ミニ・レビュー
フュエルド・バイ・ラーメンの注目株のアルバム。ビターなキュートさを感じさせるヘイリー・ウィリアムズの歌声をフィーチャーしながら、ポップ・パンクを基調としたギター・ロックに青きエモーションを昇華。全編にティーンエイジ・ポップとしてのリアルさが息づく。
ガイドコメント
ナッシュビル出身の4人組バンド、パラモアのメジャー・デビュー・アルバム。紅一点のヴォーカリスト・ヘイリーの、キュートなルックスからは想像もつかない情熱的なヴォーカルが光っている。疾走感のあるサウンドも魅力的だ。
収録曲
01FOR A PESSIMIST, I'M PRETTY OPTIMISTIC
メジャー・デビュー・アルバム『ライオット!』の冒頭を飾る一曲。イントロこそ“疾走パンク”と思わせるが、2分半ほどの中でさまざまな展開を見せていく。録音当時平均年齢19歳とは思えない構成力には驚かされる。
02THAT'S WHAT YOU GET
“自分が信じられない”という言葉に顕著な、ヘイリー・ウィリアムズ(vo)が10代らしい傷つきやすい心をさらけ出したセンシティヴな一曲。サウンドはあくまでポップでみずみずしくも勢いのある、ティーンエイジャーのパンク・アンセムといった趣だ。
03HALLELUJAH
キレの良いエレキ・ギター・サウンドが全編を覆い尽くしたギター・ロック・ナンバー。女性ヴォーカリスト、ヘイリー・ウィリアムズのハイトーン・ヴォーカル、分厚く存在感抜群のベース、ドラマティックな展開など、若手バンドとは思えない実力がうかがえる。
04MISERY BUSINESS
ハードコアの要素もうかがわせる高速パンク・チューン。メリハリをつけたロック・サウンドに包まれた、紅一点ヘイリー・ウィリアムズのスピーディな歌いまわしが最大の聴きどころだ。メジャー・デビュー・アルバム『ライオット!』のリード・トラック。
05WHEN IT RAINS
清涼感にあふれたギターのアルペジオと重低音を効かせた安定感のあるドラミングが際立ったバラードで、各国のチャートをにぎわせそうな完成度の高いポップな仕上がりだ。愛する彼に対して投げかけた健気な少女の恋心が胸を打つ。
06LET THE FLAMES BEGIN
エヴァネッセンスを彷彿とさせるドラマティックでメタリックなナンバー。自分たちの弱さを受け入れて我慢するしかないという状況がシニカルに綴られており、ヘイリー・ウィリアムズのヒリヒリとした空気を切り裂くようなヴォーカルが胸に突き刺さる。
07MIRACLE
ジョシュ・ファロによるノイジーでハードなギター・プレイが冒頭から炸裂する、パワフルでストレートなロック・ナンバー。“私は逃げ出したくない”と歌う、ヘイリー・ウィリアムズのイメージどおりの力強さに圧倒される。
08CRUSHCRUSHCRUSH
3分ほどの尺の中でさまざまなテイストが味わえる、彼らの多彩ぶりが証明されたナンバー。パンク、メタル、ニューウェイヴ、ハード・ロックなど、それぞれを違和感なく融合させる技は、録音当時平均年齢19歳のティーン・バンドとは思えない完成度だ。
09WE ARE BROKEN
打ち込み風のドラムに乗せて、グッと大人っぽいヴォーカルを聴かせるミディアム・バラード。強がってはいるものの、実は不安で怯えている少女の胸の内を綴ったリリックが感動を誘う。表現力豊かなヘイリー・ウィリアムズの魅力が満喫できる一曲だ。
10FENCES
攻撃的で吐き捨てるかのようなヘイリー・ウィリアムズのヴォーカルが異彩を放つポスト・パンク風ナンバー。10代でメジャー・デビューを果たし、多くの人の目にさらされる立場に置かれた自身へ向けられたような、混乱と励ましが入り混じった詞が興味深い。
11BORN FOR THIS
“みんな歌って これが歌える最後の曲みたいに”とライヴでの一幕を思わせるような情熱的なパフォーマンスを展開する、デビュー・アルバム『ライオット!』のクロージング・ナンバー。ロック・バンドらしいあっさりとしたラストも良い。
12STOP THIS SONG (LOVE SICK MELODY)
ディレイを効かせたギター・サウンドが幻想的な空間を作り上げるなか、少女の複雑な恋心を綴ったリリックが歌われていく。“感じたまま”といった趣の歌いまわしが見事な、デビュー・アルバム『ライオット!』の日本盤ボーナス・トラック。
仕様
CDエクストラ内容:ミザリー・ビジネス (ミュージック・ビデオ)