ミニ・レビュー
一番カッコよかった時代の西海岸ポップ・パンクのスタイルで、超キャッチーなメロディのつるべ打ち。英語詞ゆえの気楽さとポップさを武器にしつつ、やがて歌詞に込めたまっすぐな青春メッセージに胸打たれる二段構えがニクイ。3枚目の飛躍作。
ガイドコメント
インディーズ界で圧倒的な人気を誇るELLEGARDENの3rdフル・アルバム。前作よりさらにパワー・アップしたエモ・サウンドと、胸にグッとくる日本語詞がアツイ! ライヴ定番曲「Make A Wish」を含む全10曲を収録。
収録曲
01Supernova
激情のままをギター・ロックのフィルターに通し、昇華したようなナンバー。パワフルな散弾銃ドラム、加速を助長するヘヴィなギターがたまらない。一聴すると晴れやかな曲調だが、実のところは消せないリグレットを叫び続けている。
02スターフィッシュ
ヘヴィなリフから一転して、サビでは一気に煌びやかな輝きを放つメロディ。そんなELLEGARDENの得意とするサウンド・メイクが顕著なポップ・ソングだ。愛する人への気持ちを綴ったシンプルな日本語詞には素直に好感が持てる。
03Make A Wish
弾き語りでぬくもりが感じられる曲調は、まるで隣で眠る恋人をあやす子守唄のよう。静かに眠りへと誘ってくれる。かと思いきや、ラスト50秒でパンク・チューンへと豹変。息をつかせぬ高速ドラムが目を覚まし、一気にラストまで疾走する。
04Addicted
ヘヴィ・ロックの配音を施したサウンドが、やたらとサマになっているナンバー。新たな彼らの振幅の広さをこの曲でも確認できる。特にサビが圧倒的な迫力で、自己崩壊の心情をあらわに描いた詞もクレイジー。
05バタフライ
ハードなリフに、時折飛び込んでくる“デス声”。いつになく過激なロック・テイストがみなぎり、反骨精神にあふれた、ELLEGARDENというバンドを稼動させている“貪欲”というエネルギーが満ちている。ひたすら純真なリリックが胸を打つナンバー。
06My Bloody Holiday
心底腐っていた自分自身のやりきれない行動を、悔やむというよりは呪ったような“自己嫌悪後進曲”。冷静な眼差しで自省するリリックには、妙なリアリティがある。廃人すれすれで「待ってくれ」とすがる哀れな主人公に、思わず同情してしまう。
07Pizza Man
ダニエルって奴を探してひた走るピザ屋の配達物語。ひょうきんで痛快なリリックが飛び交って、ひたすらに楽しい。意味を考えることが無益のコミカルな劇を観ている気分になる。約2分で幕が下りる遊楽は、クレームすら受けつけさせない迫力だ。
08ロストワールド
宝石が放つ輝きのようにまばゆさあふれるギター・リフは、“忘れてはいけない感情”を綴った詞世界を象徴しているよう。いたずらに急ぐ世界に警鐘を鳴らしながらも、ELLEGARDENならではの人間味があふれる、温かさの宿るナンバーだ。
09Perfect Days
あたりの柔らかなギター・リフを中心に据えたシンプルなメロディや、紡がれるリリックににじむ、ヴォーカル細美の大らかな人間性に、優しい気持ちを覚えるナンバー。平凡を嘆くことがバカバカしく思える、そんな強さをもらえる、“パーフェクト”な作品だ。
10Good Morning Kids
生まれくる子供たちへ向けた、切なる願いを込めた愛の歌。褪せた世界に足を踏み出す子供たちを不安に思う一方で、「僕みたいにはならないだろう」と安心する、心の葛藤を滑稽に描く。だが、このような“人間臭さ”にエルレの魅力が詰まっている。