ミニ・レビュー
93年は例年以上にベストのリリースが多い気がするなあ。レベッカのシングル集は、ヒット連発で登りつめていく勢いが詰まったバイオグラフィでもあります。考えてみりゃCD以前のものも多い。レベッカと共に青春があったヒトは、必聴&必携アイテム。
収録曲
01WEARHAM BOAT CLUB
NOKKOのパンキッシュな歌声が世に炸裂した衝撃のデビュー作。男女の欲望渦巻く宴を描いた、スリリングなロック・チューンで、男を漁る野良猫のようなスレた歌いっぷりは、まさにアウトローの誕生を告げる強烈な産声。
02VIRGINITY
汚れなき少女のロスト・ヴァージンの瞬間を、生々しくも美しい情景に絡めて描く切ないロック・チューン。少年の目線で語るNOKKOのやるせない歌声は、男の複雑な心境をリアルに表現。2ndシングルとは思えないほど、完成度の高い作品だ。
03LOVE IS CASH
メンバー・チェンジを経て、新生レベッカとしての第一弾がいきなりヒット! かつてのアングラなロック・サウンドを払拭したキュートなエレ・ポップは、世をして「NOKKO=和製マドンナ」といわしめ、85年に日本を席捲した。
04FRIENDS
元祖・紅一点ヴォーカル・バンド、レベッカの85年大ヒット作。80年代らしいシンセの効いたチープなロック・サウンドにキャッチーなメロディ、そして何より、類を見ないNOKKOの個性的なヴォーカルが魅力。
05RASPBERRY DREAM
技巧を駆使したイントロ部、意外に派手なベース・ラインなど、隠れた音楽的魅力にあふれた切ない名曲。この曲でNOKKOに出会い、思わずバンドを結成してしまった女性も多かろう。J-POP夜明け前の音楽シーンを象徴する一曲。
06LONELY BUTTERFLY
どんなにツッパった女の子にも、驚くほど繊細な部分があるもの。NOKKOのそんな一面が穏やかに花開いた、センチメンタルなポップ・チューン。薬師丸ひろ子ばりの可憐な歌唱が、男性ファンをたじろがせた。
07MONOTONE BOY
松本隆がメガホンをとった自伝映画『微熱少年』のエンディング・テーマ。作詞も松本が担当し、思春期の煮え切らないエネルギーを躍動感あふれるビートにぶちまけた、ファンキー&パンキッシュなロック・チューンに仕上がっている。
08NERVOUS BUT GLAMOROUS
三角関係において、いわば「場外」である女の心情を赤裸々に綴った、87年発表の8thシングル。嫉妬の炎を携えた女が醸し出す、特有の妖艶さが染み込んだミステリアスなニューウェイヴ・ナンバー。NOKKOの小悪魔的な魅力が、しっとり開花した秀作だ。
09MOON
88年の発売当時、「幽霊の声が入っている」として話題騒然となった9thシングル。少女が不良へと堕ちていくさまを月へ語る、あまりに哀しい名曲。NOKKOの虚ろな歌声と不穏に湿るサウンドが、リスナーの胸を締めつける。
10ONE MORE KISS
洋楽的なメロディ・ラインを終始ハイトーン・ヴォイスで歌い上げるミディアム・ポップ・チューン。常にアメリカに目標があった彼女の志の高さが昇華された、NOKKOのクリスタル&ソウルフルな絶唱に圧倒される名ラブ・バラード。
11VANITY ANGEL
恋の嵐に理性も吹っ飛ぶ“アタシ”を恐竜に例えたユニークなポップ・チューン。ワイルドな娘に扮するNOKKOの歌唱は、猛烈にキュート。加えて土橋安騎夫のシンセ弾けるキラキラ・サウンドが加われば、これはレベッカの定番サウンド!
12SUPER GIRL
幸せ探しに奮闘する女の子を“あたしたちは自分の恋で精一杯”“他人まで救えないスーパーガール”とユニークに描いた詞を、疾走8ビートに乗せて歌う直球ロック・チューン。NOKKOのスパークリング・ヴォイスには、やっぱりロックが似合う。
13LITTLE ROCK
89年に発表された、解散前最後のシングル。田舎娘がハリウッドを目指すというストーリーは、その後のNOKKOのソロ躍進を予見させる。躍動的な4ビートにのせて、野心とポジティヴィティあふれる歌声が響きわたるハッピーなロック・チューン。