ミニ・レビュー
詩人やなあ、と思っていたけどギターもいけるんですね。ハードな曲とバラードのベタな配置関係にむしろ心やすらいだりして。各フレーズの末尾まとめのうまさに唸ってしまいます。真似しようったって駄目。歌唱と言葉とビートとサウンドのあやとりにおっ。
ガイドコメント
2002年10月に発表、ヒットを記録した稲葉浩志のソロ作第2弾。彼のプライベート・スタジオ「志庵」でレコーディングされ、B'zだけでは伝わらなかった稲葉ワールドをダイレクトに聴かせてくれる。
収録曲
01O.NO.RE
2ndアルバムのオープニング・チューン。キレた激しいシャウトが魂を揺さぶるロック・ナンバー。サビに岡山弁を使ったじいさん口調の歌詞を含みながら、説教臭くならず、むしろカッコよく聴こえてしまうのは、彼ならではの技。
02LOVE LETTER
温かみのあるギターを基調としたバラード・ソング。過去の恋愛への感謝の気持ちを、手紙で語りかける形で書かれている歌詞が切ない。実際には文面にならないであろう正直な心の叫びは、聴く人の胸を突く。
03Touch
ミディアム・テンポのメロディに、ファンク調のアレンジが施され、アダルトな雰囲気をまとっている。それに沿うように歌詞も挑発的でセクシー。彼だからこそ展開できる世界が広がっている。女性は必聴。
04TRASH
05Overture
ピアノとストリングスを迎え、壮大なアレンジングがなされており、音の広がりが単なるロック・バラードの域を越えている。ラストの突き抜けるような裏声が美しい。アニメ『名探偵コナン』エンディング・テーマ曲。
06GO
07ファミレス午前3時
穏やかなメロディが稲葉自身のアコースティック・ギターで展開されていくスロー・ナンバー。静かな曲調だが、その反面、歌詞は燃えるように熱い意志と、一番大事なものは自身のなかに、という自覚に満ちている。
08あなたを呼ぶ声は風にさらわれて
09Here I am!!
しょっぱなからギターがうねる、極悪ロック・チューン。女性でも男性でも、異性に翻弄される感じをリアルに凝縮したような一曲。モテる人間の孤独を見抜いて、それを埋めるような歌詞は、まさに稲葉の得意分野?!
10炎
11Se[~]no de Revolution- SハNO DE REVOLUTION -
荒削りで生々しいギター・サウンドがカッコいいロックンロール・ナンバー。「Seno de」が曲中で言葉遊びされているあたりが稲葉っぽい。歌詞の勢いの奥を読めば、彼のワールド・ワイドな視点に気づくはず。
12とどきますように
スタンダードなアメリカン・ロック的曲調で非常に聴きやすいが、歌詞には要注意。平和を願う強い思いが込められた詞は、深く読み取れば読み取るほど目が覚めるようなメッセージがたくさん込められている。