ミニ・レビュー
新生クイーンの、2005年5月、英シェフィールドで収録した2枚組ライヴ。オリジナル・クイーンとは別ものながら、ロック界最高のシンガー、ポール・ロジャースの歌声は圧巻で、クイーン楽曲はもちろん、フリー、バッド・カンパニーの曲も聴き応え充分。
ガイドコメント
フレディ亡き後、元フリー/バッド・カンパニーのポール・ロジャースをヴォーカルに迎えて活動を再開したクイーンが行なったライヴ・ツアーを収録。グレイテスト・ヒッツとも言うべき、名曲のオンパレードだ。
収録曲
[Disc 1]
01REACHING OUT
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。ブライアンとポールが参加したロック・セラピー名義のチャリティ・シングル曲(96年発表)。クイーン・ファンへの自己紹介の代わりにポールがア・カペラで歌う“今夜は俺が歌わせてもらうぜ”宣言。
02TIE YOUR MOTHER DOWN
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。クイーンのライヴ定番曲だから観客の反応も熱い。比較的ストレートなロックンロールだから、ポールのブルージィなヴォーカルにもよく似合う。ブライアンのギターが最初から張り切っている。
03I WANT TO BREAK FREE
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ワークス』からのヒット曲。ポールのソウルフルな歌声はフレディとは異なるが、これはこれで味がある。ブライアンやロジャーのコーラスも良い。観客も一緒に歌っているところはクイーンならでは。
04FAT BOTTOMED GIRLS
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ジャズ』からのヒット曲。ア・カペラのゴスペル風クワイアから始まるブルース・ロック。このての曲ならポールはフレディよりも上手く歌える。ブルース歌手、ポールのノドの見せどころのひとつ。
05WISHING WELL
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。ポール率いるフリーが72年にリリースしたシングル曲。バッド・カンパニーのライヴ定番曲でもあった。ポールのレパートリーの中ではポップな曲だから、クイーンの演奏でも違和感はない。
06ANOTHER ONE BITES THE DUST
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からのヒット曲。ファンク・ビートに乗って歌うポールにはフレディの華やかさはないが、観客とのコール&レスポンスの儀式も継承し、安定したヴォーカルを披露している。
07CRAZY LITTLE THING CALLED LOVE
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からのヒット曲。クイーン版ロカビリー曲をポールはフレディばりに巧みに歌っている。中盤での観客からの“Ready Freddie!”の掛け声も懐かしい。この曲の主役はいまでもフレディ。
08SAY IT'S NOT TRUE
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。2003年11月にネルソン・マンデラ主催のチャリティ・コンサート“46664”で披露されたロジャーの曲。アコースティックなサウンドをバックに、ロジャーがファルセットを使って歌う美しいバラッド。
09'39
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『オペラ座の夜』からの選曲。ブライアンがアコギを弾きながら歌う英国古謡風(でも歌詞はSF)のバラード。彼に「歌いたいかい?」と煽られた観客も、煽られるまでもなく一緒に歌っている。
10LOVE OF MY LIFE
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。「フレディの魂と共に歌う」というMCに続いて、アコギを弾くブライアンが観客と一緒に歌うラブ・バラードの名曲。ビートルズでいえばジョージがポールの歌を歌うようなものだが、これはこれで美味。
11HAMMER TO FALL
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ワークス』収録のハード・ロックをアンプラグド仕様にリアレンジした前半をブライアンがジェントルに歌い、エレクトリック仕様の後半をポールがソウルフルに歌う、という趣向が楽しい。
12FEEL LIKE MAKIN' LOVE
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。バッド・カンパニーの2ndアルバム『ストレート・シューター』からのヒット曲。カントリー風味も加えたポールらしいブルース・ロックだが、クイーンのレパートリーと並んでいても違和感はあまりない。
13LET THERE BE DRUMS
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。50〜60年代の名ドラマー、サンディ・ネルソンのヒット曲を借りたロジャーのドラム・ソロ。「長いソロは好きじゃない」と本人が言っている通り、タイトに短くまとめたリズミカルなソロが彼らしい。
14I'M IN LOVE WITH MY CAR
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『オペラ座の夜』からの選曲。ロジャーならではのハード・ロック仕様のハスキーなヴォーカルを堪能できる。ドラムスを叩きながら歌う彼の雄姿に惚れた女性ファンも少なくない。
15GUITAR SOLO
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。「ブライトン・ロック」から発展させたブライアンのギター・ソロ。津軽三味線ばりのストロークとディレイを駆使したそのスタイルは初期からあまり変わらないが、徐々に洗練されてきていることはたしか。
16LAST HORIZON
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。ブライアンのソロ・アルバム『バック・トゥ・ザ・ライト』からのインストゥルメンタル曲。ブライアンのギターが流麗に歌い上げるメロディアスなバラード。歌心にあふれた彼らしい名曲だ。
[Disc 2]
01THESE ARE THE DAYS OF OUR LIVES
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『イニュエンドウ』ではフレディが歌った美しいバラードを原作者のロジャーが歌う。死を覚悟したフレディの清らかな歌声とは異なるものの、諦念を秘めながら淡々と歌うロジャーの歌声も魅力的。
02RADIO GA GA
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ワークス』からのヒット曲。作者ロジャーが前半を歌い、後半はポールがヴォーカルを務める。リズム・マシンから生ドラムスへの鮮やかな転換も含めて、秀逸なアレンジによる名演が楽しめる。
03CAN'T GET ENOUGH
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。バッド・カンパニーのヒット曲をポール+クイーンでカヴァー。軽く流すようなタッチの演奏だが、元モット・ザ・フープルのミック・ラルフスの曲だから、ブライアンらの演奏にも違和感はない。
04A KIND OF MAGIC
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。同題アルバムのタイトル曲。ニューウェイヴ調のこの曲にはポールの歌声はやや重いが、コーラスの助けもあって、違和感は小さい。この歌声によるこの曲があってもいいか、と思わせる出来。
05I WANT IT ALL
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。『ザ・ミラクル』からのヒット曲。フレディがライヴで歌っていないこともあって、ポールのための曲のようにも思えるほど似合っている。サポート・メンバーを加えた分厚いサウンドとコーラスも好演。
06BOHEMIAN RHAPSODY
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。序盤はフレディのヴォーカル(録音)+生演奏、中盤の“ママ・ミア”パートは録音、終盤はポールのヴォーカル+生演奏+フレディのヴォーカル(録音)、という大胆な反則技が成功した超・名演。
07THE SHOW MUST GO ON
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。フレディの生前に発売された最後のシングル曲。追悼公演でのエルトン・ジョンの絶唱で知られる曲だが、ここでのポールのソウルフルなヴォーカルも凄まじい。ブライアン&ロジャーのコーラスも絶品。
08ALL RIGHT NOW
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。フリーの1970年のヒット曲をポール+クイーンでカヴァー。オリジナルにほぼ忠実なアレンジでの演奏だが、これはもうロック・クラシックだから、違和感は皆無で、観客も一緒に歌っている。
09WE WILL ROCK YOU
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。ライヴ定番のアンコール・メドレーの1曲目。擬似ラップ仕様のヴァースではポールのソウルフルなヴォーカルが炸裂するものの、サビでの観客の大合唱はフレディ時代と変わらない。
10WE ARE THE CHAMPIONS
2005年5月9日、英国シェフィールド公演でのライヴ録音。定番アンコール・メドレーの2曲目。ポールのソウルフルなヴォーカルが意外にハマる曲のひとつ。フレディの美声で聴き慣れているせいか、フェイクだらけのハスキーな歌声が妙に新鮮に響く。
11GOD SAVE THE QUEEN