ミニ・レビュー
7作目。マトリックスのプロデューサー起用とエレクトロニクスの多用の結果、ゴリゴリの音で押すのではなく華やかでキャッチーなテイストが増し、メロディアスなヴォーカルも目立つ。バラエティに富むヘヴィ・チューンで様々な感情の流れを伝える意欲作。
収録曲
[Disc 1]
01TWISTED TRANSISTOR
2005年、ブライアン“ヘッド”ウェルチの脱退とレーベル移籍に揺れたKORNが発表した初めてのシングル曲で、プロデュース・チームとして名を馳せているザ・マトリックスとのコラボレーション・チューン。ヘッド脱退でバンドの危機かと思われたが、そんな心配を軽く吹き飛ばす彼らの活躍ぶりに改めて脱帽する。
02POLITICS
プログラミングを大胆に施したサウンドには、ニューウェイヴやインダストリアルなどジョナサンの趣向がこれまで以上にストレートに打ち出されている。ある種ダンサブルともいえるグルーヴ感が新鮮に響くナンバーだ。
03HYPOCRITES
印象的なリフが繰り返される、どんよりとした重苦しい曲。だが、手数の多いドラムが生み出す躍動感と飛び交うスペイシーな電子音がよいアクセントとなっており、起伏のある音像に仕上がっている。
04SOUVENIR
重いリフとグルーヴでじわじわと攻めるスローな楽曲。エレクトロによるアレンジが効いており、ニューウェイヴ風の退廃と妖しさが漂う。インダストリアル調のかなりダンサブルな間奏パートも新鮮な、実験性に富んだ1曲。
0510 OR A 2-WAY
ダブ調のゆるい横ノリと縦ノリのビートを交錯させた、ダンス・ミュージックへのアプローチが興味深い。本作で「自分たちを再創造したかった」というのも納得がいく、新境地に挑んだ意欲的な1曲。
06THROW ME AWAY
2005年に発表された7thアルバム収録曲で、おどろおどろしいサウンドに乗せたジョナサンの呪術めいたヴォーカルが、ひときわ不気味に感じられるメタル・ナンバー。絶望の淵から叫ぶようなリリックがダークなサウンドと融合。聴き手の心を激しく揺さぶるKORNの真髄が遺憾なく発揮された楽曲。
07LOVE SONG
額面どおりのストレートな愛ではなく愛と死をテーマにしたアンチ・ラブ・ソング。押し寄せる不穏なグルーヴと狂気をはらんだ美しい旋律が幻想の花を妖しく咲かせる、KORN流ゴシックの決定版。
08OPEN UP
痛々しいまでの内省を吐露した歌とゴシック・テイストで彩られた陰鬱でメランコリックなメロディが、じわじわと心の奥底に沈みこんでくる。ハミングやラストに響く木琴のような音など、個性的なアレンジも興味深い。
09COMING UNDONE
3拍子のリズムと韻を踏んだ詞の繰り返しが軍隊の行進を思わせる、勇壮で冷淡とした感触が切迫感を醸し出している。破滅寸前のギリギリの不安定な精神状態をリアルに伝えるヘヴィ・チューンだ。
10GETTING OFF
デス・メタル風の野太い雄叫びや地鳴りのごときヘヴィなギターに、非常にノリのよいビートや躍動的なグルーヴが絶妙に絡み合う。KORNの一筋縄ではいかない音楽性が遺憾なく発揮された個性的な楽曲だ。
11LIAR
2005年、ヘッド脱退後に発表した7thアルバム『シー・ユー・オン・ジ・アザー・サイド』収録の、重厚感あふれるヘヴィ・ロック・チューン。単なるメタル・バンドで終わらなかっただけでなく、ミクスチャー・ロックの枠をも軽々と飛び越え、唯一無二の存在にのし上がった彼らの底知れぬ実力が、十二分に感じられる。
12FOR NO ONE
調子のいいラップと跳ねるようなリズムをフィーチャーしつつもロックのダイナミズムを備えた、かつてのミクスチャー・サウンドに近い雰囲気が味わえる楽曲。反抗する若者の代弁者的存在であり続けようとする彼らの意志が感じられる歌詞にも注目だ。
13SEEN IT ALL
独特なひっかかりのあるメロディと、終盤の重厚なサウンドに寄り添うように奏でられるピアノやストリングスが印象的。デリケートで感情を抑制しつつも強烈なインパクトを残すジョナサンの表現力に驚きを禁じえない。
14TEARJERKER
新境地を開拓した『シー・ユー・オン・ジ・アザー・サイド』中、最も異彩を放つKORN風オペラ。冷ややかな中に美しく繊細なメロディと艶のある歌がゆらめきながら描かれる孤独感と切なさに覆われた内省的な世界は、ナイン・インチ・ネイルズを彷彿とさせる。
15TOO LATE I'M DEAD
ささやくようなヴォーカルが耳を惹く不気味な静寂から一転、サビでは荒々しい歌唱とヘヴィなグルーヴがのた打ち回る。妖しげなコーラスやキテレツなリフ、神経を逆なでするような電子音がよじれながら、次第にカオスへと誘うクレイジーなナンバー。
[Disc 2]
01IT'S ME AGAIN
02EATEN UP INSIDE
歪んだ電子音と地の底まで響くかのような深いドラムの音で始まるヘヴィ・ロック・ナンバー。重々しくもキャッチーなメロディ・ラインと韻を踏んだリズミカルなリリックで、聴き手の心を鷲づかみにしつつ、強烈なメッセージを投げかけるという芸当は、数あるロック・バンドの中でもKORNにしかできないだろう。
03LAST LEGAL DRUG (LE PETIT MORT)
04TWISTED TRANSISTOR
05TWISTED TRANSISTOR
7枚目のアルバム『シー・ユー・オン・ジ・アザー・サイド』からの1stシングル曲の、Dummies Clubによるミックス・ヴァージョン。テンポの速い打ち込みで始まるダブ風のミックスが施された結果、原曲のヘヴィさを抑えた軽快なクラブ・ミュージックに生まれ変わっている。
仕様
CDエクストラ内容:トゥイステッド・トランジスター〜ヒポクリッツ (ビデオ)デジパック仕様[1]SecureCD