ミニ・レビュー
大地を揺るがすカルナバル調の「Born to be Free」、切ないバラード5、6曲目からクールなR&B「secret roses」など、多様なジャンルを集めた7枚目。楽曲ごと、力のバランス加減もほどよく、ヴォーカリストとしての存在感がこれまでの比でない。サウンドも洗練され、落ち着いた大人の音楽を提供する。
ガイドコメント
通算7枚目のオリジナル・アルバム。洋楽テイストのバック・トラックに、R&B、ソウル、ヒップホップ、ポップスなどさまざまな要素を乗せた、彼女ならではの世界が展開されている。韓国のヒット・メイカー、ユ・ヘジュンら、豪華なコラボにも注目。
収録曲
01One Life
流行りよりオリジナルが大切と教示する、アグレッシヴなナンバー。少々重めなリリックも、テンポ良くさらりと歌うことで自然に受け入れることができる。詞の世界感を逸脱しない堅実なアレンジが、見事にハマっている。
02I Like it Like that
原点回帰したようなR&B調。大人の女性の色気を漂わせるしっとりとしたメイン・ヴォーカルには、自分の意志を持った強さをも感じられる。幾重にもなる凝ったコーラスは、どことなくアンニュイで、さり気なく華を添えている。
03one for me
心に秘めた想いをいつかあなたに伝えると歌う、切ないバラード。現状を嘆くのではなく冷静に自分を見つめる姿には、好感を持つと同時に希望を感じずにはいられない。静かな恋心をエモーショナルに歌う姿に、胸が打たれる。
04Born to be Free
カルナバルとラテンのリズムが大地を揺るがすように轟くナンバー。“オーレ!”の掛け声とともに情熱的なサウンドが全身を駆け抜け、高揚感で体が熱くなる。未知へ挑戦する心意気とエネルギーを与えてくれる。
05白い雪
寒い冬にハートから温めてくれるような、やさしさで包み込むミディアム・ポップス。歌唱の上手さはもちろんのこと、透明感に満ちた世界観を聴かせる表現力や、フレーズの一言やメロディの一音からあふれ出る叙情性を発揮した、渾身の一曲。
06Silent love〜open my heart〜
恋をする熱い想いを歌ったバラード。恋人を想う気持ちと冬の夜に感じる人恋しさが美しい旋律に託され、切なさと温かさが胸に広がる。白い息を吐くようなコーラスを取り入れるなど、凝ったアレンジで季節感も倍増。
07everything
別れという壁を目の前にするも、出逢いの運命を信じて二人でその壁を乗り越えたい。そんな思いを“今度こそは”という信念を持ったヴォーカルで訴えるナンバー。重厚なサウンドが、感情の渦巻く心の内を具現化しているようだ。
08Season of love
揺れ動く恋心を気丈に歌い上げる、ミディアム・テンポのラブ・ソング。どことなくミステリアスでしっとりと芳しい女性らしさがにじみ出る、アダルトな仕上がりになっている。テレビ朝日系木曜ミステリー『新・京都迷宮案内』主題歌。
09secret roses
マイナー調のメロディ・ラインと曲全体を覆った浮遊感のあるコーラス&ハーモニーが印象的。まるで許されぬ愛の一面を歌ったようなリリックは、ストレートな表現と曖昧さが入り混じって、混沌とした妙な感覚だ。
10Wonderland
“付き合って見えてくる性格の相違もあるが、焦らずにいつか二人の世界を創り上げよう”と歌うミディアム・チューン。ポップで心地良いメロディが、人に優しくなることや互いが歩み寄ることの大切さを教えてくれるよう。
11BE WITH U
12Over The Rainbow
メロディの起伏が大きい、歌い手の真髄が試される世界的なスタンダード・ナンバーをカヴァー。音符一つずつを丁寧に紡ぐヴォーカルはソフトで耳に優しく、ヴォーカリストとしてのセンスを証明している。ジャジィなアレンジもいい。