ミニ・レビュー
ドラム&ヴォーカルといえば、20世紀にはフライド・エッグ、愛奴、YMOなどが日本には存在したが、21世紀は彼らこそが本命かも。このメジャー・デビュー・アルバムの、強烈なグルーヴとオリジナリティあふれたアレンジでロックの凄みを見せ付ける。クールでありながら熱い!
ガイドコメント
強靭なグルーヴを身につけた4ピース・バンド、8ottoのメジャー・デビュー・アルバム。ダンス・グルーヴとロックのビートが融合したオリジナリティあふれるサウンドに、興奮すること間違いなし!
収録曲
01カウンター・クリエイション
ゴースト・ノートを上手く活かしたギター・リフ、激しくひずんだベース、ヴォーカルのノリは8ビートながら16ビートで刻むドラムス。イントロからインパクト大の、新人とは思えない練りこまれたアレンジが完成度の高さを表わしている作品。
021977
ルーズなイントロのゆるやかなナンバーかと思いきや、リズム・セクションが入ればディスコ・ナンバーへと早代わり。ロックとディスコのおいしいところを上手く融合したサウンドは、タイトルの「1977」年のKISSを彷彿とさせる。
03ラウンド・アンド・ロール
オープン・コードのイントロに対して、ヴァースではミュートされたシングル・ノートのバッキング。このメリハリのつけ方こそ彼ら独特のもの。シンプルかつメロディアスな究極のポップ・ソングだ。
04徒夢 (ADAYUME)
歪みまくったベース・ソロによるイントロに、ナチュラル・ディストーションでカッティングを始めるギターとの絡みがぞくぞくするほどカッコいい。クールで表情を押し殺したかのようなヴォーカルとコーラスも、サウンドにはまっている。
0517
ギターだけをバックにしたヴォーカルでスタートするヴァースが、いやがうえにも期待感を高めてくれる8ビートのミディアム・チューン。リズム・セクションも序々に交わっていき、なだらかな高揚感が気持ちいい。
06GH
ギター・レスで、ドラムとベースだけでスタートするアップ・テンポの8ビート・チューン(一部ドラムが16ビートになる部分あり)。イントロからリズムが前面に出ていて、グルーヴ感満点のサウンドで響いてくる。
07フェア・チャイルド
シンプルな8ビートで、彼らのポップネスを前面に押し出したキャッチーなナンバー。どことなく漂うクールな空気感、シンプルなフレーズながら力強いリズム、一瞬英語に聴こえるような歌詞など、オリジナリティがたっぷり。
08ヘイ・ジャー
ブラック・ミュージックのテイストが感じられるファンキーなナンバー。とはいえ真っ黒ではなく、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのように、ロックの中に黒いグルーヴを上手く融合しているファンクネスなサウンドだ。
09絵
薄くパーカッションも加わっているが、ほぼベースの和音弾きのみという意表を突いたバッキング。ここでは音が濁りやすいベースの音をきれいに響かせるために、ほぼノン・エフェクターのナチュラル・トーンでプレイ。サイケデリックな雰囲気も漂うナンバー。
10チャル
アルバム『リアル』に収録のわずか2分弱のインタールード風インスト。個性的なギター・リフと高速のハイハットが印象的だが、そのほかは8ビート・マナーに則ったオーソドックスな演奏。コード進行もシンプルで変に小技を使わない、ポップ・ソングのお手本だ。
11フェイク
ブラック・ミュージックの影響が強く現れているファンキーなナンバー。休符を最大限に活かしたリズム・セクションと歯切れの良いギター・リフによるバッキング。1つのコードを何度も繰り返すことによって、次第に高揚感が生じてくる。
12マッシヴ
現代音楽でも活躍する灰野敬二のようなノイズの洪水。永遠に続きそうなマイナーなベースのリフによるソロ。だが、1分も過ぎると、突然歌モノへと変わる。アルバム『リアル』の中で最長ながら、展開は驚くほど少ないサイケデリックなナンバー。