ミニ・レビュー
5人組ロック・バンドのフル・アルバム。ポップで骨太なアメリカン・ロック系の音が心地よいかと思えば、繊細なコード使いが妙に切ない(4)のような曲もあったりして、なかなか一筋縄ではいかないバンドだ。プロデュースとギターでアイゴンがナイス・サポート。
ガイドコメント
ヴォーカル&ギターの須藤寿を中心とした5人組ロックンロール・バンドの3rdアルバム。パワフルなツイン・ドラムとツアーで培った高い演奏力は圧巻。ゲストにアナログフィッシュの斉藤州一郎を迎え、レトロなロックンロール・サウンドを炸裂させている。
収録曲
01MR.アメリカ
シンプルでありながら、ハートに突き刺さるヘヴィなギター・リフが印象的なハード・ロック・ナンバー。超大国アメリカに向けての魂の叫びを、感情たっぷりに表現した、パワーがみなぎるメッセージ・ソングだ。
02ロックンロールと五人の囚人
2本のギターが奏でるハードなアンサンブルが高い音楽性を感じさせる、アメリカン・マナーのロック・ナンバー。鋭くも愛のある言葉が見られる詞が印象的だ。突き刺さるように飛び交うギターのリフも刺激たっぷり。
03ネアンデルタールPunks Fuck Off!
単調かつノイジーなギター・リフ、つかみどころのないタイトル、どこか突き放したようなヴォーカル……。すべてが絡み合って独自の世界を作り上げているロック・ナンバー。ヘヴィなリズムに重厚なギターが絡み、絶妙のハーモニーを聴かせている。
04せってん
手痛くフラれた女の子に向けてなのか、ツレない友人に送る言葉なのか。曲中全編“せってん(接点)”への強い希求を、しがみつくようなヴォーカルで歌い上げている。乾いたスネアのサウンドが歌詞の湿っぽさを打ち消しているミディアム・ナンバー。
05ハートのキング
全盛期のブルーハーツを彷彿とさせる、感情むき出しのシンプルな言葉が魅力的なミディアム・バラード。機械的に鳴り響くギター・リフが、どこかスペイシーな空間的広がりをもたらすサウンドを作り出している。
06MASSIVE ATTACK
意味不明の雄叫びをあげる男の声に、淡々とリズムが刻まれるドラム。そこに一定の意思表明をするように力強いリフを弾き続けるギター。と、奇妙なねじれを感じさせるサウンドが特色のインストゥルメンタル・ナンバー。
07デーモン&サタン
アルペジオ風に奏でられるクリーン・トーンのギターのサウンドの上で、肩の力が抜けたような優しい気持ちで歌われるヴォーカルが魅力的なミディアム・ナンバー。重たい雰囲気の詞を明るいタッチのサウンドで聴かせるポップ・ソングだ。
08ヒサシ.カリメロ
リズミックなベース・ラインと感情を排したようなドラムス、そこにオーソドックスなディストーション・ギターが絡んでいく。静かなAメロから一転してハードな展開を見せるサビや、シュールな詞と淡々としたヴォーカルが魅力的なナンバーだ。
09壁に話しかける普通の朝、僕はただの男
絶望的にも思えるシュールなタイトルと詞が印象的。サイケデリックで不安感をもたらすような転調を多用したサウンドに乗せ、現代詩のような難解な詞を読み聴かせるポエトリー・リーディング・ナンバー。聴くだけでトリップできること請け合いだ。
10ランチ
オーガニックな香りを感じさせるシンプルなギター・サウンドと安定感たっぷりのリズム・トラックに乗せて、横ノリのゆったりとしたメロディを聴かせるロック・ナンバー。奥田民生の世界に通じるような脱力感が、なんとも魅力的だ。
11Good Feelin'
ビートルズの名盤『サージェント・ペパーズ〜』を彷彿とさせる、シンプルだが奥深く、どこか奇妙なサウンドを展開するポップなナンバー。ドラム、ベース、ギターが織りなすサイケな世界に、どっぷり身を浸して聴き入りたい。