ミニ・レビュー
ロードオブメジャーのセカンド・アルバム。テレビ番組から生まれた企画バンドながら、踏ん張りを見せる。テレビ・アニメ『メジャー』の主題歌(3)をはじめ、くさくなりそうなところでグッと踏みとどまる歌謡ロック・センスは秀逸だと思う。適度な“華”もあるし。
ガイドコメント
通算2枚目、メジャーでは初となるアルバム。「心絵」からのシングル4曲を網羅した、緩急ある仕上がり。実力に裏打ちされた演奏と情感豊かなヴォーカルで質の高さを保ちつつ、心に残るメロディでしっかり聴かせる。
収録曲
01蒼天に向かって
誰にでもあるような弱さを汲んだ上での、励ましのメッセージが込められたパワー・ポップ・ソング。メロコアの心地良い疾走感、ポジティヴなテンションで鬱な気分をスッキリ解消。次の場所へのきっかけをくれるナンバー。
02Evolving!!
疾走感たっぷりのメロコア・ナンバーは、ラストまで弛緩なきテンション。そして、抜群の耳当たりの良さ。特にサビのコーラス・ワークが印象的だ。エッジの効いたギターと骨太なビートは、西海岸風パンクを思わせる。
03心絵
メジャー1stシングルは、ストレートな歌詞とストレートなメロコア・サウンドで持ち味を存分に発揮した一曲。勢いだけではない、繊細な工夫もうかがえるアレンジや表現力を増した歌声は彼らの成長を感じさせる。
04偶然という名の必然
自問自答を輪廻のごとく繰り返す、悩ましげなヘヴィ・ロック・ナンバー。めまぐるしいヘヴィメタ調のギター・テクニックなど、多彩な技量が垣間見える。ハードなサウンドが渇望感をうまく表現している。
05未来の君よ、あの日の君よ
軽快でパンキッシュなドラムが曲をグイグイ引っ張る、若々しいメロコア・ソング。自分自身に向けた歌詞からは、“今まで”を見つめ直すとともに、未来を誇れるものにしたいというポジティヴな意志表示が感じられる。
06月の葉書
月の光に想いを馳せて紡がれる、黄昏哀愁ソング。弾き語りの柔らかな曲調に、ほんのりとバンド・サウンドが寄り添う。ヴォーカルの声立ちが明瞭で良いのに加え、気持ちの強さが感じられる熱いコーラスが、歌をより引き立てる。
07風歌
あふれる疾走感と、パワフルなサウンドで押しまくるロック・ナンバー。諦観の世に向けて放たれる力強い前向きなメッセージは、つい忘れていた懐かしい気概を呼び起こし、自然と一歩踏み出すチカラをもたらす。
08KODOU
冒頭からのロック調のドラムがキモ。作り出される縦ノリのビートがなんとも爽快だ。気の向くままに生きていけばいいという、開き直り感をうまく表現している。時折入るヴォコーダー・ヴォイスなど、アイディアも多彩。
09その手に明日を
行くあてのないもどかしさや切に喘ぐ感情を、サウンドに昇華させたナンバー。ハードなギター・ロックで彩られたサウンドは、どこかダウナーなムードを帯びて疾走する。しかし、その最後には希望への活路を感じさせるようだ。
10星空も月明かりも
別れを題材にした、切なさ滲む泣きメロ・パンク。星屑のように煌めくギターが清々しいムードを演出するも、乞うように後悔極まりないリリックが、また切なさを呼び戻す。そんな人間の心理をうまく突いている。
11朝焼け
殻に篭った主人公が光を求め彷徨う、孤独のストーリー。ヘヴィでラウドなギターは、ネガティヴな感情のごとく激しく唸る。閉鎖的な世界観を打破しようともがき苦しむも、結局途方に暮れてしまうやるせなさが生々しい。
12親愛なるあなたへ...
自分が在ることに幸せを感じ、これまで関わったすべての人への感謝を込めたラブ・ソング。アコースティックのゆったりとした雰囲気で、人生をフラッシュバック。生の実感を噛み締める。ストリングスも華やかでいい。