ミニ・レビュー
シングル「SPRING LOVE」「SUMMERTIME」(feat.VERBAL)を収録した約3年9ヵ月ぶりとなるフル・アルバム。2000年代後半におけるR&B、ヒップホップの最新鋭サウンドとJ-POPとしての親しみやすさのバランスが見事。色彩豊かなヴォーカルも素晴らしい。
ガイドコメント
およそ3年9ヵ月ぶりとなるオリジナル・アルバム。ダンサブルなアッパー・チューンやスウィート・ヴォイスが光るミディアム・バラードなどが幅広く収録され、より煌びやかにグレード・アップしたサウンドが堪能できる。
収録曲
01SPRING〜intro
02SPRING LOVE
DOUBLE本人による100声を超える(!)コーラス、クラシックの要素を感じさせるピアノ、上品かつおおらかなメロディ、春の雰囲気のなかで描かれる深遠なる愛。R&Bを超えた、独創的・普遍的なラブ・ソングだ。
03DOUBLE'S STYLE〜interlude
04We International (feat.Ak'Sent)
LA出身のフィメール・ラッパー、アクセントをフィーチャーしたR&Bチューン。2000年代の流行のひとつ、和楽器の音色を取り入れたトラックとDOUBLEによる強靭でエロティックなフロウが、しっかりと融合している。
05Reflex
キラキラとした光りを放つサウンド・エフェクトとダンスホール・レゲエ〜ヒップホップをナチュラルにつなぐトラックが印象的。圧倒的なオリジナリティとオリエンタルな空気を同居させた、アルバムのタイトル・チューン。
06This close
スウィートにしてセクシーなメロディとなめらかに流れていくグルーヴが何とも気持ちいい、ヒップホップ・ソウル系のバラード。アナログ・テイストのミックスも、シックな空気をたたえた曲想によく似合っている。
07Autumn〜interlude
08WHY DO YOU GO
どうして行ってしまうの? というタイトルどおり、突然の別れに戸惑い、崩れていく女性を描いた失恋ソング。叙情的なリリックを、深いソウルネスを備えたサウンドがしっかりと支えている。抑制の効いたヴォーカルも大人っぽくてステキ。
09SUMMERTIME (feat.VERBAL)
ダンスホール・レゲエ、ヒップホップ、R&Bなどのエッセンスを独自のセンスによってクロスオーヴァーしたトラックがとにかく斬新。VERBALを迎え、“海へ行こうよ、遊ぼうよ、楽しもうよ”というハッピー&お気楽なノリが心地よいサマー・アンセム。
10Arabian Dream
中近東あたりのエキゾティック&ミステリアスな音像を用いながらも、トラックはしっかりとUS調R&Bとして成立。サウンド・メイクにおけるセンスの良さ、意外性に満ちたアイディアが感じられるダンス・チューンだ。
11Emotions
骨太のブレイクビーツと激アッパーなホーン・セクションでテンションが一気に上がるダンス・チューン。音楽をクリエイトするときの感情(=“エモーション”)の盛り上がりをテーマにしたと思われるリリックも、きわめて興味深い。
12ROCK THE PARTY (feat.BOY-KEN&ORQUESTA DE LA LUZ BAND)
BOY-KENとオルケスタ・デ・ラ・ルスをフィーチャーした、ラテン・モード全開の灼熱系ナンバー。華麗にシンコペーションするビートと週末のパーティを描いた詞が、快楽を呼び起こす。レゲエ調のがなる男臭いフロウで顔を出すBOY-KENとの相性も絶妙。
13Winter Love Song
舞い降りる雪のなか、しっかりと抱き合いながら愛を確かめ合うカップルというベタなシチュエーションを、純度の高い歌唱とサウンドで洗練されたソウル・バラードへと昇華。決して大げさでなく、メロディの良さを伝えるヴォーカルが素晴らしい。
14D-O-U-B-L-E〜interlude
15Call Me
妖艶でヴォリューム感を打ち出す音作りとは裏腹に、キュート&ガーリィな歌詞が超チャーミングなヒップホップ・チューン。ジャパニーズR&Bクイーンという貫禄を持ち合わせながらのこのギャップが、リスペクトの一因となるのだ。
16THE LOVE ON FIRE
スパニッシュ調を色濃く感じさせるトラックのなかで描かれるのは、どこまでも激しく燃え上がる愛の炎。情熱的なリリックと洗練されたサウンドのコントラストや、強烈な愛を内に秘めたヴォーカリゼーションが印象的なナンバー。
17Run Away Love (feat.Lupe Fiasco)
シカゴ出身の気鋭ラッパー、ルーペ・フィアスコをフィーチャーしたオーセンティックなヒップホップ・ソウル。濃密なヴァイブスを放つフロウや、やわらかくフェミニンな手触りをたたえたメロディが、ナチュラルに響き合う。