ミニ・レビュー
81年発表のアルバム『Reflections』を、25年ぶりに当時と同じメンバーで再録。よりクールにリメイクされ、シャレたシティ・ポップスへと昇華している。TBS『ザ・ベストテン』12週連続1位記録を持つ「ルビーの指環」もスタジオ・ライヴ・ヴァージョンで収録。
ガイドコメント
87年の『Standard』以来、約19年ぶりとなる寺尾聰のアルバム。J-POP史に残る名曲「ルビーの指環」などのデビュー盤『Reflections』の収録曲を、井上鑑や高水健司といった当時のメンバーらとともに再録音した、企画色の濃い一枚。
収録曲
01Re-Cool HABANA EXPRESS
81年にリリースした大ヒット・アルバム『Reflections』に収録されていたナンバーのセルフ・カヴァー。当時のオリジナル・ヴァージョンとは異なる、スティール・ドラムをフィーチャーしたアレンジが、古くからのファンには新鮮だ。
02Re-Cool 渚のカンパリ・ソーダ
スウィートでビターなひと夏の出来事を歌ったポップ・チューン。ビーチ・ボーイズを彷彿とさせる軽快なコーラス・ワークと寺尾の渋いヴォーカルとの絡み合いが楽しい。それにしても「八月は出逢う女を恋人に変えちまうよ」とは、プレイボーイ過ぎる!
03Re-Cool 喜望峰
孤独な男の人生を一人旅になぞらえた歌詞がたまらなく渋い大人のロック・ナンバー。セクシーなサックスやワウを効かせたギターによるファンキーでジャジィなサウンドと、歌謡曲テイストのメロディとのバランスが絶妙だ。
04Re-Cool 二季物語
一言で表現するなら“アダルト・オリエンテッド歌謡曲”とでも言うべきか。暗く重苦しい雰囲気の中で、ギターがアンニュイに響く前半部分は冬の別れを、軽快なリズムの上をピアノが踊る後半は夏の情事をと、アレンジの妙で「二季物語」を表現している。
05Re-Cool ルビーの指環
彼の最大のヒット作であり、昭和を代表する名曲のひとつである「ルビーの指環」を25年ぶりにセルフ・カヴァー。印象的なギター・リフに男の悲哀を描いた切なげな歌詞、円熟味を増したヴォーカルと渋くてセクシーな大人の魅力に、もはやノックアウト必至!
06Re-Cool SHADOW CITY
イントロや間奏で効果的に使われる気だるいスキャットのリフレインが、耳から離れなくなりそうなミディアム・バラード。別れる恋人との最後の時間を歌った詞はキザ過ぎるはずなのに、彼が歌うと違和感なく、カッコよく聴こえてしまうのが不思議。
07Re-Cool 予期せぬ出来事
ファンキーでアダルトな雰囲気たっぷりのギター・リフがクールなナンバー。初めて出会った女とパーティを抜け出して、「シナリオ気にしてちゃ恋はできないぜ」なんていう、男なら一度は憧れるシチュエーションが、この歳でサマになるのはさすが。
08Re-Cool ダイヤルM
アルフレッド・ヒッチコックの傑作映画からタイトルを拝借したムーディなナンバー。アダルトで気だるい雰囲気が漂うなか、フリューゲル・ホーンとパーカッションによるフリー・ソウル的アレンジが新鮮なアクセントを与えている。
09Re-Cool 北ウィング
いかにも歌謡曲といったタイトルのとおり、歌のメロディもサウンド・アレンジも、聴けば聴くほどに演歌調の歌謡曲そのもの。だが、寺尾の渋くてセクシーな声と歌いまわしや独特の存在感によって、一言で歌謡曲と片づけられない不思議で妖艶な曲に仕上がっている。
10Re-Cool 出航SASURAI
どこまでもキザで、いじらしいほどカッコイイ、そんなクールな男の世界全開の歌詞が素敵なミディアム・ナンバー。音飛びと間違えるほどブレイクを多用するAメロが、だんだんとクセになる。優しくセクシーなヴォーカルとストリングスの澄んだ音色の相性もバッチリ。
11ルビーの指環1981
当時の賞レースを総ナメにした金字塔的大ヒット曲を、豪華メンバーとともに新たにライヴ・レコーディングした貴重な一曲。当時を知る人も、俳優の寺尾聰しか知らない人も、ミュージシャンとしての彼の魅力を余すところなく実感できるはず。