ミニ・レビュー
1998年に大阪で結成された3人組。本作はセールスが4万枚を突破したというミニ・アルバム『Starting AGE』(2003年10月)に続く初のフル・アルバム。ポップ感のあるメロディアスな疾走パンク・チューンが持ち味で、コード・ストロークで変化をつける。
収録曲
01voyage
ギア・チェンジするかのように変速しつつ、多彩なメロディを繰り出していくロック・チューン。凡庸なサウンドになりがちなロックで、しっかりとメロディ・メイカーとしての卓越した才能を見せつける手腕は見事。
02Prepare for life
メランコリックなイントロから雪崩れ込む、怒涛のメロコア・チューン。キラキラと輝くアルペジオから、ファズの効いたノイジーなサウンドまで、ギターが実にバラエティ豊かな音色を紡ぎだしている。
03BE FULL
のっけから飛ばしまくる疾走ナンバー。豪快なギター・フレーズの格好良さはもちろん、抜けの良いサビのメロディが引き起こすカタルシスはかなりのもの。拳を振り上げてシンガロングしたくなる、ストレートなメロコア・チューンだ。
04no title
スピード感のあるサウンドとエモーショナルなヴォーカルが絡み合い、強烈な吸引力を生み出している一曲。冒頭のメランコリックなフレーズが、陽気なサウンドのスパイス的な役割となって、曲全体をグッと引き締めているのも印象的だ。
05roots
locofrank最速ともいえるBPMで聴かせる、爆走パンク・ナンバー。直球なアプローチではあるが、キャッチーなメロディ・ラインが凝縮されており飽きさせない。ライヴでキッズが熱狂すること間違いなしのキラー・チューン。
06Time of patience
レゲエの要素を採り込んだハッピーなミドル・チューン。肩の力の抜けたサウンドとメロディが南国の風のように駆け抜けていき、身も心も軽くさせられる。いわゆるメロコアとは一線を画し、音楽性の幅を見せつけた一曲だ。
07Mountain range
若干メタル風味のギター・カッティングを基盤に聴かせるヘヴィなロック・チューン。ゴリゴリしたサウンドとは裏腹なハイトーン・ヴォーカルが壮快な開放感を演出し、気分を高揚させる。ヘヴィでアッパーな、パンクの醍醐味を味わえる一曲だ。
08It's OVER
激しさは内包しつつも洗練されたメロディ・ラインをクローズアップした「聴かせるメロコア」ナンバー。それでいて緩急のついた構成でしっかりロックのダイナミズムを見せてくれるところが、実に器用で上手い。
09The wind in February
スカ的なリズム・アプローチから直球なパンク・サウンドへ雪崩れ込む構成が、強大なカタルシスを生み出している一曲。最初からかっ飛んだパンク・チューンも良いが、やはりオーディエンスを熱狂させるのはこういう緩急のはっきりしたナンバーだ。
10A meaningful Answer
イントロのメロウなリズム・ギターのなかで煌くアルペジオの美しさも印象的だが、ミドル・テンポで聴かせるサウンドがlocofrankのメロディ・メイカーとしての才能を際立たせている。何度聴いても涙がこぼれ落ちる珠玉の名曲だ。
11No all others
西海岸メロコア・パンクを彷彿とさせる、陽気でアッパーなナンバー。エモーショナルすぎるヴォーカルのせいで、西海岸独特の能天気さに比べると、今一歩物足りない感はあるが、それを差し引いても余りある心地よさが味わえる。
12STORY
ストレートなメロコアと思いきや、アコースティック・ギターによるカントリー風味のフレーズや美しいコーラス・ラインなど、ところどころに光るアレンジが見える。シンガロングできるフレーズも盛り込まれており、ライヴで盛り上がるのは間違いない。