ミニ・レビュー
元PIERROTのKIRITO、KOHTA、TAKEOの三人が結成したのがAngelo。この1作目に描かれたのは、PIERROT時代から得意としていた暗鬱かつサイコティックなデス&ゴス世界。聴き手を闇黒な異世界に引きずり込む剛と刹那な姿を見せる柔、二つの表情が刺激的だ。
ガイドコメント
元PIERROTのヴォーカル、キリト率いる3ピース・ロック・バンドの1stアルバム。シングル「REBORN」「WINTER MOON」などを収め、彼らの音楽の幅や情熱が感じられるヴァラエティ豊かな一枚だ。
収録曲
01異境に咲く花
穏やかなメロディに、突如押し寄せるベースの轟音が聴き手の心を奪うデス調ロック。激しいベースと、ドラムの静かな音が交互に現れる独特の演奏が彼ららしい。異境に咲く孤独な花に自身をたとえる詞が、儚く繊細な詩情を作っている。
02REBORN
デビュー・シングルは、グルーヴ感がかっこいいヘヴィ・ロック・チューン。悲鳴のようにうなるベースとドラム音主体の切れ味を持った音楽に魅せられる。挑発的なキリトの歌声が、鋭く耳に突き刺さってくるようだ。
03白昼夢
激しく自由奔放に荒れ狂うベース音を中心にした疾走系ロック・チューン。白昼夢という言葉通り、不思議な音の変調と効果音が楽しめる。禁煙をしてヴォイス・トレーニングに励んだキリトの歌声も、伸びと深みを増していて曲の質を高めている。
04EASTER AGAIN
思わず一緒に踊りたくなる、ドラマティックで疾走感満点のメロディアス・ロック。サビに現れる胸を締め付けるような美しいメロディも、曲全体に刺激的なアクセントを添えている。やりたい放題のギター・リフも聴きどころ。
05HALLUCINATION
アコースティックな清々しい演奏に、伸びやかなキリトの歌声を乗せたメロディアス・ロック。切なく盛り上がるサビが、80年代歌謡曲のようで懐かしい。キラキラとした透明感のある音が瑞々しい雰囲気を作っているナンバー。
06DARK SNOW
キリトの甘い声の魅力を最大限に引き出したミディアム・ロック。叙情的なメロディを背景に、淡い思い出に変わっていく昔の恋人を語る詞が儚く美しい。“人知れずこういう事を思っている時もある”と言うキリトの真情を映した曲。
07WINTER MOON
陰りと高揚感のあるビートが印象的なメロディアス・ロック。メロディを重視したという、彼らの音楽観の幅と奥深さを感じさせる。凍てつく月夜に震えながら別れた彼女の温もりや愛を思い出す詞が、甘酸っぱく胸に迫ってくる。
08DANCE
重々しく気だるげなベース音とシャウトを交えた変幻自在の歌声が絡み合う、ドライ&ヘヴィなロック・ナンバー。生きることを“狂気のダンス”にたとえた抽象的でミステリアスな詞が、毒気たっぷりの怪しい世界を描き出している。
09MORE PAIN
ギターが荒れ狂う、激烈な音の洪水に始まるメロディアス・ロック。以前にも増して伸びと高音域に広がりを持ったキリトのヴォーカルが強い存在感を放っている。高らかにうなり狂うベースのソロ演奏も堪能できる一曲。
10HOLOCAUST
ライヴ感たっぷりの高速ハイテンション・ロック・チューン。攻撃的に押し寄せてくるベースとドラムの嵐に、キリトの繊細だが強靭な歌声がぶつかり、享楽的な音の世界を作り出している。曲の頭に入る不気味な効果音も面白い。
11SCRAP
キリトが“最近ムカついたこと全部を歌詞にした”という毒舌渦巻くロック・ナンバー。“ガラクタばかりだ”と怒りをぶちまけ叫ぶ歌声が、激情的なメロディに乗って荒々しくも潔い。イライラした時に聴くとスッキリする一曲。
12SQUALL
頭をガンガン振りたくなるアップ・テンポな爽快ロック・チューン。胸が高鳴る高速リズムの中に、滑舌の良い歌声が駆け抜けるように流れている。突然訪れた男女の別れの時に“もう一度考え直してごらん”と語る詞が温かい。