ミニ・レビュー
MIE(vo)&AILA(rap)からなるガールズ・ユニット、Lil'Bのセカンド・アルバム。2009年に配信で大ヒットした「キミに歌ったラブソング」をはじめとして、今の女の子たちの感覚にジャスト・フィットする、クールな曲が満載。「つないだ手」はTBS系アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ARCHEMIST』エンディング・テーマ。
ガイドコメント
2009年12月9日発表の2ndアルバム。切ない思いがギュッと詰まった「時間を止めて…」やTBS系アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL〜』エンディング曲「つないだ手」などに加え、「キミに歌ったラブソング」を追加収録した“キミラブ”盤。
収録曲
01続・キミに歌ったラブソング
“あの日キミに出会えたこと…”のフレーズで話題となった2ndシングルの続編。メロディなどはほぼオリジナルを踏襲しつつ、キミのいない東京での生活をテーマに展開。白い雪に包まれた街でキミへの愛を綴る。弦一徹によるストリングスが哀感を高めている。
02時間を止めて…
高らかに鳴るホーン・セクションと悲しげなメロディ・ラインとのギャップが切なさを生む5thシングル。レゲエ調の明るめのアフタービートに乗せ、恋人同士の限られた時間を憂う気持ちを歌う。背伸びしたい世代のリアルなラヴ・ソングだ。
03Tell me why?
マイナー調のダークな色彩の旋律が晴れない心を映し出すクラブ・エレクトロ。倦怠感が漂う恋人同士のすれ違いを、速めのビートとAILAの急かすようなラップで表現。心とは裏腹の態度を自問自答形式で展開する、切ないストーリーだ。
04つないだ手
大切な人とつながっていたいという気持ちを綴った6thシングル。彼のジーンズのポケットで光る携帯を気づかせたくない……などに、彼女らの等身大の心境がチラリ。弦一徹のストリングスが、二人で幸せをつかみたい願いを後押しするように響く。
05泣いてなんかないよ
大好きだった彼を思い出すも、“寂しくなんかない”と自身に言い聞かせるように発する女の強がりを歌う。美しくも繊細なガラスのような鍵盤が、ジリジリと胸を締め付けるようで切ない。余韻を残したMIEの歌唱が、かえって哀感を呼ぶ。
06思い出になる前に
鐘の音が響くオーケストラ風からセミの鳴き声とともに一気に夏の風景へと加速するイントロが特色のサマー・ラガ。広い海、青い空とともに迎えたあなたとの一番“熱い”夏の思い出を、軽快なビートで綴る。醒めない夢で終われなかった切なく甘酸っぱい物語だ。
07Days〜3度目の季節〜
大人になんてなりたくない……。帰り道で夢を語った日々や一緒の着信音というだけで縁を感じた、短い学園生活を惜しむ気持ちを描いた青春ソング。軽快なハウス寄りのポップ・トラックが、切ない別れと未来への希望が入り交じった情感をポジティヴに演出。
08S.O.S
くるくると表情を変える展開が特色のクラブ・エレクトロ・チューン。恋人同士のすれ違いをテーマにしたシリアスな内容で、本音を探り合い疑心暗鬼になっている心境=“S.O.S.”を、女性の視点から綴っている。
09そばにいるだけで
まばゆい輝きに満ちたトラックの上で、“そばにいたい!”という気持ちをストレートに吐露したポップ・チューン。1分1秒でも長く一緒にいたい……というあふれるばかりのピュアな感情の粒に、胸がキュンとなるはず。
10ラストレター
ドラマティックなメロディ・ラインが切なさを増幅させるミディアム・チューン。四季を感じさせるサウンドが、キミと過ごした楽しい日々との別れを迎える女性の心情をキラキラと映し出す。10年後のキミへのラヴレターだ。
11ありがとう
これまで産み育て幸せを与えてくれた親への感謝を、これからともに生きていく大切な人と受け継いでいきたいと願うウェディング・ソング。何気ない瞬間を切り取った詞が、かえって涙を誘う。鐘の音などの演出も結婚式を盛り上げるのにふさわしい。
12明日色の花
くじけそうな時や孤独な時に聴きたい、Lil'B流励ましメッセージ。誰でも一人なんかじゃない……どんな時でも味方や想ってくれる人は必ずいるから、未来を信じて明日色の花を咲かせようと背中を押す。朗らかなオルガン系の音色が心を和ませてくれる。
13キミに歌ったラブソング
シンプルなトラックに乗せてラップ風な歌唱で軽快に紡ぐ、2ndシングルとなったポップ・チューン。過去の恋になってしまったが、キミと出会えたことへの感謝と忘れない思いを綴る。爽やかな曲風で展開するが、わずかに残る切なさもチラチラと垣間見える。