ミニ・レビュー
今や和製R&Bの頂点に立つ彼らの4枚目のアルバム『fo(u)r』を、冨田ラボ、高木正勝、Tahiti 80、韻シストなど稀代のサウンド・クリエイターらに委ねたリミックス盤。まさにCHEMISTRYがさらなるCHEMISTRY(化学変化)を起こした好企画だ。
ガイドコメント
2005年発表の4thアルバムのリミックス盤。もはやリミックスの枠を超え、再構築・リアレンジされた感の強い仕上がり。リミキサーは冨田ラボやDEPAPEPE、TAHITI80、高木正勝など、豪華な顔ぶれ。
収録曲
01Here I am (chemistry brothers mix by NIRGILIS)
米ABC系ドラマ『LOST』日本版エンディング・テーマを、NIRGILISがリミックス。メロウなR&Bだったオリジナルが、低音の効いたハウス・アレンジになってよみがえった。デビュー曲「PIECES OF A DREAM」のフレーズを刻み込ませるなど、切れ味鋭いナンバーだ。
02キミがいる (MATALLY New Era Mix)
日本テレビ系ドラマ『87%』主題歌としてヒットしたナンバーをリミックス。シンセ・リードを基調としたデジタル・サウンドとスパニッシュなガッド・ギターなどをフィーチャーした、アコースティックな趣がナイス・マッチング。
03Two As One (DEPAPEPE Remix)
クリスタル・ケイをフィーチャーした、トヨタ「ウィッシュ」CMソングをDEPAPEPEがリミックス。アコースティック・ギターを基調にしたミディアム・ポップ・ナンバーで、さわやかなハーモニーがより爽やかに感じるアレンジとなっている。
04nothing (Takagi Masakatsu Remix)
各種のパーカッションとエレクトリック・ピアノのアンサンブルで、リズミックにハーモニーを聴かせるオーガニックなナンバーを、高木正勝がリミックス。シンガー・ソングライターの古内東子によるしみじみとした歌詞も要注目だ。
05Wings of Words (aras de palabras)
TBS系人気アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』オープニング・テーマとなった15thシングルをリミックス。オリジナルのメロディアスに流れるバック・サウンドを、アコースティック・ギターのアルペジオに変えて、勇敢さを感じるヴォーカルをより引き出している。
06伝説の草原 (Patric Stump Remix)
CHEMISTRYとしては珍しい、ハードなディストーション・ギターを全面に押し出したヘヴィ・ロックとしてリミックス。卓越したコーラス・ワークとスタンダードなロック・サウンドからは、大人の余裕を感じさせる。映画『オープン・シーズン』日本語吹き替え版イメージ・ソング。
07涙のあと (breakthrough Remix)
淡々とした打ち込みのリズム・トラックと浮遊感たっぷりのシンセ・サウンドがスペイシーな雰囲気を醸し出す、ライムスターのDJ JINらによるユニット、breakthroughによるリミックス。丁寧に歌い上げるメロディが心に染みわたる、優しくメロウなR&Bナンバー。
08almost in love (Tomita Lab.Remix)
TBS系バラエティ『恋するハニカミ!』テーマ・ソングのミディアム・スロー・バラードを、冨田ラボがリミックス。優しく口ずさみやすいメロディと透明感あふれるハーモニーという特色を活かしたボサ・ノヴァ風アレンジが、切ないサウンドをスタイリッシュに変えている。
09Grind For Me (PUM PUM Mix) (feat.BOY-KEN)
BOY-KENをフィーチャーして、ラテンのエロティックな香りがふんだんにちりばめられたリミックス。イントロを飾るファンキーなMCに導かれてアダルトでセクシーなヴォーカルが登場する、彼らにしては珍しい、少々赤裸々なラブ・ソングだ。タイトルの“Grind”とは男女の営みを指すスラング。
10Long Long Way (韻シストMix)
本人出演のサントリー「角瓶」CM曲として起用されたのシングルを韻シストがリミックス。オリジナルのゆるやかさはそのままに、ジャジィなアプローチでアダルトな雰囲気に仕上げている。オブリガード的に絡んでくるサックスの音色が何ともムーディ。
11believin' (Tahiti 80 Remix)
軽快なビートと明るいギターのカッティングに乗せて、爽やかなコーラスをこれでもか! と聴かせるユースフルなポップ・ナンバーを、Tahiti 80がリミックス。青空のように澄んだコーラス・ワークやシンプルな歌詞が、アクティヴなサウンドに映えている。
12Dance With Me (f GAKU-MC) (United Fellows Mix)
作詞にも参加したEAST ENDのGAKU-MCをフィーチャーした、美しいコーラス・ナンバー。空から舞い落ちる白雪のような美しいハーモニーに導かれて一転、豊かなエレピの和音に乗せて歌うムーディな歌メロがなんともセクシーな、United Fellowsによるリミックス。
13for... (pf Ver.feat.山下洋輔)
山下洋輔の弾くジャジィなアコースティック・ピアノに乗せて歌われる、弾き語りのバラード・ナンバー。シンプルな構成だからこそ浮かび上がる、彼らのヴォーカルの正確さや力強さに圧倒される。強く美しいラブ・バラードの決定版だ。
14Change the World (Dub Mix)
ベイビーフェイスがプロデュースし、エリック・クラプトンの代表曲のカヴァー・ヴァージョン。重めのハウス/クラブ的なサウンドにレゲエ・テイストをちりばめ、スペイシーなアレンジを施している。そのなかで堂々としたヴォーカルが光る。