ミニ・レビュー
米女性シンガー・ソングライターの通算4枚目。多彩なプロデューサーを迎え、またゲストのスノウ・パトロールのギャリー・ライトボディとデュエットした曲など、これまでになかった魅力が詰め込まれたアルバムだ。キュートなヴォーカルの中にも力強さが感じられる。
ガイドコメント
約2年ぶりとなる2012年10月24日リリースのアルバム。ソングライティングをすべて本人が手掛けた前作『スピーク・ナウ』から一転、マックス・マーティンら兼ねてからの希望の制作陣を迎えた、テイラーのマルチな一面を披露した一枚。
収録曲
01STATE OF GRACE
アメリカ出身、89年生まれのシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフトの4thアルバムの冒頭曲。軽快な4つ打ちのバンド・サウンドと流麗なヴォーカルが、爽やかで心地よい仕上がり。ワクワクした気持ちを詰め込んだ歌詞もサウンドによく合っている。
02RED
カントリーの要素をちりばめたおおらかなロック・サウンドが印象的な、4thアルバムのタイトル曲。人を愛することは“赤”と訴える、自分の気持ちを色にたとえたユーモラスな歌詞で、カラフルなイメージを想起させる。
03TREACHEROUS
危うい恋に落ちそうな女性の、半分投げやりな気持ちをセクシーなヴォーカルで綴った、ドラマティックな展開のロック・テイストのポップ・チューン。P!NKやアヴリル・ラヴィーンらの作品で知られるダン・ウィルソンがプロデュースを手がけている。
04I KNEW YOU WERE TROUBLE.
バックストリート・ボーイズなどを手がけたマックス・マーティンとシェルバックがプロデュースに参加した、“堕落”をテーマにしたアグレッシヴなポップ・チューン。歌声を歪ませたサビの破壊力ときたら! ドラマ仕立ての展開が楽しい。
05ALL TOO WELL
肩の力を抜いてリラックスしたような自然体のヴォーカルと、アコースティック・ギターを基調にしたオーガニックなサウンドが心地よいラヴ・ソング。淡々としていながらも繊細さも持ち合わせたヴォーカルが実に爽やか!
0622
22歳のときに制作した当時の彼女の気持ちが詰まった、4つ打ちのアップ・チューン。常に“ツイてない気分”をたたえている若者の、爆発したい気持ちを楽しく描いている。ブリトニー・スピアーズらを手がけたマックス・マーティンとシェルバックがプロデュース。
07I ALMOST DO
失恋について歌った、アンニュイなギターの音色がよりいっそう切ない気分にさせるアコースティック・ナンバー。どうしても忘れられない、もう一度やり直せたらいいのに、そんなやるせない気持ちを切々と美しく伸びやかなヴォーカルで歌い上げている。
08WE ARE NEVER EVER GETTING BACK TOGETHER
日本ではフジテレビ系『テラスハウス』オープニング・テーマに起用されたヒット曲。ブリトニー・スピアーズらを手がけたマックス・マーティンとシェルバックがプロデュースに参加した、サビのアッパーなメロディがクセになるラヴ・ソングだ。
09STAY STAY STAY
リズミカルで軽快なギターの音色が心地よい、カントリー・フレイヴァのあるポップ・ソング。破局寸前になるほどのけんかを繰り返しても、やっぱり相手のことが好きで一緒にいたいと願う女性の気持ちを綴ったラヴ・ソングだ。
10THE LAST TIME
テイラーとスノウ・パトロールのヴォーカル、ギャリー・ライトボディ、同バンドのプロデューサー、ジャックナイフ・リーの3人による共作曲。あるカップルの楽しいだけではない物語を絶妙なさじ加減で描いた、テイラーとギャリーの物憂げな歌声が響くデュエット曲だ。
11HOLY GROUND
カニエ・ウェストやビヨンセらの作品で知られるジェフ・バスカーがプロデュースを手がけたポップ・チューン。かつての恋人との美しい思い出を回想し、前向きな気持ちになりたいけれどなりきれない女性の心境を、明るいメロディに乗せて歌った“泣き笑い”の歌だ。
12SAD BEAUTIFUL TRAGIC
アンニュイなアコースティック・ギターの音色を基調にしたミディアム・チューン。二度と戻らない、愛する人との美しい日々を描いた悲しい歌だ。音数が少ないぶん、情感を込めたヴォーカルとコーラスが際立っている。
13THE LUCKY ONE
名声と引き換えに失ったものについての皮肉を色香漂うヴォーカルに乗せて描いた、軽快なロック・ナンバー。カニエ・ウェストやビヨンセらの作品で知られるジェフ・バスカーがプロデュースを手がけている。
14EVERYTHING HAS CHANGED
出会ったばかりの男女のときめく気持ちをはつらつと綴った、エド・シーランが楽曲制作に参加し本人とデュエットしたハッピーなポップ・ソング。アヴリル・ラヴィーンらを手がけてきたブッチ・ウォーカーがプロデュース。
15STARLIGHT
1945年の17歳のカップルがヨット・クラブのパーティではしゃぐ姿を描いた、ストーリー仕立ての歌詞がユーモラスなロック・チューン。“何これ、なんて素晴らしい曲かしら”と歌うサビがとにかく楽しそうで、繰り返し聴きたくなる。
16BEGIN AGAIN
別れた恋人との思い出を引きずっていた女性が新しい恋へ向かっていく心境を描いた、スローなラヴ・バラード。優しいヴォーカルとギターの音色の効果もあるが、複雑な気持ちの変化を見事に描いた歌詞は、特筆すべきクオリティだ。