ミニ・レビュー
2001年、小学6年生で結成された彼女たちも18歳。そんな彼女たちの感謝のこもったベスト盤+DVD。手の抜きどころのない密に計算されたデジタル・サウンドは、とにかくキュートでポップ。ベストで聴くとまるで音の洪水のようで迫力があるのだ。
ガイドコメント
近未来型テクノ・ポップ・アイドル・ユニット、Perfumeのメジャー第1弾アルバム。これまでリリースした全シングルに加え、今では入手不可能といわれるインディーズ時代の楽曲も収録した決定版だ。
収録曲
[Disc 1]
01パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
メジャー1stアルバムといえる『〜Complete Best〜』新録曲。中田ヤスタカ全面制作へと移行した2006年作で、近未来感を増したテクノ・ポップとなっている。手を伸ばしても届かない完璧な彼に想いを馳せるキュートなラヴ・ポップ・ソングだ。
02リニアモーターガール
近未来アッパー・エレクトロ三部作の先鞭となったメジャー1stシングル。詞は木の子が担当。ピコピコとした音色や“1、2と3、ハイ”のかけ声など甘めで幼いアイドル的要素を残しつつ、近未来的恋愛衝動をスピーディなリニアモーターカーにたとえて歌う。
03コンピューターシティ
中田ヤスタカが詞編曲を担当したメジャー2ndシングル。完璧な計算で作られた都市で生きていても、恋心だけはプログラミングどおりにいかないと歌う。“ありふれたスピードを超えて”からの無機質でタイトなビートがクセになるテクノ・ポップ。
04エレクトロ・ワールド
跳ね上がるように強いビートとロック的な要素を融合させたアッパー・エレクトロ。リアリティがない世界の本当の姿に気づいた……という現代に警鐘を鳴らすような意味深な詞が秀逸。メジャー初期の近未来三部作の第3弾となったシングル。
05引力
キミからの恋の熱視線を引力とたとえた木の子の詞が印象的なポップ・チューン。“パッパッ、パパッパ”のフレーズやオルガンの音色からは、渋谷系的なモード感も。中盤から特に現れる、猫の目に変化するピコピコ・サウンドが楽しい。
06モノクロームエフェクト
インディ期の2ndマキシ・シングル。窒息しそうに狭い都会の空と欲望に埋もれそうな心の視野とを重ねた詞は大人びているが、歌唱はまだあどけない。作詞は木の子で、中田ヤスタカのサウンドはピコピコしたアイドル・ポップ風。
07ビタミンドロップ
インディ時代の3rdマキシで初期名曲といえるテクノ・ポップ。“笑顔で嘘つき お遊戯を踊る”など本当の自分とのギャップに悩むアイドルに言及した詞を、少女たちがサラッと歌うコンセプトが見事。考えさせられるテーマも“ラララ……”のコーラスに救われる意味深な曲だ。
08スウィートドーナッツ
スピーディな電子音に乗って駆け抜けるメランコリックなラヴ・ソング。二人の恋をドーナツにたとえ、電子レンジで温め直したら食べごろになるかなと恋の復活に期待する気持ちを弾けるように歌う。ピコピコ音全開のインディ期の1stマキシ・シングル。
09ファンデーション
恋を知るには足りないことだらけの年頃の気持ちを巧みにとらえたテクノ・ポップ。背伸びする恋を心まで化粧していた=ファンデーションと描写。ウィスパー・ヴォイスでの合いの手やピコピコ度を抑えたおしゃれな雰囲気のサウンドには、大人の一面がチラリ。
10コンピュータードライビング
制御された行動だけでは欲しいものは手に入らない、見えるものすべてが真実じゃない……。合理的で機械的な世界だけでは生き抜けない恋する女子の奮闘を綴る。8ビットゲーム・ミュージック風のポコポコとしたサウンドの感触が楽しい。
11Perfume
木の子と中田ヤスタカのコンビによるセルフ・タイトル・ナンバー。カラフルでポップなゲーム風サウンドに乗せて、磁石のように引き合わされた3人とファンが出会った奇跡を歌う。“パ・パ・パ・パ・パ・パ、パフューム”のコールが楽しい。
12wonder2
ファンタジックなイントロから幕を開けるミディアム・ポップ。ほかとは違う大切なキミとの幸せなストーリーを、温もりある歌唱で語る。電子的なサウンドながらもぽかぽかとした優しい肌あたりが伝わる、中田ヤスタカ制作曲。ライヴの最後に歌われることも多い。
[Disc 2]〈DVD〉
01リニアモーターガール (VideoClip)
02コンピューターシティ (VideoClip)
03エレクトロ・ワールド (VideoClip)
04ビタミンドロップ (VideoClip)