ミニ・レビュー
社会現象にもなった前々作に比べると、この4作目はセールス的には落ち着いたかのように見える。じゃあ本作は“下降線上”にある作品かと言えば、決してそうではない。アイディアは無尽蔵、ポップ感覚はさらに研ぎ澄まされている。しなやかでタフなバンドだ。
ガイドコメント
オレンジレンジの4thアルバム。NHKサッカーW杯のテーマ曲となった「チャンピオーネ」や“ポッキー”のCMソング「DANCE 2」など、話題曲が満載。バンド名を冠していることからも、彼らの自信が伝わってくる一枚だ。
収録曲
01MIRACLE
自らのバンド名をアルバム・タイトルに冠したアルバムの1曲目を飾るのは、いかにもORANGE RANGEらしい魅力にあふれた、エネルギッシュなポジティヴ・ナンバー。ライヴ・ツアーでもたびたび披露され、ファンにはお馴染みだ。
02チャンピオーネ
NHK『サッカードイツ大会』テーマ・ソング。躍動感あふれるサンバのリズムとホイッスルの連続コールで、気分はすでに優勝モード。世界的祭典を盛り上げるにふさわしい、エネルギッシュなお祭りソングに仕上がっている。
03DANCE2 (feat.ソイソース)
江崎グリコ「ポッキー極細」「ポッキーチョコレート」のCMに使用された、ダンサブルなトラック。リーダーNAOTOのソロ活動時の名義である“ソイソース”参加作品であり、彼のテクノ志向がよく表われている。
04FAT
「図太く、男らしく」というテーマを掲げて、実兄弟であるRYOとYOHで結成されたユニット“低音一家”が制作したトラック。エモーショナルかつパンキッシュなギター・サウンドで印象的な作品に仕上がっている。
05BEAUTIFUL DAY
絶え間なく戦争が続く世の中に対して発信された、ORANGE RANGEからの熱いメッセージ・ソング。「愛という国境を越えLOVE&PEACEにいこうよ」という歌詞に、偽らざる彼らの想いが込められている。
06風林火山
スピード感のあるハード・ロックに、シンセ音と打ち込みのリズムを絡め、ダンサブルに仕上げられたナンバー。“風林火山ダンス”などのユニークな言語感覚とミクスチャー感は健在だが、以前のようなハチャメチャな魅力よりも、スマートな雰囲気が際立っている。
07Everysing
イントロのパーカッションが心地よいグルーヴを生み出す、ラテン・ナンバー……と思いきや、中盤から突如ハード・ロック・テイストのサウンドに変貌する。朝から晩まで働きアリのように働く、日本サラリーマンへの応援歌。
08Walk on
映画『チェケラッチョ!!』エンディング・テーマであり、「Town&Country」CMソングとしてもおなじみの楽曲。オフ・ビートな前奏から一転、シンプルなユニゾン・コーラスでぐっと盛り上げるサビメロに胸キュン。
09So Little Time (feat.ペチュニアロックス)
「騒がしい忙しい音色が頭駆け巡る」という歌詞とは裏腹に、独特の浮遊感とまどろむようなアンビエンスが、幻想的な世界にいざなうチルアウト系トラック。まろやかなサウンドに優しく包み込まれること必至。
10FIRE BUN (feat.GOD MAKING)
RYOとYOHで結成されたユニット“低音一家”と沖縄で活動中の人気ユニット“GOD MAKING”とのコラボレーションによる、レゲエ・トラック。沖縄からの熱いヴァイヴスが、海を越えてストレートに伝染する!
11UN ROCK STAR
ミクスチャーの要素がなりを潜め、アメリカン・ハード・ロックを強く意識させるナンバー。タイトルと内容のミスマッチさ、こてこてのロック・スターを強烈に皮肉ったような歌詞が痛快だが、スターであるがゆえの息苦しさも感じさせる。
12Hello
浮遊感のあるシンセサイザー・サウンドがリスナーの快感中枢を刺激する、しなやかなエレクトロ・チューン。ディズニー専門チャンネル「ディズニーチャンネル」のイメージ・キャンペーン、「夢中のスイッチ」CMソング。
13LIGHTS
フロアにもばっちり対応した、エレクトロ・ポップ・チューン。クラブ・ミュージックのテイストを採り込んだカラフルな仕上がりは、あらゆる音楽をクロスオーヴァーする、ミクスチャー・バンドとしての面目躍如だ。
14Great Escape
濃厚なパンク・テイストのスピード感あふれるナンバー。テンション高め、ノリの良いゴキゲンなヒップホップ・トラックこそがORANGE RANGEの真骨頂。切れ味鋭いカッティング・ギターがたとえようもないほどクールだ。
15STEP BY STEP
「切ない恋愛」をコンセプトにしたというストーリー性の高いリリックは、まるで一本の恋愛映画を観ているかのよう。美しい旋律の“泣きメロ”が、胸を激しく締めつける。曲調がめまぐるしく変化する展開も聴きどころだ。
16SAYONARA
15thシングルはドラマ『鉄板少女アカネ!!』の主題歌。別れに際して声高に「ありがとう」と感謝する……とても前向きなサヨナラ・ソングだ。ギター1本から次第に音が重なり、スケールが広がっていくサウンドも、ドラマティックな詞とリンクしている。
17Silent Night
森と自然の壮大さをあるがままに歌った、スケールの大きいトラック。彼らの歌声は静かな祈りにも似て、深い感動を呼び起こす。NAOTOいわく「アルバム『ORANGE RANGE』に収録されているなかで、最も気に入っている曲」とのこと。