY
中ノ森文子の書く、女の子の本音が見える恋愛リリックもこのバンドの魅力のひとつ。ここでも王道バンド・サウンドにのせ、“年上のダンディ”に向けたストレートな想いを歌っている。クールダウンするかのようなCメロの展開が面白い。
07ラブ♥コントロール
外国の作家の手による秀逸なメロディに、中ノ森文子の突き放した感じのある、ハスキーなヴォーカルがよくなじむ。誰でも口ずさめるキャッチーさとカッコよさが同居した、疾走系ロック・チューンだ。
08クイックサンド
ジミー・ハリーらが手掛けたナンバーで、ゴリゴリと力技で押すだけではなく、表情豊かで説得力を持ったヴォーカルが楽しめるミディアム・チューン。さりげなく楽曲の終わりを告げるアコギの音が、サウンド的にもメリハリが効いている。
09空
ガツガツとした攻めの演奏を聴かせてくれる前向きなロックンロール。ノリのいい掛け声も入り、知らないうちにテンションも高まる。バンド感にあふれ、ライヴでの盛り上がりが想像できるナンバー。もう理屈抜きに楽しめる!
10磁石
強く激しい想いをぶつけるミディアム・チューン。効果的なギター・リフ、キーボードから放たれるストリングス系の音色、アグレシッヴに動くベース、ドラマ性を持ったドラミング……。彼女たちが出す音にも注目してほしい。
11サテライト
甘いメロディがたまらない、これぞガールズ・ポップといった感じの胸キュン・ソング。70年代のアメリカの良質なポップ・ソングを彷彿とさせつつ、中ノ森BANDらしいバンド・サウンドで恋する気持ちを盛り上げる。
12new world
Tourbillonの葉山拓亮による楽曲。ヴォーカルにエフェクトをかけ、ともすれば退廃的で、しかし真摯なメッセージを含んだコアなナンバー。サウンド面も含め、また違ったバンドの一面を見ることができて面白い。
13シークレットプール
外国の作家を起用したナンバーで、洋楽テイストのメロディを巧みに操るヴォーカルが、タブーなはずの恋愛を気持ちいいくらいまっすぐに歌う。その中にちょっぴり見え隠れするせつなさがいい。コーラスの使い方も上手い。
14ラズベリーパイ
恋する気持ちをお菓子にたとえ、タイトルそのままに甘酸っぱさが全編に拡がるミディアム・ポップ・チューン。柔らかなアコギのアルペジオからはじまる、洋楽ノリのナンバーをナチュラルに歌い演奏した、等身大のデビュー・シングル。