ミニ・レビュー
ソロ・デビューした70年の『ライター』から76年の『サラブレッド』までの歌の中から選曲されたベスト・アルバム。キャロル・キングがいかに優れたソングライターかよくわかる。唯一の不満は「君の友達」が入ってないこと。なぜ?
ガイドコメント
70年代を代表する孤高の女性シンガー・ソングライター、キャロル・キングのベスト。金字塔的アルバム『つづれおり』収録曲をはじめとする珠玉の名曲の数々が詰まった1枚。完全生産限定盤。
収録曲
01I FEEL THE EARTH MOVE
02IT'S TOO LATE
2004年7〜8月の全米ツアーでのライヴ録音。1971年に5週連続で全米No.1ヒットを記録した永遠の名曲。決して古くなることのないこの曲の魅力に改めて思い知らされる、キャロルの名唱が聴ける。彼女のスキャットも美しいが、間奏でのギターとピアノのソロも良い。
03BITTER WITH THE SWEET
チャールズ・ラーキーとハーヴィ・メイスンが奏でるファンキーなリズムに乗って、キャロルが饒舌なラップ調のヴォーカルを聴かせる曲。アルバム・タイトルの通り、“韻も踏んでいるし、意味もある”というソングライターらしい芸を披露してみせた曲でもある。
04WAY OVER YONDER
05CARRY YOUR LOAD
06MUSIC
音楽の素晴らしさを称えるジャジィなワルツ。「私の頭の中で音楽が鳴っている」という歌詞の一節がいかにもキャロルらしい。効果的に挿入されるコーラスも上手い。カーティス・エイミーのサックス・ソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル・パートも圧巻
07BEEN TO CANAAN
08THAT'S HOW THINGS GO DOWN
身ごもった女性が何らかの理由で遠く離れた場所にいる男性に「早く会いたい」と願う曲。コーラスやオルガンをフィーチャーしたR&B調のサウンドをバックに、揺れ動く女心を象徴するようなヴォーカルを聴かせる。微妙なニュアンスを伝える歌声が印象的。
09CORAZON
スペイン語で歌われる熱烈なラブ・ソング。ホーン・セクションをフィーチャーしたサンタナばりの躍動感あふれるラテン・ロック・サウンドを聴かせてくれる。スペイン語詞のラテン・ロックではキャロルの曲とは思えないが、シングルは全米37位のヒットを記録。
10NIGHTINGALE
力も誇りも失った男性歌手と彼のために歌う女性歌手が登場する曲。快調に疾走するリズム・セクションに乗って、ブルー・アイド・ソウル調のヴォーカルを披露している。愛娘ルイーズ&シェリー・ゴフィン姉妹もコーラスで参加。全米9位のヒットを記録した。
11BROTHER BROTHER
12SWEET SEASONS
2004年7〜8月の全米ツアーでのライヴ録音。1972年の全米9位のヒット曲をアンプラグドなアレンジで陽気に披露する。オリジナルのホーン・セクションをゲイリー・バーや観客と一緒にスキャットでカヴァー。即興的に書き換えた歌詞もタイムリーで上手い。
13JAZZMAN
1960年代に培った手法を応用したキャロル流の1970年代型ポップ・ソング。トム・スコットの吠えまくるサックスとゴージャスなコーラスをフィーチャーした怒涛のポップ・サウンドをバックに、極上のメロディを最高のヴォーカルで披露している。全米2位のヒットを記録。
14WILL YOU LOVE ME TOMORROW?
ゴフィン=キングが1960年にシュレルズに提供した名曲の作者ヴァージョン。ピアノを軸にしたゴスペル調のアレンジで、ジェイムズ・テイラーとジョニ・ミッチェルによるクワイア調コーラスがキャロルのヴォーカルをバックアップしている。2本のアコギも効果的。
15SO MANY WAYS
16SO FAR AWAY
限りなくやさしいメロディに思わず涙がこぼれてくる。寂しさを歌いつつも、決して感傷的にさせない名バラードだ。しっとりとした控えめな歌声は、私たちの孤独で長い旅を、「大丈夫よ」と、そっと応援してくれる。
17(YOU MAKE ME FEEL LIKE) A NATURAL WOMAN
2004年7〜8月の全米ツアーでのライヴ録音。1967年にアレサ・フランクリンに提供し、1970年の名盤『つづれおり』でも自演した名曲中の名曲を、ピアノの弾き語りで熱唱する。女性の観客は全員が歌っているのではないかと思わせるほどの大合唱は、まさに感動的。